「子どもが学校に行けなくなったとき、どこに相談すればいいのだろう」と途方に暮れた経験のある保護者の方は、少なくないと思います。文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、小中学校における不登校児童生徒数は約34万6,000人にのぼり、過去最多を更新し続けています。こうした状況を受け、2023年に発足した「こども家庭庁」が不登校対策においても重要な役割を担い始めています。制度がたくさんあって「結局どこが何をしているのかわからない」という保護者の方のために、こども家庭庁の取り組みを中心に整理してお伝えします。
こども家庭庁とは何か:「こどもまんなか」社会の実現を目指す省庁
こども家庭庁は2023年4月に発足した、子どもに関する政策を一元的に担う省庁です。こども家庭庁の公式サイト(https://www.cfa.go.jp/)には、「こどもがまんなかの社会を実現するために、こどもの視点に立って意見を聴き、こどもにとっていちばんの利益を考え、こどもと家庭の福祉や健康の向上を支援し、こどもの権利を守るためのこども政策に強力なリーダーシップをもって取り組みます」という基本姿勢が明記されています。
これまで子どもに関する施策は文部科学省・厚生労働省・内閣府などに分散していました。不登校支援ひとつとっても、学校教育に関わる部分は文科省、福祉的支援は厚労省、というように窓口が分かれており、保護者が「どこに相談すればいいかわからない」という状態が生まれやすい構造でした。こども家庭庁はその縦割りを解消し、子どもに関わる施策を横断的に調整するための司令塔として位置づけられています。
つまり、不登校対策においても「学校の問題だから文科省だけの話」ではなく、子どもの生活全体・福祉・心理・医療も含めて一体的に支援していこうという方向性が、こども家庭庁の発足によってより強く打ち出されるようになったと言えます。保護者の方にとっては、相談先が整理されつつある時代に入ってきているとご理解いただけると思います。
「こどもの居場所づくり」:学校以外の学びの場を公的に認める動き
こども家庭庁が不登校対策として力を入れている施策のひとつが、「こどもの居場所づくり」です。2023年に閣議決定された「こどもの居場所づくりに関する指針」に基づき、学校だけでなくフリースクールや放課後の居場所など、多様な場所でこどもが安心して過ごせる環境を整えることが国の方針として明示されました。
これは保護者の方にとって非常に重要な変化です。従来は「学校に戻ることが最優先」という空気が根強くありましたが、国の指針として「学校以外の場所での過ごし方も支援の選択肢のひとつ」と位置づけられたことで、フリースクールや家庭でのオンライン学習なども選びやすくなっています。
具体的には以下のような取り組みが進められています。
1.フリースクール等の民間施設との連携促進
2.こどもの居場所を運営するNPO・民間団体への支援
3.教育支援センター(適応指導教室)の充実
4.オンラインを活用した学習支援の環境整備
ただし、これらの制度は自治体によって整備状況に大きな差があります。「指針が出た=すぐにどこでも使える」というわけではなく、お住まいの自治体の窓口に直接確認することが大切です。「制度の方針は出ているが、まだ具体的なサービスが整っていない地域もある」という現実も念頭に置いていただければと思います。
文科省との連携・COCOLOプランと、保護者が今すぐ使える相談窓口
こども家庭庁単独の取り組みに加え、文部科学省との連携も重要です。文部科学省は2023年3月に「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」を策定しました。このプランはこども家庭庁の方針とも連動しており、以下の3本柱で構成されています。
1.「心の居場所」としての学校づくり:不登校になりにくい環境整備
2.「学びの場」の確保:教育支援センターやフリースクールの活用推進
3.学校の外との連携強化:福祉・医療・民間との連携体制の構築
文部科学省の生徒指導ページ(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/)では、不登校支援に関する施策や調査結果が随時更新されており、現在の不登校対策の全体像を把握するうえで参考になります。
こども家庭庁とCOCOLOプランを組み合わせると、国が目指している不登校対策の方向性が見えてきます。それは「学校復帰を唯一の目標にするのではなく、どこにいてもこどもの学びと育ちが保障される仕組みをつくる」ということです。保護者の方が「うちの子は学校に戻れないかもしれないが、それでも大丈夫なのだろうか」と不安に感じているなら、この方向性はひとつの安心材料になるのではないでしょうか。
制度の方向性を知ることと、実際に支援を受けることは別の話です。「どこに相談すればいいか」を具体的に整理しておきましょう。
1.こども家庭庁 こどもの相談窓口案内
こども家庭庁の公式サイトには、相談窓口のご案内ページが設けられています。子どもの困りごとに応じた相談先をまとめて確認できます。
2.文部科学省「子供のSOSダイヤル」(0120-0-78310)
全国どこからでも無料で相談できる電話窓口です。不登校・いじめ・学校に関する悩みを専門の相談員が聞いてくれます。
3.教育支援センター(適応指導教室)
各市区町村の教育委員会が設置している公的な支援機関です。学校以外の場所で専門スタッフのサポートを受けながら学習・生活リズムの回復を目指すことができます。利用は原則無料です。
4.フリースクール・NPOの民間支援
民間のフリースクールやNPOによる支援も選択肢のひとつです。ただし、費用・サポート内容・在籍校との出席扱いの可否は施設によって異なります。利用前に必ず在籍校と連携の確認をとることをおすすめします。
保護者の方が一人で情報を集めて判断しようとすると、どうしても疲弊してしまいます。「まずどこか一カ所に相談する」ことが、支援を受ける最初のステップです。
まとめ
こども家庭庁の発足と「こどもの居場所づくり指針」、そして文部科学省のCOCOLOプランによって、不登校への対応は「学校復帰だけを目指す」から「子どもの状態に合わせた多様な支援を組み合わせる」方向へと、国の方針レベルで変わりつつあります。文部科学省の調査では不登校の子どもが34万6,000人を超えているという現実があり、社会全体として支援の仕組みを整えていくことが急務とされています。保護者の方には、「制度がある」ということを知ったうえで、まずお住まいの自治体の窓口かこども家庭庁・文科省の相談ダイヤルに一度連絡してみることをおすすめします。お子さんのペースに合わせた選択肢は、以前よりずっと広がってきています。
・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」(2023年度)https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/
・文部科学省「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/futoukou/
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