「通信制高校って、ちゃんと卒業できるの?」——そんな不安を抱えたまま学校選びが止まっている保護者の方は少なくないはずです。卒業率のデータを調べようとしても、なかなか明確な数字が見つからず、余計に不安が募るという声もよく聞かれます。公式データをもとに卒業できる仕組みや学校選びのポイントを順序立てて確認することで、一歩踏み出すきっかけにしていただければ幸いです。
通信制高校の卒業率はどれくらいなのか
通信制高校の卒業率を知るうえで、まず参照すべきは文部科学省「学校基本調査」です。同調査(令和5年度版)によると、通信制高校の在籍者数は約26万6,000人にのぼり、近年も増加傾向が続いています。一方で卒業率については、全日制・定時制と比べて単純な比較が難しいという特徴があります。
その理由は、通信制高校には「修業年限の柔軟性」があるためです。全日制では3年での卒業が標準ですが、通信制では3年以上在籍して卒業する生徒も多く、「3年間で卒業した人数」だけを卒業率として示すと、実態より低い数字になってしまいます。文部科学省の統計では、通信制高校の中途退学率は全日制より高い傾向があるとされており、令和4年度の調査では通信制高校の中途退学者数は約5万人という数字が示されています(出典:文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」)。
ただし、この数字をそのまま「通信制高校は卒業しにくい」と読み取ることには注意が必要です。通信制高校には、不登校や病気・家庭の事情など、さまざまな背景を持つ生徒が集まります。状況が落ち着いてから再入学・転入学するケースも多く、在籍者の状況は全日制とはそもそも異なります。各校の個別の卒業率については、学校見学や個別相談で直接確認することが、最も正確な情報収集につながります。
卒業率が高くなる学校の特徴
通信制高校を選ぶ際に「卒業しやすい環境かどうか」を見極めるポイントがあります。サポート体制・登校頻度・学習スタイルの3点が、特に重要な指標となります。
まず「サポート体制」については、担任制・メンター制・個別面談の有無を確認してください。たとえばN高等学校・S高等学校(運営:KADOKAWA・ドワンゴ)では、2025年12月末時点で全校生徒数35,744名を抱えながら、複数のメンターが生徒をサポートする体制を公式HPで紹介しています(出典:N高等学校公式サイト https://nnn.ed.jp/)。生徒数が多くてもサポート体制が整っている学校であれば、孤立して学習が止まるリスクを下げることができます。
次に「登校頻度の選択肢」です。週1日〜週5日まで自分のペースで選べる学校か、オンライン完結型も選べるかによって、体力や精神面の状態に合わせた継続がしやすくなります。クラーク記念国際高等学校では、週5日通学の「全日型」から月1〜2回程度の通学で卒業できるコースまで、3つの通学スタイルを公式HPで案内しています(出典:クラーク記念国際高等学校公式サイト https://www.clark.ed.jp/)。
さらに「転入・編入の受け入れ」も確認ポイントになります。年度途中でも入学できる学校は、状況が変わったときに柔軟に対応しやすいため、継続して在籍する土台になります。
卒業するために必要な3つの条件
通信制高校を卒業するには、高等学校学習指導要領で定められた3つの条件を満たす必要があります。この仕組みを理解しておくと、「どこでつまずきやすいか」が見えてきます。
1.74単位以上の修得
高校卒業には74単位以上が必要です。通信制では1単位あたりのレポート・スクーリング・テストの課題をこなすことで単位を積み上げていきます。
2.3年以上の在籍期間
最低でも3年間は在籍していることが必要です。ただし3年で卒業する義務はなく、4年・5年かけて卒業する生徒もいます。
3.特別活動への参加(30単位時間以上)
ホームルームや体育祭・文化祭といった特別活動に、3年間で合計30時間以上参加することが求められます。オンライン参加を認める学校も増えており、学校によって対応が異なります。
ここで多くの生徒がつまずくのが「レポート提出の遅れ」です。自己管理で進める学習スタイルのため、提出期限の管理が難しいと感じる生徒も少なくありません。サポート校(学習支援を行う民間の教育施設)を併用することで、レポートのフォローや生活リズムの立て直しを一緒に進めるという選択肢もあります。保護者の方は、お子さんの自己管理が難しい場合でも「サポート校を使えば仕組みで補える」と知っておくと、選択肢が広がるでしょう。
入学から卒業までのスケジュールと手続きの流れ
通信制高校の入学〜卒業までの一般的な流れを逆算で確認しておきましょう。4月入学を例にした場合のスケジュールは以下の通りです。
1.入学の3〜4ヶ月前(12〜1月ごろ)
学校の資料請求・オープンスクール参加・個別相談を行います。複数校を比べ、卒業率・サポート体制・学費を確認してください。
2.入学の2ヶ月前(2月ごろ)
出願書類(願書・調査書・健康診断書など)を準備します。中学校の担任や校長への書類依頼が必要な場合があるため、早めに動くことをおすすめします。
3.入学の1〜2ヶ月前(2〜3月)
入学試験(多くの学校で作文・面接のみ)を受け、合格通知・入学金の振込を行います。
4.入学後(4月〜)
オリエンテーション参加・教材配布・学習スタートとなります。最初の1ヶ月は「ペースをつかむ」ことを目標にすると無理なく進めることができます。
5.3年後以降(卒業)
単位・在籍期間・特別活動の3条件が揃ったタイミングで卒業となります。
なお、学費については学校により大きく差があります。一例として、鹿島学園高等学校の公式サイトでは令和8年度入学に関する費用案内を掲載しており、最新情報は各校の公式HPでご確認ください(出典:鹿島学園高等学校公式サイト https://www.kg-school.net/gakuen/)。
まとめ
通信制高校の卒業率は、全日制と単純比較できない背景があります。大切なのは「その学校に卒業をサポートする仕組みがあるか」を見極めることです。サポート体制・登校スタイルの選択肢・転入対応の有無の3点を軸に学校を比べ、オープンスクールや個別相談で実際に雰囲気を確かめてみてください。お子さんのペースを大切にしながら、一歩ずつ情報を集めていただければと思います。焦らず、丁寧に選んだ学校が、3年後の卒業につながる土台になります。
・文部科学省「令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302902.htm
・N高等学校 公式サイト https://nnn.ed.jp/
・クラーク記念国際高等学校 公式サイト https://www.clark.ed.jp/
・鹿島学園高等学校 公式サイト https://www.kg-school.net/gakuen/
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