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不登校経験者は20代でどうなるのか:公式データで見る実態と進路

不登校経験者は20代でどうなるのか:公式データで見る実態と進路

「不登校だった子が、20代になったらどうなるんだろう」――そう不安に感じている保護者の方は、決して少なくないはずです。学校に行けない日々が続く中、子どもの将来が見えなくて怖い、という気持ちはとても自然なことです。ただ、その不安の多くは「実態がわからないから」生まれている部分もあります。公式データをもとに「不登校経験者の20代」という問いに、できるだけ正直にお伝えしていきます。

目次

まず知っておきたい:不登校の現状規模

不登校経験者の20代での実態を理解する前に、現在どれほどの子どもたちが不登校を経験しているのかを確認しておきましょう。

文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、小・中学校における不登校児童生徒数は約34万6,000人に達し、過去最多を更新しています。高校生を加えると、その数はさらに増えます。(出典:文部科学省『令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』2024年10月公表)

つまり、不登校を経験した子どもは現代の日本で決して珍しくなく、毎年数十万人規模で積み重なっていることになります。言い換えると、今の20代・30代の中にも、不登校を経験した上で社会に出て、それぞれの人生を歩んでいる人々が大勢いるということです。不登校は「特別な少数の子どもの話」ではなく、多くの人が通過してきた経験のひとつでもあります。

不登校経験者の「その後」に関するデータの実態

「不登校の子どもは20代でどうなるのか」という問いに対して、全国規模の公的な追跡調査データは、現時点では限られています。文部科学省の調査は、在学中の不登校状況の把握が中心であり、卒業後の追跡には特化していません。(出典:文部科学省 生徒指導等に関する公式ページ https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/)

そのような中で参考になるのが、文部科学省が実施した「平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書」(2014年公表、平成18年度=2006年度に中学校で不登校だった生徒を対象に、中学卒業後5年時点の状況を確認した調査)です。この調査では、中学時代に不登校だった人のうち、5年後の時点で「就業している」または「就学している」と回答した割合は合わせて約70%以上にのぼっています。一方で、「仕事にも学校にも行っていない」と回答した割合も一定数存在し、支援の継続が重要であることも示されています。(出典:文部科学省『平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書』2014年公表)

重要なのは、この数字が「不登校イコール行き詰まり」ではないことを示している点です。多くの人が何らかの形で次の一歩を踏み出していますが、そのルートは一様ではなく、一人ひとりのペースと選択が異なります。

20代でのルートは一本道ではない:具体的な選択肢

不登校を経験した後、20代でどのような道を歩んでいる人がいるのかを、進路の選択肢として整理してみます。

1.高校への復帰・転籍を経て進学するルート
不登校後に通信制高校やサポート校へ転籍し、高校卒業資格を取得した上で大学・専門学校へ進学するケースです。通信制高校の在籍者数は年々増加しており、文部科学省の統計(2023年度)では全国で約26万7,000人が在籍しています。(出典:文部科学省『令和5年度 学校基本統計』)こうしたルートを経て20代で大学在学中という方も少なくありません。

2.高卒認定試験を経て大学受験するルート
高校に通わずに「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)」に合格し、大学受験資格を得るルートです。文部科学省の高卒認定試験結果(2023年度)によると、受験者のうち約43%が全科目合格しています。(出典:文部科学省『令和5年度 高等学校卒業程度認定試験実施結果』)不登校・高校中退を経験した方でも、このルートで大学進学を実現しているケースは確実に存在します。

3.就職・独立・自営のルート
全日制・通信制問わず高校卒業後、あるいは高卒認定取得後に就職や起業・フリーランスとして活動している方もいます。学歴よりも実力・スキルが問われる職種(IT・デザイン・クリエイティブ分野など)では、不登校の経験が大きなハンデにならない場合もあります。

4.支援機関・就労移行支援などを活用するルート
ひきこもり状態が長引いた場合でも、自治体の「ひきこもり地域支援センター」や就労移行支援事業所などの活用で、社会参加に向けて動き出している方もいます。こども家庭庁(https://www.cfa.go.jp/)や厚生労働省の若者支援施策も、こうしたルートを後押しする体制を整えています。

「20代でどうなるか」を左右する要因

不登校を経験した後の20代がどうなるかは、不登校だったこと自体よりも、その後どのようなサポートを受けられたか、本人が安心して立ち止まれる環境にあったかが大きく影響する、という見方が支援現場では広く共有されています。

具体的に影響を与えるとされる要因を整理すると、以下のようになります。

1.不登校中に自己肯定感を損なわなかったかどうか
責められ続けた環境と、受け入れられた環境では、その後の回復に大きな差が生まれやすいという傾向があります。

2.進路の選択肢を知っていたかどうか
通信制高校・高卒認定・サポート校・大学進学など、複数の選択肢を知っていた家庭と知らなかった家庭では、次の一歩の踏み出し方に違いが出やすい状況があります。

3.専門的な支援につながれたかどうか
発達障害・起立性調節障害・社交不安障害など、不登校の背景に医学的な要因がある場合、適切な診断・治療・配慮があったかどうかも、その後の生活に影響を与える場合があります。必要に応じて医師・スクールカウンセラーなどの専門家へご相談されることをお勧めします。

4.保護者が「待てる」状態にあったかどうか
保護者が焦らず、子どもの回復を長期的に支えられる環境にあったことも、子どもの安心感に大きく関わります。

まとめ

「不登校だった子どもが20代でどうなるか」という問いに対して、「全員がこうなる」という一律の答えはありません。ただ、文部科学省の調査データが示すように、多くの不登校経験者は何らかの形で次の段階へ進んでいます。そしてそのルートは、通信制高校・高卒認定・就労支援など、以前より豊かに広がっています。

今、お子さんが不登校の状態にある保護者の方にお伝えしたいのは、「20代が終わる前に間に合う」という視点を持っていただくことです。今すぐ動けなくても、情報を集めておくことが、後の選択肢を広げます。まずはお近くの教育支援センターや、こども家庭庁の相談窓口(https://www.cfa.go.jp/)に問い合わせてみることから始めてみてください。

参考情報:
・文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・文部科学省「平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/futoukou/
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/

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・不登校から通信制高校への転籍:手続きと選び方:https://futoukou.co.jp/correspondence-school/
・高卒認定試験の仕組みと合格までのステップ:https://futoukou.co.jp/high-school-equivalency/
・不登校の子どもを持つ保護者が使える支援制度一覧:https://futoukou.co.jp/support-system/

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