「うちの子、どんな高校を目指せばいいんだろう」と迷っている保護者の方は、とても多いのではないでしょうか。不登校を経験した子どもが志望校を選ぶ際には、全日制高校だけが選択肢ではありません。通信制高校・サポート校・高卒認定と、実現可能なルートが複数あります。ただ、選択肢が多いからこそ「どこから手をつければいいかわからない」という混乱が生じやすいのも事実です。この記事では、お子さんの状態や目標に合わせた志望校の選び方を、手続き・スケジュール・費用の3点を軸に整理してお伝えします。
まず「学校の形」を知ることから始めましょう
志望校を絞り込む前に、どのような学校の形があるかを整理しておくことが大切です。不登校を経験したお子さんが進学先として選ぶ主な選択肢は、次の3つに分けられます。
1.全日制高校への再挑戦・転入
2.通信制高校(単独または+サポート校)への進学・転学
3.高卒認定試験を経由して大学・専門学校を受験する
それぞれに向いているタイプが異なります。全日制高校は毎日通学できる体力・生活リズムが整っていることが前提になりますが、学校によっては不登校経験者を積極的に受け入れているフリースクール連携型の公立高校や、定時制高校という選択肢もあります。
通信制高校は、基本的に週1〜5日の通学頻度を自分で選べるため、体調が安定していない時期でも無理なく在籍を続けやすいとされています。文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、中学校における不登校児童生徒数は約24万6,000人(出典:文部科学省 生徒指導関連ページ https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/)に上っており、通信制高校の生徒数も年々増加傾向にあります。
高卒認定は高校に在籍せず試験で資格を取得するルートです。大学進学を強く望んでいて、高校の授業よりも自分のペースで学びたいお子さんに向いている場合があります。まずはこの3つの形を保護者の方が理解した上で、お子さんと一緒に「どれが今の自分に合っているか」を話し合うことをおすすめします。無理に押しつけず、お子さん自身が「これなら続けられそう」と感じられる形を一緒に探してみてください。
お子さんの「今の状態」を4つの軸で確認する
志望校選びで大切なのは、理想の学校を先に決めることよりも、お子さんの現在の状態を客観的に把握することです。以下の4つの軸を参考に整理してみてください。
1.通学できる頻度はどのくらいか(毎日/週数回/ほぼ在宅)
2.生活リズムは安定しているか(起床・就寝・食事が一定か)
3.学力の状況はどの程度か(中学の学習内容はある程度理解しているか)
4.本人がやりたいこと・興味があることは何か
特に「1」と「2」は志望校を絞る上でもっとも重要な判断基準になります。起立性調節障害や不安障害など医療的な背景がある場合は、まずかかりつけの医師や学校のスクールカウンセラーに相談してから進路を検討することが大切です(医療的な判断については必ず専門家にご相談ください)。
こども家庭庁(https://www.cfa.go.jp/)でも「こどもにとっていちばんの利益を考える」という姿勢が示されており、進路選択においても子どもの意見や状態を最優先にすることが推奨されています。
「4」については、将来の仕事や趣味・得意なことを出発点にすると、学校選びが方向性を持ちやすくなります。例えば「絵を描くことが好き」「プログラミングに興味がある」という場合、その分野に強いコースを持つ通信制高校やサポート校を探す入り口になります。
通信制高校を選ぶときに確認すべき3つのポイント
通信制高校を志望校として検討する場合、学校によって学習スタイル・費用・サポート体制が大きく異なります。複数校を比較する際には、次の3点を必ずセットで確認してください。
1.スクーリング(登校)の頻度と場所
通信制高校には「年数日のみ」から「週5日通学」まで幅があります。お子さんの通学可能な頻度と一致しているかを確認してください。
2.サポート体制(個別対応・カウンセラーの有無)
不登校経験者に特化したサポートがあるかどうかは、継続的に通えるかどうかを左右する大きな要素です。不登校経験者を対象とした個別サポートやカウンセラー配置を設けている通信制高校は複数存在します。各校の公式HPや資料請求を通じて、サポート内容を具体的に確認することをおすすめします。
3.学費の総額(入学金・授業料・スクーリング費・教材費)
通信制高校の費用は、公立と私立でおおむね年間10万円前後〜100万円超まで幅があります。必ず各校の公式HPで「入学金・授業料・スクーリング費・教材費の合計」を確認し、就学支援金が適用されるかどうかも併せて調べてください(就学支援金制度の詳細は文部科学省公式HPをご確認ください)。
大学進学を見据えた志望校選びのスケジュール
大学受験を視野に入れている場合は、逆算してスケジュールを組むことが重要です。以下は中学3年生(または高校1〜2年生)が通信制高校や高卒認定ルートで大学進学を目指す場合のおおよその流れです。
1.入学の12〜18ヶ月前:志望校の候補をリストアップし、個別相談・学校見学を申し込む
2.入学の6〜10ヶ月前:オープンキャンパスや体験入学に参加し、学校の雰囲気を確認する
3.入学の3〜6ヶ月前:出願書類を準備し、推薦・一般・AO入試のどれを使うかを決める
4.入学後〜1年目:基礎学力の定着と生活リズムの安定を最優先にする
5.高校2〜3年目:大学受験対策を本格化する
大学受験を見据えているお子さんには、通信制高校に在籍しながら大学受験対策ができる学習環境を選ぶことが大切です。通信制高校とのダブルスクール形式で大学受験をめざすことができる予備校・学習塾も存在しますので、学校選びと並行して学習サポート体制も比較検討してみてください。
高卒認定試験を利用するルートでは、試験は年2回(8月・11月)実施されています。試験合格後に大学を受験する場合、高校3年生の秋以降に相当するスケジュールになるため、大学受験まで最短で合格後の翌春になります。スケジュールが短い分、学習計画を早めに立てることが大切です。
まとめ
不登校を経験したお子さんの志望校選びは、まず「学校の形を知る→今の状態を確認する→費用・スケジュール・サポートをセットで比較する」という順で進めることをおすすめします。焦って決めなくても大丈夫です。お子さんのペースと状態に合わせた選択が、長く続けられる学びにつながります。
次にとるべき行動は、1校だけに絞らず2〜3校の資料請求・個別相談の予約をすることです。学校の雰囲気は実際に足を運んでみて初めてわかることも多いため、お子さんが嫌がらない範囲で一緒に見学してみてください。お子さんが「ここなら行けるかも」と感じる場所が、きっと見つかるはずです。
参考情報
- 文部科学省「生徒指導上の諸課題に関する取組」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
- こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/
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