学校に行けていない時期でも、英検の勉強を続けている子どもは少なくありません。「英検を取っても意味があるの?」と感じている保護者の方もいらっしゃるかもしれませんが、実は英検は通信制高校の単位認定から大学入試まで、さまざまな場面で活用できる資格です。この記事では、不登校の子どもが英検をどのように進路に役立てられるかを、制度の仕組みとともに整理してお伝えします。
不登校の現状と「外部資格」が注目される理由
文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、小学校・中学校・高等学校を合わせた不登校児童生徒数は約34万6,000人に上り、過去最多を更新しています。学校に通う時間が限られている子どもにとって、進路の選択肢をどう確保するかは保護者の大きな関心事のひとつです。
そうした状況のなかで注目されているのが、英検などの外部資格試験の取得です。通信制高校やサポート校では、在籍生徒の自主的な学習を促す手段として英検の受験を奨励する事例が見られます。学校という「場」に縛られず、自分のペースで準備ができる点が、不登校の子どもにとって英検を取り組みやすい資格のひとつとされている理由のひとつです。
また、英検は「英語の4技能(読む・聞く・書く・話す)」を測る試験として広く認知されており、文部科学省も高校・大学入試における外部英語資格の活用を推進してきた経緯があります。不登校の状況にあっても、英検という「共通の物差し」で自分の英語力を示せることは、進路の幅を広げるうえで大きな意味を持ちます。
通信制高校で英検が「単位」として認定される仕組み
多くの保護者の方が知らない制度として、通信制高校における「技能審査の単位認定制度」があります。これは、文部科学省の学習指導要領に基づき、英検などの技能審査の合格実績を高校の単位として認定できる制度です。
具体的には、英検2級以上を取得している場合、「英語」科目の一部または全部を単位として認定する通信制高校があります。認定の基準や単位数は学校によって異なりますが、一般的な目安として以下のような傾向が見られます。
1.英検2級:英語関連科目の単位認定対象としている学校が多い傾向があります。
2.英検準1級・1級:より多くの単位が認定される場合もあります。
3.英検3級・準2級:単位認定の対象外とする学校が多い一方、学習歴として評価する学校もあります。
通信制高校での卒業に必要な単位数は74単位です(学校教育法施行規則による)。英検で単位を認定してもらえると、その分他の学習に時間を充てることができるため、学習負担の軽減につながる可能性があります。入学を検討している通信制高校に「技能審査の単位認定はどの資格・どのレベルから対象ですか」と確認してみることをおすすめします。
大学入試で英検をどう使えるか
英検は大学入試においても幅広く活用されています。国公立大学・私立大学ともに、英検のスコアや資格を出願要件や加点材料として採用している大学が増えています。
高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)との組み合わせも有効です。高卒認定は大学受験資格を得るための試験ですが、英検2級以上を取得していると「英語」科目が免除になります。具体的には、文部科学省の発表によると英検2級以上の合格者は高卒認定試験の英語科目の受験が免除されます。英検の勉強が高卒認定の対策にもなるという点は、保護者の方にぜひ知っておいていただきたいポイントです。
大学入試での活用においても、主なパターンを整理すると次のようになります。
1.英検スコア(CSEスコア)を英語試験の代替として使える大学
2.英検2級以上を出願資格として設定している大学・学部
3.英検のスコアに応じて英語の得点を一定点数に換算する「みなし満点」制度を設ける大学
4.総合型選抜(旧AO入試)・学校推薦型選抜で英語資格を評価材料とする大学
志望校の入試要項で英検の活用方法を確認することが大切です。制度は毎年変わる可能性があるため、大学公式HPか入試担当窓口への問い合わせで最新情報を確認するようにしてください。
不登校の子どもが英検を無理なく進める3つのポイント
英検に取り組むにあたって、学校に行けていない時期の子どもへの配慮も欠かせません。焦らず進めるために、次の3点を参考にしてください。
1.級を下げることをためらわない
現在の英語力に合った級からスタートすることが最も大切です。高校生だから「2級は取らなければ」という発想は、かえって意欲をそぐことがあります。3級・準2級でも、試験に向けて目標を持って学ぶこと自体が自己効力感につながります。
2.在宅学習との相性の良さを活かす
英検はテキスト・問題集・オンライン教材が豊富に揃っているため、自宅でコツコツ進められます。通信制高校やサポート校のなかには、英検対策を学習計画に組み込んでいる学校もあります。学校のカリキュラムや在宅学習の仕組みを事前に確認しながら、お子さんのペースに合った環境を探してみてください。
3.結果にかかわらず「挑戦した経験」を大切にする
総合型選抜や学校推薦型選抜では、英検に向けて学んだ過程や姿勢も評価材料になる場合があります。合否よりも、どんな動機で学んだかを言語化できるよう、お子さんと振り返る機会を持つことも有効です。
まとめ
不登校の状況にあっても、英検は進路を広げるための有効な手段のひとつです。通信制高校の単位認定、高卒認定試験の英語科目免除、大学入試でのスコア活用など、制度を知ることで選択肢が一気に広がります。
まずは、現在の英語力に合った級で試験に向けて動き出すことが大切です。文部科学省の調査では不登校の子どもは毎年増加しており、それに伴い通信制高校や高卒認定を経由した進学ルートも整備が進んでいます。英検はそのルートのなかで「努力を可視化する道具」として機能します。制度の詳細は入学予定の学校や大学の窓口で確認しながら、お子さんのペースで一歩ずつ進めてみてください。
・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・文部科学省「高等学校卒業程度認定試験について(英検等による科目免除)」https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/
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