子どもが学校に行けなくなったとき、「誰かに話を聞いてほしい」と思いながらも、ママ友には打ち明けられないと感じている保護者の方は多いのではないでしょうか。近くにいるはずの人ほど、なぜか言い出せない。その孤独感は、思っている以上に心を締めつけるものです。つらいですよね。あなたがその気持ちを抱えているのは、けっしておかしなことではありません。
「ママ友には言えない」と感じるのはなぜでしょうか
ママ友との関係は、学校という共通の場を中心に成り立っていることが多いものです。だからこそ、「子どもが学校に行っていない」という事実を打ち明けるのは、ほかの悩みを相談するより何倍もの勇気が必要に感じられます。
「どう思われるだろう」「子どもの話が広まってしまわないか」「育て方を責められるかもしれない」。そんな不安がぐるぐると頭をよぎって、結局、誰にも言えずに一人で抱え込んでしまう。そのような経験をされている保護者の方は、決して少なくないと思います。
また、「相談したところで、解決策を押しつけられてしまいそう」「励まされるほどつらくなってしまう」という気持ちもあるのではないでしょうか。共感してほしいだけなのに、「うちの子も一時期そうだったけど、頑張ったら乗り越えたよ」などと言われてしまうと、かえって傷つくこともあります。
あなたがママ友に言えないと感じるのは、あなたの心がそれだけ繊細にお子さんのことを考えているからではないでしょうか。弱いのではなく、慎重なのです。その慎重さは、お子さんを守ろうとする親心だと感じます。
「自分の育て方が悪かったのでは」と自分を責めてしまっている保護者の方も多いと思います。そのお気持ち、きちんと受け止めています。一緒に考えていきましょう。
「自分だけではない」と知ることの大切さ
一人で抱え込んでいると、「うちだけがこんな状況なのでは」という孤独感がどんどん強くなっていきます。でも、実際には同じ状況の家庭はとても多くあります。
文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(令和4年度)によると、小・中学校の不登校児童生徒数は約29万9千人に上り、過去最多を更新したという発表がなされています。単純計算すると、全国の小中学生のおよそ3.2パーセント、クラスに1人以上の割合で不登校のお子さんがいることになります(出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」令和4年度)。
また、内閣府が令和5年に公表した調査では、15歳から64歳のひきこもり状態にある方の数はおよそ146万人と推計されており、これは同世代人口のおよそ2パーセントにあたる規模です(出典:内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和5年度)」)。不登校やひきこもりは、特別な家庭だけの問題ではなく、多くの家庭で起きていることなのです。
「ママ友グループの中でも、実は同じ悩みを抱えている人がいるかもしれない」と思うと、少しだけ気持ちが楽にならないでしょうか。あなたの周りにも、打ち明けられずに黙っている保護者の方が、もしかしたらいるかもしれません。
ママ友以外に話せる場所が、確かにあります
「ママ友には言えないけれど、誰かに話を聞いてほしい」という気持ちはとても自然なことです。無理に今のコミュニティの中で解決しようとしなくていい、ということもお伝えしたいと思います。
ここ数年で、不登校の保護者が集まるオンラインコミュニティやSNSグループが広がっています。顔も名前も出さずに参加できる場が増えていて、「同じ気持ちの人がいた」という経験をされている方も多くいらっしゃいます。検索すれば、X(旧Twitter)やInstagramで「#不登校ママ」「#不登校保護者」といったタグで多くの投稿を見つけることができます。読むだけでも「一人じゃなかった」と感じられることがあります。
こども家庭庁(https://www.cfa.go.jp/)や、各地の教育相談センターでは、保護者向けの電話相談や対面相談の窓口が設けられています。「専門家に相談するほどの話ではないかも」と遠慮してしまう方もいるかもしれませんが、どんな小さな不安でも受け止めてもらえる場所です。「ただ話を聞いてほしい」という目的で利用されても構いません。
また、厚生労働省のひきこもり支援ポータルサイト「ひきこもりVOICE STATION」(https://hikikomori-voice-station.mhlw.go.jp/)では、当事者や家族の声が集められており、「こんな気持ちになるのは自分だけじゃない」と感じられるコンテンツが用意されています(出典:厚生労働省ひきこもり支援ポータルサイト「ひきこもりVOICE STATION」2025年5月時点)。
ママ友への「伝え方」に悩んでいる方へ
一方で、「やはり近くにいるママ友に、少しだけ事情を伝えたい」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。全部を話さなくていい、という前提でいくつかの考え方をお伝えします。
「詳しくは言えないけれど、うちの子は今少し休んでいる時期で」という伝え方は、情報を絞りながら孤立を防ぐ一つの方法です。すべてを打ち明けないことは、隠しているのではなく、お子さんのプライバシーを守ることでもあります。
また、ママ友グループの中で「信頼できる一人」に絞って話してみるという選択肢もあります。大勢に一度に伝えようとすると、情報がコントロールしにくくなりますが、一対一で話せる場を選ぶことで、より安心できることがあります。
相談する相手を選ぶときに意識したいのは、「解決策を求めているか、共感を求めているか」を自分の中で整理しておくことかもしれません。「ただ聞いてほしいだけ」と最初に伝えることで、相手も余計なアドバイスをせずに話を聞いてくれやすくなります。
あなたのペースで、話せると感じたときに、話せる相手に、話せる範囲で。それで十分です。焦らなくて大丈夫です。
まとめ
「ママ友に相談できない」と感じている保護者の方の気持ちは、とても自然なものです。誰に話せばいいかわからない孤独感は、多くの保護者の方が経験されていることです。あなた一人が特別に弱いわけでも、育て方が間違っていたわけでもありません。
まずは「自分だけではない」と知ること、そして、ママ友以外にも話せる場所があることを、ぜひ頭の片隅に置いておいてください。こども家庭庁やひきこもりVOICE STATIONなど、公的な相談窓口は、あなたのような保護者の方のために用意されています。
お子さんのことを真剣に考え続けているあなたの愛情は、きっとお子さんに伝わっています。一人で抱えすぎず、少しずつ、話せる場所を探してみてください。
・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(令和4年度)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・内閣府「こども・若者の意識と生活に関する調査(令和5年度)」https://www.cao.go.jp/youth/kenkyu/
・厚生労働省「ひきこもり支援に関する取組」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/
関連記事
・不登校の子どもへの声かけと接し方:https://futoukou.co.jp/parents-support/
・不登校の保護者が使える相談窓口まとめ:https://futoukou.co.jp/support-system/
・不登校の回復期に保護者ができること:https://futoukou.co.jp/recovery/

コメント