「どの学年で不登校が一番多いの?」「うちの子の学年だと、他の子はどうなの?」——そう気になっている保護者の方は少なくないのではないでしょうか。実は、不登校の人数や背景にある要因は、小学校・中学校・高校でそれぞれ異なる特徴があります。文部科学省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』(2023年度)によると、不登校の小中学生の総数は約34万6,000人にのぼり、過去最多を更新し続けています。この記事では、学年別・校種別の傾向を整理し、保護者の方が「なるほど」と感じられる視点をお届けします。
まず知っておきたい「校種別」の全体像
文部科学省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』(2023年度)によると、不登校の児童生徒数は以下のようになっています。
1.小学校:13万2,777人(前年度比:約1万9,000人増)
2.中学校:21万6,112人(前年度比:約2万人増)
3.高等学校:6万8,770人(前年度比:約8,000人増)
(出典:文部科学省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』2023年度)
絶対数では中学校が最も多く、全体の約半数以上を占めます。しかし注目すべきは「増加のスピード」です。小学校は2019年度の約5万3,000人から2023年度には約13万3,000人へと、わずか4年で約2.5倍に増えており、低年齢化が急速に進んでいることがわかります。
つまり、「不登校は中学生の問題」という従来のイメージは、今日では必ずしも実態と一致していません。小学校低学年からの対応を視野に入れることが、今後ますます重要になってくるといえるでしょう。
小学校の傾向:低学年からの増加と「分離不安」
小学校で不登校が増えている背景には、いくつかの要因があると考えられています。
文科省の同調査では、不登校の主な要因(複数回答)として「無気力・不安」が最も多く挙げられており、小学生でもこの傾向は同様です。特に低学年(1〜3年生)では、「学校への不安」「家庭にいたい気持ち(分離不安)」が関係するケースが多い傾向が見られます。
小学生の不登校でよく見られる状況としては、次のようなものがあります。
1.朝になると腹痛・頭痛などの身体症状が出る
2.「学校に行きたくない」と泣いて訴える
3.特定の授業や行事がきっかけで休み始める
また、小学校高学年(4〜6年生)になると、友人関係の複雑化や学習のつまずきが加わってくることが多く、中学校への進学を機に状況が変化するケースもあります。小学校段階での早期の気づきと、家庭・学校・スクールカウンセラーの連携が重要です。
「お子さんが朝に体調不良を訴える日が続いている」という場合は、まず担任の先生やスクールカウンセラーに相談することを検討してみてください。
中学校の傾向:最多の学年と「中1ギャップ」
不登校が最も多いのは中学校で、同調査では中学校全体での不登校率は約5.9%(生徒100人に約6人)という水準です(出典:文部科学省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』2023年度)。
中でも「中学1年生」は特に注意が必要な時期とされています。小学校から中学校への移行時期に不登校が増える現象は「中1ギャップ」と呼ばれており、以下のような変化が重なることが要因として考えられます。
1.環境の変化:クラスメンバー・担任・校則・部活など、あらゆるものが一度に変わる
2.学習量の増加:教科担任制になり、各教科の難易度が一気に上がる
3.人間関係の再編:小学校からの友人関係がリセットされ、新たな人間関係を築く必要がある
一方で、中学2〜3年生では「長期化」の問題が出てきます。中学1年の段階で不登校になった場合、そのまま中学校を卒業するまで登校できないケースも少なくありません。この場合、高校進学の方法を早い段階で検討しておくことが、選択肢を広げることにつながります。
高校の傾向:「中退」と「進路」を同時に考える段階
高校の不登校は、小・中学校とは性質が異なる点があります。高校では、不登校が一定期間続くと「留年」や「自主退学(中退)」につながる可能性があるため、対応に時間的な切迫感が生じる場合があります。
文科省の同調査によると、高校における不登校の主な要因(複数回答)として「無気力・不安」「友人関係をめぐる問題」「学業の不振」などが挙げられています。
高校段階では、次の点を整理しておくことが重要です。
1.在籍している高校の「欠席日数の上限」を確認する(多くの場合、年間30〜50日が留年の目安とされています)
2.転学・転籍の選択肢として「通信制高校」「定時制高校」を検討する
3.高校を中退した場合の「高卒認定試験」という進路も把握しておく
「通信制高校」は文部科学省が認可した正規の学校で、卒業すれば高卒資格が得られます。一方、「高卒認定試験(高認)」は文部科学省が実施する試験で、合格することで高校卒業と同等の資格として扱われます。どちらもお子さんの状況に合わせて選べる選択肢です。
まとめ
不登校の傾向は、小学校・中学校・高校でそれぞれ異なります。文部科学省の調査データが示すように、小学校段階からの急増や中1ギャップ、高校での中退リスクなど、学年・校種ごとに見えてくる課題が違います。大切なのは、「どの段階であっても、対応の選択肢が存在する」ということです。
まず今日できることとして、お子さんの状況を担任やスクールカウンセラーに相談すること、そして学校以外の相談先(教育支援センター、こども家庭庁の相談窓口など)を把握しておくことをお勧めします。焦らず、お子さんのペースを大切にしながら、一歩ずつ情報を整理していきましょう。
・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/
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