「うちの子、今の高校をやめて別の高校に移ることはできるの?」と、保護者の方がふと疑問に思う場面は少なくありません。答えは「はい、できます」、そして選択肢は思っているよりも多くあります。
不登校の状態が続いていたり、在籍校に戻ることが難しくなっていたりするとき、「編入」という進路変更は現実的な一手です。ただ、手続きや時期、費用について情報が散らばっていて、何から調べればいいかわからないという声も多く聞かれます。
この記事では、不登校の状態から高校へ編入する方法を「費用・スケジュール・手続き」の3点をセットにして、順を追って解説します。お子さんと一緒に読んでいただいても構いません。焦らず、今の状況に合う選択肢を探してみてください。
「転入」と「編入」の違いをまず確認する
高校を変わる方法には「転入学」と「編入学」の2種類があり、どちらを選ぶかによって手続きや時期が変わってきます。この違いを最初に整理しておくことが大切です。
転入学とは、今の高校を退学せずに別の高校へ移ることです。在籍中に手続きを進めるため、取得済みの単位を引き継ぐことができます。転入を受け入れる学校では随時入学を設けているところも多く、4月・10月だけでなく、月ごとに入学できるケースもあります。
編入学とは、高校を一度退学(または休学)した後に、別の高校へ入り直すことです。退学後に時間が経っていても編入を受け付けている学校があり、通信制高校はこの編入学に柔軟に対応している場合が多いといわれています。
お子さんが今の高校に在籍しているかどうか、単位をどのくらい取得しているかによって、転入か編入かが変わります。まず担任や学校の窓口に「現在の在籍状況と取得単位数」を確認することが最初のステップです。
文部科学省の生徒指導のページ(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/)でも、不登校・高等学校中途退学に関する施策情報を確認することができます。制度上の細かい定義は学校ごとに運用が異なる場合があるため、必ず転入先・編入先の学校に直接確認するようにしてください。
通信制高校への編入が多く選ばれる理由
不登校を経験したお子さんの編入先として、通信制高校を選ぶ家庭が多いという傾向があります。その理由として挙げられるのは、自分のペースで学習を進められる点、登校日数が少なくて済む点、そして年間を通じて入学・転編入の受付時期が柔軟である点です。
文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、小中学校における不登校児童生徒数は約34万6,000人に上るという数字が報告されています。高校段階でも不登校・長期欠席を経験した生徒が別の進路を探す機会は増えており、通信制高校への編入はそのルートのひとつとして機能しています。
通信制高校には全日制・定時制と異なる学習スタイルがあり、スクーリング(対面授業)の頻度も学校によって異なります。週5日登校するタイプから、年数日の集中スクーリングで卒業できるタイプまで幅広く、お子さんの体調や生活リズムに合わせて選ぶことができます。
学費についても選択肢があります。公立の通信制高校では年間学費が数万円程度に抑えられる場合があり、私立の通信制高校やサポート校を利用する場合は年間数十万円から数十万円以上になることもあります。費用は必ず各校の公式サイトで確認してください。就学支援金制度(国の授業料支援)は通信制高校にも適用される場合があるため、学校への問い合わせ時に確認することをおすすめします。
編入手続きの流れを順番に確認する
編入の手続きは、大まかに以下の順序で進んでいきます。お子さんの状況に合わせて、各ステップの時期を逆算して考えてみてください。
1.今の在籍状況と取得単位数を確認する
在籍校の担任または教務担当に「単位取得証明書」や「成績証明書」を発行してもらえるか確認します。退学後でも一定期間は証明書の発行を依頼できる学校が多いといわれています。
2.編入先の候補校を複数リストアップし、資料請求・説明会参加をする
通信制高校の公式サイトや学校説明会の情報をもとに、学費・通学頻度・サポート体制を比較します。説明会は多くの学校がオンラインでも実施しているため、外出が難しいお子さんでも参加しやすい環境が増えています。
3.編入試験(入学選考)を受ける
多くの通信制高校の編入選考は作文や面接が中心で、学力試験を課さない学校もあります。選考内容は学校によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
4.入学手続き・学費の納入をする
合格通知が届いたら、指定の期日までに入学手続き書類と初回学費を納入します。
5.在籍校への退学届・証明書の提出を行う
転入の場合は退学前に手続きを進めます。編入の場合は退学手続きが先になります。書類の発行には数日から数週間かかることがあるため、余裕をもって動くことが大切です。
入学の2〜3ヶ月前から情報収集を始めることで、スケジュール的に焦らず進められる場合が多いといわれています。
サポート校の活用という選択肢
通信制高校と合わせて「サポート校」の利用を検討することも、ひとつの選択肢です。サポート校は通信制高校の単位取得をサポートする民間の学校施設で、登校する場所と支援スタッフがいる環境を提供しています。
サポート校の主な役割は、学習の進捗管理や生活リズムの立て直し、進路相談など、通信制高校だけでは得にくいきめ細かな個別サポートを提供することです。不登校を経験したお子さんが「学校という場所に少しずつ慣れていく」ための中間的な場所として機能しているところも多くあります。
また、大学進学を視野に入れているお子さんの場合、通信制高校と予備校・学習塾を組み合わせる「Wスクール」という選び方も広がっています。高校卒業資格の取得と大学受験対策を並行して進めることができるため、卒業後のキャリアを見据えた選択肢として注目されています。
サポート校は通信制高校本体とは別に学費がかかる場合がほとんどです。年間費用は学校によって大きく異なるため、入学前に必ず公式サイトや説明会で確認してください。
まとめ
不登校の状態からでも、高校への編入は十分に実現できる選択肢のひとつです。転入と編入の違いを理解した上で、お子さんの今の状況(在籍状況・取得単位・体調・生活リズム)に合った学校を選ぶことが、スムーズなスタートにつながります。
まず今日できることは、在籍校に「取得単位数の確認」を問い合わせることと、通信制高校やサポート校の資料請求・オンライン説明会に申し込むことです。多くの学校が無料で個別相談を受け付けていますので、ひとつ問い合わせてみるだけでも情報がぐっと整理されてきます。
お子さんが嫌がったり不安を示していたりするときは、無理に話を進めないでください。情報を手元に準備しておくだけでも、いざというときに選択肢を示せる状態になります。保護者の方が焦らずにいることが、お子さんにとっても安心につながります。
・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(2023年度)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
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