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不登校が増え続ける理由と背景にある要因

不登校が増え続ける理由と背景にある要因

「どうしてうちの子だけ」と感じている保護者の方に、まず知っていただきたいことがあります。不登校は、今や特定の家庭や子どもだけの問題ではなく、社会全体で向き合うべき状況になっています。文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、小・中学校における不登校の子どもの数は約34万6,482人にのぼり、10年以上連続して増加傾向が続いています。なぜここまで増えているのか、その背景にある要因を、公式データをもとに整理してお伝えします。

目次

不登校の数字が示す現実:10年で3倍以上に

文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、小・中学校における不登校児童生徒数は約34万6,482人で、過去最多を更新しています。これは、10年前の2013年度(約11万9,617人)と比べると、約2.9倍という水準です。

具体的な数字を並べると、増加の速度がよくわかります。

1.2013年度:約11万9,617人
2.2018年度:約16万4,528人
3.2021年度:約24万4,940人
4.2023年度:約34万6,482人

わずか10年のあいだに、ここまでの増加が起きていることは、「不登校は特別なことではなくなりつつある」という現実を示しています。また、高等学校における不登校生徒数も同調査によると約6万8,770人に達しており、中学校から高校への移行後も不登校状態が継続・発生するケースが少なくない状況です。

(出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」2023年度)

文科省が示す「増加の要因」:何が起きているのか

では、なぜこれほど増えているのでしょうか。文部科学省は、不登校の要因を「学校に関わる要因」「本人に関わる要因」「家庭に関わる要因」の3つに分類して調査・分析しています。

同調査では、不登校のきっかけとして最も多く挙げられるのが「無気力・不安」であり、2023年度は不登校の理由として約51.8%の児童生徒に該当しています。次いで「生活リズムの乱れ・遊び・非行」「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が続きます。

ここで注目したいのが「無気力・不安」の割合の高さです。これは、特定のトラブルや出来事がきっかけになるというよりも、じわじわと登校への意欲や自信が失われていくケースが増えていることを示しています。文部科学省はこの傾向について、「学校への不適応感や、自己肯定感の低下が関係している可能性がある」という見解を示しています。

また、新型コロナウイルス感染症の影響による休校期間(2020年度)以降、不登校数の増加ペースが加速しており、登校習慣の断絶や対人関係の希薄化が要因として指摘されています。

(出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」2023年度)

「原因は1つではない」:複合的な要因を知ることが大切です

不登校の増加について、「なぜ今の子どもは弱いのか」と受け取られることがありますが、それは事実とは大きく異なります。専門家の間でも共通して指摘されているのは、不登校は単一の原因で起きるものではなく、複数の要因が重なって生じるという点です。

主な要因として整理すると、以下のようになります。

1.学校環境に関わる要因
いじめ、友人関係のトラブル、教師との関係、学習のつまずき、部活動の負担など、学校生活の中で生じるストレスが積み重なるケースです。

2.本人の特性に関わる要因
発達障害(ADHD・ASD・LDなど)や、HSC(非常に敏感な気質を持つ子ども)、起立性調節障害などの身体的・心理的な特性が、登校の難しさに関係していることがあります。ただし、これらの特性があるから不登校になるというわけではなく、あくまで「環境との相性」が影響するとされています。発達障害やHSC・起立性調節障害の診断や対応については、必ず医師や専門家にご相談ください。

3.家庭環境に関わる要因
保護者の仕事の状況、家庭内のストレス、家族関係の変化なども、子どものこころの安定に影響することがあります。ただし、「家庭のせいで不登校になる」という単純な因果関係ではありません。

4.社会的な背景
SNSの普及による対人関係の複雑化、情報過多による不安の増大、コロナ禍以降の生活リズムの変化なども、近年特に注目されている要因です。

(出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」2023年度)

こども家庭庁が示す方向性:「支援の充実」へと動いています

不登校の増加を受けて、国の政策も変化しています。こども家庭庁は「こどもがまんなかの社会を実現する」という理念のもと、子どもの権利を守り、支援体制の整備に取り組んでいます。

また、文部科学省は2023年3月に「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」を策定し、以下の3つの方向性を示しました。

1.不登校の兆候を早期に把握するためのスクリーニングの充実
2.校内に「教室以外の居場所」を設けること(校内教育支援センターの整備)
3.フリースクールなど学校外の支援機関との連携強化

つまり、国は「学校に来させること」だけを目標にするのではなく、「どんな場所にいても学びが続けられること」を目指す方向に変わりつつあります。保護者の方にとっては、「学校に行けないのは失敗ではない」という認識が、社会的にも広がりつつあることを知っていただければと思います。

(出典:文部科学省「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」2023年3月)

まとめ

不登校の子どもは2023年度に約34万6,482人となり、10年で約3倍に増加しています。その背景には、「無気力・不安」という心理的な要因が最も多く見られ、学校環境・本人の特性・家庭環境・社会的な変化が複合的に影響していることが、文科省のデータから読み取れます。

大切なのは、「なぜ増えているのか」を正確に知ることで、我が子を責めたり、自分自身を追い詰めたりしないことです。国の政策も「支援の充実」に向けて動いており、学校以外の選択肢も広がっています。まずは正確な情報を手に入れることから、一歩を踏み出していただければと思います。お子さんのペースを大切にしながら、一緒に考えていきましょう。

・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(2023年度)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・文部科学省「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/futoukou/
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/

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・不登校の子どもへの声かけと接し方:https://futoukou.co.jp/parents-support/
・不登校の回復プロセスと段階的な支援:https://futoukou.co.jp/recovery/
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