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不登校が就職に与える影響と高校卒業後の進路選択

不登校が就職に与える影響と高校卒業後の進路選択

「うちの子、このまま就職できるのだろうか」と不安を感じている保護者の方は、少なくないと思います。不登校を経験した子どもが将来どのような選択肢を持てるのか、就職活動でどのような状況に置かれるのか、正確な情報を知りたいというご要望は多く寄せられています。結論から言うと、不登校の経験が就職に影響するかどうかは、「学歴」と「どのように空白期間を過ごしたか」に深く関わっています。制度と現実を整理しながら、お子さんの将来の選択肢を一緒に考えていきましょう。

目次

不登校の現状と就職への基本的な影響

まず現状のデータを確認しておきましょう。文部科学省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』(2023年度)によると、小・中学校における不登校の児童生徒数は約34万6,000人にのぼり、過去最多を更新しています。これは小・中学生全体のおよそ3.7%にあたる数字です。高等学校でも約6万7,000人が不登校状態にあることが確認されています。

不登校が就職に影響するとすれば、その主な要因は次の2つです。

1.最終学歴の問題
多くの採用において、「高校卒業」または「それと同等の資格」が応募の前提条件になっているケースがあります。不登校により高校を中途退学した場合、「中学卒業」が最終学歴となるため、応募できる求人の幅が狭まる可能性があります。

2.ブランク・空白期間の説明
採用面接において、「学校を休んでいた時期」をどのように伝えるかという問題が出てくることがあります。これは特に正規雇用を目指す場合に影響する可能性があります。

ただし、これらはあくまでも「可能性」であり、不登校を経験したすべての人が就職に困難を感じるわけではありません。重要なのは、どのような「出口」を選ぶかという点です。

学歴の壁をなくす2つのルートを知っておく

不登校経験があっても、高校卒業資格または同等の資格を取得する方法は複数あります。就職活動において「高卒以上」の条件をクリアするための現実的な選択肢として、次の2つが代表的です。

「通信制高校」:学校に毎日通わなくても高校卒業資格が取得できる学校形態です。文部科学省が認可した正式な高校であり、卒業すれば全日制高校と同じ「高校卒業」が最終学歴になります。文部科学省『学校基本統計』(2023年度)によると、通信制高校に在籍する生徒数は約26万7,000人で、近年増加傾向にあります。

「高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験)」:文部科学省が実施する国家試験で、合格することで高校卒業と同等以上の学力があると認定されます。注意点は、これが「高校卒業資格」ではなく「高校卒業と同等の学力があることの証明」であるという点です。つまり最終学歴は「高校卒業」にはならず「高卒認定合格」という位置づけになります。一部の企業や採用要件によっては「高卒以上」に含まれる場合とそうでない場合があります。応募先の企業に確認することが大切です。

この2つの違いを整理します。

通信制高校:最終学歴「高校卒業」、就職時の扱い「高卒以上に含まれる」、特徴「在学期間が必要(標準3年)」
高卒認定試験:最終学歴「中学卒業(認定合格者)」、就職時の扱い「採用条件によって異なる」、特徴「試験に合格すれば学歴に関わらず取得可能」

採用現場の実態と空白期間の伝え方

就職活動において、不登校や中退の経歴があること自体よりも、「その期間に何を考え、どのように向き合ってきたか」を問われる場面が多くなっています。

厚生労働省が管轄するハローワークでは、若年者の就労支援として「わかものハローワーク」「ジョブカフェ」などの専門窓口を設けており、学歴や経歴にかかわらず一人ひとりの相談に応じています。こうした窓口を活用することで、履歴書の書き方や面接での伝え方についてもサポートを受けることが可能です。

また、近年の採用トレンドとして、「通年採用」「第二新卒・既卒採用」「ポテンシャル採用」など、学歴や空白期間よりも本人の意欲や適性を重視する採用形式を導入している企業が増えているという傾向があります。

面接で不登校・中退の経歴を伝える際のポイントとして、以下のことが参考になるかもしれません。

1.「不登校だった」という事実をそのまま話す必要はなく、「体調上の理由で学校を離れていた時期があり、その後〇〇の方法で高校卒業資格を取得しました」というように「現在の状態」と「回復・行動した経緯」をセットで伝えることが大切です。
2.空白期間に「何もしていなかった」と感じていても、当時の状況と、そこから立ち上がった経緯を言語化できるよう準備しておくと、面接での印象が変わります。
3.就職支援の専門家(ハローワーク、若者サポートステーションなど)に同席してもらうことも、精神的な安心感につながる場合があります。

社会への入口となる支援機関を活用する

不登校を経験した若者の就職や社会参加を支援する機関は、国と自治体が連携して設けています。保護者の方が一人で抱え込まず、こうした支援を早めに活用することが大切です。

「地域若者サポートステーション(サポステ)」は、厚生労働省が全国各地に設けた若者の就労支援拠点です。15歳から49歳を対象に、就職に向けた相談や職業体験の機会を提供しています。学歴・職歴不問で相談できる点が特徴です。

「ひきこもり地域支援センター」は、各都道府県・政令指定都市が設置しており、不登校やひきこもり状態にある本人・家族の相談を受け付けています。こども家庭庁の方針のもと、家族への相談対応も充実しつつあります。

「ハローワーク(公共職業安定所)」では、就職活動の実務的なサポートとして、求人情報の提供、履歴書の添削、面接指導などを無料で受けることができます。「担当者制」のハローワークでは、継続的なサポートが受けられる場合もあります。

支援機関は「お子さんが学校に戻れなかったから使う場所」ではなく、「次のステップに向けて一緒に考えてくれるパートナー」として活用できます。保護者だけで動かず、早めにプロの力を借りることをおすすめします。

まとめ

不登校を経験したことが、すなわち就職困難につながるわけではありません。重要なのは、「高校卒業資格をどのように取得するか」と「空白期間にどう向き合ってきたか」という2点です。通信制高校や高卒認定試験などのルートを活用すれば、就職活動に必要な資格・学歴を十分に整えることが可能です。また、地域若者サポートステーションやハローワークなどの支援機関を積極的に活用することで、就職活動の実務面も丁寧にサポートしてもらえます。まずはお住まいの地域の支援窓口に、お子さんとご一緒に、あるいは保護者の方だけでも相談に訪れてみてください。一歩踏み出すことで、見えてくる選択肢は必ずあります。

・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・文部科学省「学校基本統計(学校基本調査)」https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/
・厚生労働省「地域若者サポートステーション(サポステ)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/saposute.html

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