「今日も休ませます」と毎朝電話するたびに、気持ちが重くなってはいないでしょうか。不登校のお子さんを持つ保護者の方から多く聞かれるのが、「学校への連絡をどのくらいの頻度でしていいのか、正直わからない」というお悩みです。毎日電話するのが正しいのか、担任の先生にどこまで話せばいいのか、子どもがいる前で電話するのは良くないのか……判断に迷うことが多いのは当然のことです。文部科学省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』(2024年度)によると、2023年度の小中学生の不登校児童生徒数は約34万6,000人にのぼり、過去最多を更新しています。これだけ多くの家庭が同じ状況に直面しているにもかかわらず、「学校への連絡の仕方」について体系的にまとめられた情報は多くありません。この記事では、公式ガイドラインや制度の仕組みをもとに、連絡頻度と伝え方を整理してお届けします。
「毎日電話」は義務ではありません
まず、多くの保護者の方が思い込んでいることをひとつ整理させてください。欠席の際に毎日学校へ電話連絡をすることは、法律上・制度上の義務ではありません。
学校教育法上に定められているのは「保護者は子どもを就学させる義務(就学義務)」ですが、欠席の連絡方法については各学校・各家庭の対応に委ねられているのが実情です。文部科学省が2022年に改訂した『生徒指導提要』では、不登校の支援において「子どもや保護者の心理的安全を確保すること」「関係機関との連携を通じた支援」が強調されており、家庭への過度な負担をかけない対応が学校側にも求められています(出典:文部科学省「生徒指導提要」2022年改訂版)。
つまり、毎朝電話することが保護者の義務であるかのように感じてしまっている方も多いのですが、それは慣習であり制度的な強制ではないということです。「連絡すること自体が子どもへのプレッシャーになっている」「電話口での先生のひと言が自分を追い詰める」と感じている場合は、連絡の仕方を学校と話し合って変えることが可能です。
担任の先生に「毎日の電話が負担になっているので、連絡方法を変えてもらえますか」と率直に伝えることは、決して非常識なお願いではありません。週1回のまとめ連絡にする、連絡帳やメールで代替する、スクールカウンセラーを経由して近況を伝えるなど、学校との合意のもとで柔軟に対応できる余地があります。
連絡頻度の目安と「段階別の考え方」
では、実際にどの程度の頻度で学校と連絡を取るのが適切なのでしょうか。一律の正解はありませんが、不登校の状態と時期に応じて目安を考えることができます。
不登校初期(1〜2週間ほど)は、学校側も状況を把握しようとする時期です。この段階では、週に数回程度の連絡を担任と相談しながら続けることで、学校側の把握漏れを防ぎ、支援体制を整えてもらいやすくなります。お子さんが起き始めた頃や学校の連絡が入る時間帯にプレッシャーを感じている場合は、「夕方以降に電話する」「メモを学校ポストに投函する」など時間帯の工夫も有効です。
不登校が継続している時期(数週間〜数ヶ月)は、週1回程度の定期的な連絡に切り替えてもよいでしょう。この際、学校側から「何か変化があれば連絡します」「こちらからも定期的にご連絡します」と合意を取っておくと、双方の負担が軽減されます。
長期化している場合(数ヶ月以上)は、担任だけでなくスクールカウンセラーや教育支援センター(適応指導教室)を窓口にすることで、家庭と学校のやり取りをより専門的にサポートしてもらえます。文部科学省の生徒指導体制では、不登校支援においてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーとの連携が推奨されています(出典:文部科学省「生徒指導」公式ページ、2024年参照)。
担任の先生への「伝え方」のポイント
連絡の頻度と同じくらい重要なのが、何をどう伝えるかです。担任の先生に状況を共有することは大切ですが、保護者の方が「何を話すべきか」と毎回悩んでしまうと、それ自体が負担になります。
伝える内容は、次の3点に絞ると整理しやすくなります。
1.お子さんの今の状態(体調・生活リズム・気持ちの変化)
2.保護者自身が感じていること、困っていること
3.次のステップとして検討していること(支援機関への相談予定など)
特に意識していただきたいのは、「学校に謝罪する必要はない」という点です。不登校は怠けや家庭のしつけの問題ではなく、文部科学省も「不登校はどの子どもにも起こりえること」と明記しています(出典:文部科学省「不登校の現状に関する認識」)。「うちの子がご迷惑をかけて申し訳ありません」という形で連絡を始める必要はなく、「今の状況を共有したい」「連携して支援を考えたい」という立場で話してよいのです。
また、先生との会話が毎回長くなって精神的に疲弊してしまう場合は、「今日は○分ほどお時間をいただけますか」と時間をあらかじめ伝える方法も有効です。
子どもに見聞きさせない「連絡のタイミング」の工夫
連絡の頻度や内容と並んで、多くの保護者の方が迷うのが「子どもがいるときに電話していいのか」という問題です。
不登校の状態にあるお子さんの多くは、自分が学校に行けていることへの罪悪感や、「親が自分のことで大変な思いをしている」という感覚を持っていることがあります。そのため、親が学校と電話しているやり取りや、電話後に表情が曇る様子などを子どもが見聞きすることで、さらに自己否定感が強まってしまうケースも少なくないとされています(出典:文部科学省「生徒指導提要」2022年改訂版)。
可能であれば、連絡は子どもが別室にいる時間・睡眠中・外出中のタイミングを選ぶことをおすすめします。また、学校からの電話を受けた後に気持ちを切り替えて子どもと接するためにも、連絡後に少し時間を置くなどの「自分のための余白」を確保することも大切です。
もし「電話すること自体が毎朝の大きなストレスになっている」と感じているなら、それはすでに保護者の方自身が支援を必要としているサインかもしれません。保護者が安定していることが、お子さんの回復の大きな支えになるという視点を忘れないでください。
まとめ
「学校への連絡をどうすればいいか」という悩みは、多くの保護者の方が抱えているものです。毎日の電話は義務ではなく、頻度や方法は学校と話し合って変えることができます。不登校の状態や時期に合わせて「週1回の定期連絡」「メールやスクールカウンセラー経由」など柔軟な対応を取ることが、保護者の方の負担軽減にもつながります。
伝える内容は「今の状態・困っていること・次のステップ」の3点に絞り、謝罪の形ではなく連携の形で話すことを意識してみてください。文部科学省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』(2024年度)によると、2023年度の不登校児童生徒数は約34万6,000人です。その一人ひとりの家庭が、同じように悩みながら対応しています。まずは学校の担任やスクールカウンセラーに「連絡の仕方を相談したい」と伝えることから始めてみましょう。
・文部科学省「生徒指導提要」(2022年改訂版) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2024年度) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/
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