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不登校と児童精神科受診のタイミングと流れ

不登校と児童精神科受診のタイミングと流れ

「学校に行けないのは、心の病気なのだろうか」。そう心配しながらも、児童精神科の扉をたたくべきかどうか、踏み出せないでいる保護者の方は少なくないのではないでしょうか。受診を急いで決めつけることも、問題を見過ごし続けることも、どちらも不安に感じるのは自然なことです。児童精神科とはどのような場所なのか、どんなタイミングで受診を検討すればよいのか、そして受診に向けて保護者の方が知っておきたいことを、以下で順にお伝えしていきます。

目次

不登校の背景にある医学的な側面を知っておきましょう

文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、小中学校における不登校の児童生徒数は約34万人にのぼっており、10年以上にわたって増加傾向が続いています。この数字は2024年度調査でもさらに増加していることが文部科学省から発表されており、不登校は今や多くのご家庭で起きている身近な状況です。

不登校の理由はひとつではありません。友人関係のつまずきや学習上の不安、家庭環境の変化など、さまざまな要因が複雑に絡み合っていることが多いとされています。そのなかで、近年特に注目されているのが、不登校の背景に医学的・心理学的な課題が関係しているケースです。

たとえば、強い緊張や恐れが続く「不安症」(anxiety disorder、日常的には「強い不安が長期間続く状態」のこと)、気分が落ち込んで何もできなくなる「うつ症状」、あるいは生活リズムの乱れを引き起こす「起立性調節障害」(朝に血圧が上がりにくく、立ち上がると頭痛やめまいが出る身体の状態)など、外から見えにくい医学的な背景が不登校と深く結びついている場合があります。

こうした背景がある場合、「気持ちの問題」「甘え」として片付けてしまうと、お子さんの本当の苦しさに気づかないままになりかねません。保護者の方が「何かおかしいかもしれない」と感じたとき、その感覚を大切にしてほしいのです。ただし、自己判断で「この症状だから」と決めつけることは避け、あくまで専門家の目線で見てもらうことが大切です。

児童精神科とはどのような場所なのか

「精神科」という言葉を聞くと、「よほど重い状態でないと行けないところ」「行くこと自体が大ごとになる」と感じる保護者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際の児童精神科は、子どもの心と発達に関するさまざまな相談を受けつける診療科です。重篤な疾患だけを扱う場所ではなく、「学校に行けなくなった」「眠れない日が続く」「気分が落ち込んで何もする気になれない」といった状態でも相談できる場所です。

具体的には、発達障害(ADHD=注意が続きにくい・衝動的になりやすい特性、ASD=対人関係や感覚面での独特のあり方を持つ特性など)の評価・支援、不安症やうつ症状への対応、起立性調節障害への医学的評価など、幅広い相談に応じています。医師が診察するだけでなく、心理士がかかわってお子さんの気持ちや認知(ものの受け取り方・考え方のクセ)を整理するカウンセリングが行われるケースもあります。

受診は「診断を受けに行く」ではなく、「専門家にお子さんの状態をみてもらう機会」として捉えるとよいでしょう。診断名がつくかどうかよりも、「今のお子さんにどんな支援や対応が合っているか」を探るプロセスとして受け止めていただけると、受診のハードルが少し下がるかもしれません。

こんな状態が続くときは専門家への相談を検討してください

「受診を急ぐ必要があるのかどうか」は、保護者の方が最も悩む点のひとつです。ここでは「必ずこうすれば正解」という答えをお伝えするのではなく、「こうした状態が続いているようなら、専門家に相談するタイミングかもしれない」という目安として参考にしていただければと思います。

眠れない夜が何日も続いている、食欲がほとんどない日が続いている、「死にたい」「消えてしまいたい」といった言葉が出てきた、自分を傷つける行動がみられる、といった状態は、できるだけ早めに専門機関に相談することが大切です。これらの状態は、お子さんが精神的に非常につらい局面にいることを示している可能性があります。

また、朝になると頭痛やめまい・吐き気が強くて起き上がれない日が続いているときは、起立性調節障害の可能性を念頭に置き、まずはかかりつけ医や小児科に相談することが第一歩になります。日本小児心身医学会は起立性調節障害に関するガイドラインを公開しており、適切な診断と段階的な支援の重要性を示しています。

さらに、「友達との関わり方がわからない」「感覚的なつらさ(音・光・人ごみなど)が強い」「同じ行動・ルーティンへのこだわりが強くて日常生活に影響している」といった特性のあるお子さんの場合は、発達特性の評価が助けになることもあります。どれも「問題があるから受診する」ではなく、「お子さんがもっと楽に過ごせる方法を探すために相談する」というスタンスで臨むことをお勧めします。

受診前に準備しておくと役立つこと

初めて児童精神科を受診する際、「何を話せばいいかわからない」「うまく状況を説明できるか不安」という保護者の方は多くいます。いくつか準備しておくと、診察がスムーズになりますので参考にしてみてください。

まず、「いつ頃から・どのような状態が続いているか」を時系列でまとめておくことが助けになります。不登校が始まった時期、睡眠や食事の変化、気分の波のある時期など、覚えている範囲でメモしておくだけで十分です。正確でなくてもかまいません。

次に、お子さんが普段どのような様子かを伝えることも重要です。「学校以外では楽しく過ごせている場面があるか」「体の症状(頭痛・腹痛・めまいなど)があるか」「家族との関わり方はどうか」といった点を、日頃の観察から率直にお伝えください。

また、「お子さん本人が受診を嫌がっている」という場合には、無理に連れて行くよりも、まず保護者の方だけが相談に行くことも可能な場合があります。初回は保護者のみで情報を共有し、医師の助言を聞いてから対応を考えることも選択肢のひとつです。受診のハードルを下げるためにも、まずは電話で「保護者のみの相談は可能か」を確認することをお勧めします。

なお、児童精神科は全国的に予約が取りにくい状況が続いている地域もあります。かかりつけの小児科医や学校のスクールカウンセラーに相談し、紹介状や予約の取り方についてアドバイスをもらうことも、受診への近道になりえます。

まとめ

お子さんが不登校になったとき、「もしかして心の病気では」と心配する気持ちはとても自然なことです。ただ、自己判断でお子さんの状態を決めつけることなく、専門家の視点でお子さんの状態を見てもらうことが、最も大切なステップになります。文部科学省のデータが示す通り、不登校は特別なことではなく、今多くのご家庭が直面している状況です。一人で抱え込まず、かかりつけ医・スクールカウンセラー・児童精神科などの専門家をうまく活用しながら、お子さんにとって一番楽な道を一緒に探していただければと思います。気になる症状があれば、かかりつけ医や児童精神科など専門家にぜひご相談ください。

・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(令和5年度)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/
・日本小児心身医学会「起立性調節障害(OD)診断・治療ガイドライン」https://www.jisinsin.jp/

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・不登校の子どもへの声かけと接し方:https://futoukou.co.jp/parents-support/
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・不登校と発達障害の関係を理解する:https://futoukou.co.jp/futoukou-basics/

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