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不登校の子どもはアルバイトができるのか

不登校の子どもはアルバイトができるのか

学校に行けていない時期、お子さんが「アルバイトをしてみたい」と言い出したとき、保護者の方はどう感じるでしょうか。「それよりも学校に戻ることを考えてほしい」と思う一方で、「外に出て人と関わることが回復のきっかけになるかもしれない」と期待する気持ちが混ざり合う方も多いのではないでしょうか。不登校とアルバイトの関係は、制度的にも心理的にも整理しておくべきことがいくつかあります。法律上の可否から家庭での向き合い方まで、順番に確認していきましょう。

目次

そもそも不登校中のアルバイトは法律的に可能なのか

まず制度面から確認しておきましょう。労働基準法第56条では、「使用者は、満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、児童を使用してはならない」と定められています。つまり、中学生(15歳未満)は原則としてアルバイトができません。一方、高校生年齢(15歳以上)については、「年少者」として一定の制限はあるものの、アルバイト自体は法律上禁止されていません。

ここで重要なのは、「不登校であること」と「アルバイトの可否」は法律上は直接関係がないという点です。不登校は学校への出席状況の問題であり、就労の可否は労働基準法によって年齢で判断されます。つまり、高校生年齢のお子さんであれば、不登校であるかどうかにかかわらず、法律上はアルバイトを行うことができます。

ただし、在籍している学校のルールは別の話です。全日制高校や定時制高校に籍を置いている場合、学校によっては「アルバイト禁止」または「事前許可制」を設けているところもあります。在籍中の学校の規則を確認することが最初のステップです。また、中学校に籍がある場合は、そもそも年齢的にアルバイトが法律上禁止されているケースがほとんどです。

なお、通信制高校に在籍しているお子さんの場合は、登校頻度が少なく自分のペースで学習を進められる仕組みが特徴であることから、アルバイトに対して比較的柔軟に対応している学校が多い傾向があります。アルバイトと学業を両立している生徒も少なくないとされています。

不登校中にアルバイトをすることのプラスとリスク

アルバイトが不登校のお子さんに与える影響は一面的ではありません。保護者の方が判断するうえで、プラスとなりうる面とリスクの両方を把握しておくことが大切です。

プラスとなりうる面を挙げると次のようになります。

1.社会とのつながりができる
学校に行けていない時期は、家庭の外との接点が極端に少なくなります。アルバイト先の人間関係は「学校」とは異なるコミュニティであるため、学校での出来事が原因の不登校であっても比較的ストレスなく参加できるケースがあります。

2.自己肯定感が回復するきっかけになりうる
「自分もできる」「役に立てている」という実感は、長期間の不登校で傷ついた自己効力感を少しずつ回復させる可能性があります。

3.生活リズムの改善につながりうる
決まった時間に出勤する義務が生まれることで、昼夜逆転しがちな生活リズムが整うことがあります。

一方、リスクとして考えられる点もあります。

1.無理をして状態が悪化する可能性がある
回復途中の段階でアルバイトを始めると、職場の人間関係や業務のプレッシャーが新たなストレスになることがあります。

2.「アルバイトはできるのに学校に行けない」という誤解が生まれる
家庭内や周囲の人から「なぜ学校には行けないのに働けるのか」という疑問が生まれ、お子さんがプレッシャーを感じてしまうことがあります。

3.睡眠や体調管理が難しくなる
起立性調節障害など身体的な理由で不登校になっているお子さんの場合、勤務時間帯によっては体調悪化につながる恐れがあります。

始める前に確認しておきたい3つのこと

アルバイトを前向きに検討する段階になったとき、保護者の方がお子さんと一緒に確認しておくべきことを整理します。

1.本人が「やってみたい」と自発的に思っているか
アルバイトを促すのが保護者の意図からであっても、最終的に職場に立つのはお子さん自身です。「やらされている」という感覚では続かないだけでなく、新たな傷つきにつながることもあります。

2.在籍している学校のルールを確認しているか
全日制や定時制に在籍している場合は、学校のアルバイトに関する規定を確認してください。多くの場合、担任教師に相談することで許可を得られる学校もあります。

3.体調・精神的な状態が安定しているか
文部科学省の「生徒指導提要」(2022年改訂版)では、不登校支援の基本として「学習状況や生活状況を把握しつつ、本人の意思を尊重すること」が重要だと示されています(出典:文部科学省「生徒指導提要」2022年12月改訂)。アルバイトについても同様の視点が必要であり、お子さんの状態が安定していることを前提に検討することが大切です。

通信制高校在籍の場合はアルバイトしやすい環境が整いやすい

通信制高校は、登校頻度が少なく、自分のペースで学習を進められる仕組みが特徴です。そのため、アルバイトとの両立を考えるうえで全日制高校より条件が整いやすい環境といえます。

文部科学省「学校基本調査」(2023年度)によると、通信制高校の在籍者数は約26万7,000人に達しており、前年度より増加傾向が続いています(出典:文部科学省「令和5年度学校基本調査」)。通信制高校を選ぶ理由として、「自分のペースで学びたい」「学業以外の活動と両立したい」という声があることも、各校の在校生インタビューなどで広く確認されています。

通信制高校の中には、大学受験対策と高校卒業資格取得を同時にめざせるサポート体制を整えた学校も増えています。こうした環境では、週に数日の通学でよい分、残りの時間をアルバイトや自己学習にあてやすい点が保護者の方にも支持されています。

一方で、サポートが手厚い分、学費が全日制より高くなるケースもあります。経済的な観点からアルバイト収入を家庭の教育費の一部に充てることを考える家庭もあるようですが、学費の詳細については各校の公式サイトで必ず確認するようにしてください。

まとめ

不登校中のお子さんがアルバイトをすることは、中学生年齢を除けば法律上は可能です。在籍学校のルール確認は必要ですが、アルバイトが社会参加のきっかけや自己肯定感の回復につながるケースもあります。ただし、お子さんの意思と体調・精神的な状態が安定していることが大前提です。文部科学省「生徒指導提要」(2022年改訂版)が示すように、本人の意思を尊重した支援が基本となります。まずはお子さんと丁寧に話し合い、必要であれば担任やスクールカウンセラー、支援機関に相談してみてください。焦らず、お子さんのペースを大切にしながら判断していきましょう。

・文部科学省「生徒指導提要(改訂版)」2022年12月 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・文部科学省「令和5年度学校基本調査」https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/

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・不登校の子どもへの保護者の関わり方と支援の基本:https://futoukou.co.jp/parents-support/
・不登校からの進路選択肢と回復のステップ:https://futoukou.co.jp/career-path/

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