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不登校のきっかけと主な原因をわかりやすく解説

不登校のきっかけと主な原因をわかりやすく解説

「急に学校に行けなくなった。一体、何が原因なんだろう」と感じている保護者の方は多いのではないでしょうか。文部科学省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』(2023年度)によると、小・中学校における不登校の児童生徒数は約34万6,000人にのぼり、過去最多を更新しています。これほど多くの子どもたちが不登校を経験しているにもかかわらず、「なぜ我が子が」「どこに原因があるのか」という問いに明確な答えを見つけられず、一人で抱え込んでいる保護者の方は少なくありません。不登校が始まるきっかけと、その背景にある主な原因を公式データをもとに順を追って見ていきましょう。

目次

不登校の「きっかけ」と「原因」は別物である

保護者の方からよく聞かれる言葉の一つが、「あのときがきっかけだったのかもしれない」という振り返りです。ただ、不登校を考えるうえで大切な視点があります。それは「きっかけ」と「原因」は必ずしも同じではないということです。

きっかけとは、不登校が表面化するきっかけとなった出来事です。たとえば「クラス替えをした」「先生が変わった」「友人とのトラブルがあった」「体育祭の後から行けなくなった」といったものが当てはまります。一方で原因とは、その出来事が引き金になった背景にある要因のことで、長期間にわたって積み重なってきたストレスや、本人の気質・環境との相性などが複雑に絡み合っています。

文部科学省の同調査では、不登校の要因として「学校に係る状況」「家庭に係る状況」「本人に係る状況」の3つの大きなカテゴリに分けて分析しています。一つの出来事だけが原因になることは少なく、複数の要因が重なって「もう限界」という状態になったときに学校へ行けなくなるケースが多いと示されています。

つまり、「あの日の出来事があったから」と一つの出来事に原因を求めすぎると、本質的な支援につながりにくくなることがあります。きっかけはあくまでも「最後の一押し」であり、背景をていねいに見ていくことが解決への第一歩になります。

文科省データが示す主な原因の分類

文部科学省の調査では、不登校の主な要因について本人・家庭・学校それぞれの視点からデータを示しています。同調査(2023年度)で小・中学生の不登校の要因として最も多く報告されているのが「無気力・不安」であり、小学生で約51%、中学生で約52%がこの項目に当てはまると報告されています(出典:文部科学省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』2023年度)。

ただし、「無気力・不安」という項目は原因そのものではなく、状態を表す言葉です。その無気力・不安の背景に何があるのかをさらに掘り下げると、以下のような要因が関係していることが多いとされています。

1.友人関係のトラブル:クラス内での人間関係のもつれ、グループからの排除、SNS上でのやりとりをきっかけにした孤立などが報告されています。

2.学習面でのつまずき:授業のペースについていけない、テスト結果が思うように出ないといった経験が積み重なり、登校が苦痛になるケースです。

3.教職員との関係:先生の言葉や態度がきっかけになることもあります。本人が傷ついていても保護者に言えないことも少なくありません。

4.身体症状:朝になると頭痛・腹痛・吐き気などの症状が出て学校に行けないというケースは、心身の疲弊が体に現れているサインである場合があります。起立性調節障害など身体疾患が関係していることもあるため、医療機関への相談も重要です。

5.家庭環境の変化:家族の転居・転校・離婚・育児環境の変化なども、子どもにとって大きなストレスになり得ます。

年代によって異なるきっかけの傾向

不登校が始まるきっかけは、年齢・学年によってある程度の傾向が見られます。

小学校低学年(1〜3年生)では、親と離れることへの不安、いわゆる「分離不安」が影響するケースが多いといわれています。入学という大きな環境変化に対応できず、慣れない集団生活でエネルギーを消耗してしまうことが背景にある場合があります。

小学校高学年(4〜6年生)になると、友人関係や学習難度の上昇が要因として浮かびやすくなります。この時期は自己評価が形成される時期でもあり、クラス内での立ち位置を強く意識するようになるため、友人関係のトラブルが大きなストレスになりやすい傾向があります。

中学生になると、思春期の心身の変化・部活動・定期テストなど環境ストレスが一気に増えます。文部科学省の同調査でも、中学1年生での不登校数が小学6年生と比べて大幅に増加することが報告されており、この急増は「中1ギャップ」と呼ばれることもあります。

高校生では、学校の選択ミスマッチや進路への不安、人間関係の複雑化などが主なきっかけとして報告されています。また、中学時代の不登校が高校進学後に再び表面化するケースも見られます。

このように年代ごとに異なる傾向があることを知っておくと、お子さんの状況を少し客観的に捉えるヒントになるかもしれません。

「原因を特定しなければ」という焦りを手放すこと

不登校の原因を探ろうとすることは自然な気持ちですが、「原因を突き止めて早く解決しなければ」という焦りが、かえってお子さんを追い詰めてしまうことがあります。

こども家庭庁は、不登校支援において「本人の状態に寄り添いながら関わることの重要性」を強調しており、原因の特定よりも、まず安心できる環境をつくることが回復への基盤になると示しています(出典:こども家庭庁 公式サイト)。

原因を理解しようとすることと、原因を「解決しなければならない問題」として急ぐことは、意味が異なります。保護者の方ができることの一つは、「学校に行けないこと」だけに目を向けるのではなく、「今のお子さんの状態をどう支えるか」という視点に軸足を移すことかもしれません。

不登校の原因が複数ある場合、一つの要因を取り除いただけでは登校に戻れないことも多く、専門家(スクールカウンセラー・児童精神科・支援機関)に相談しながら時間をかけて関わっていくことが大切です。まず学校や教育委員会のサポートセンターに連絡を取ることを、一つの選択肢として検討してみてください。

まとめ

不登校のきっかけは一つの出来事であることが多いですが、その背景には友人関係・学習・身体症状・家庭環境など複数の原因が複雑に絡み合っていることがほとんどです。文部科学省の調査では、小・中学生の約51〜52%が「無気力・不安」を主な状態として報告されており、その背景にある要因を丁寧に読み解いていくことが支援の出発点になります。「なぜ行けないのか」を急いで解明しようとするよりも、今のお子さんの状態を受け止め、専門家や支援機関に相談しながら一歩ずつ動くことをおすすめします。焦らなくて大丈夫です。原因が完全にわからなくても、お子さんへの関わり方を見直すことから始められることはたくさんあります。

・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/

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・不登校の子どもへの声かけと接し方:https://futoukou.co.jp/parents-support/
・不登校から通信制高校という選択肢:https://futoukou.co.jp/correspondence-school/
・不登校の回復プロセスと保護者にできること:https://futoukou.co.jp/recovery/

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