「また今日も学校から電話が来る」と思うと憂鬱になる、という声は保護者の方から広く聞かれます。一方で、「連絡が来なくなって逆に不安」と感じている方も少なくありません。不登校中の担任との連絡は、多すぎても負担になり、少なすぎると孤立感につながるという、とても難しいバランスの上に成り立っています。この記事では、担任との連絡をどのくらいの頻度で、どのような内容で行えばよいのかを、公式の指針と合わせて整理していきます。
不登校の子どもが今どれくらいいるか、まず知っておいてほしいこと
担任との連絡の話に入る前に、一つ数字をお伝えしたいと思います。文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、小・中学校における不登校児童生徒数は34万6,482人にのぼり、過去最多を更新しています。これは全児童生徒のおよそ4%にあたる数です。
つまり、お子さんが学校を休んでいるご家庭は、決して少数ではありません。担任の先生もまた、複数の不登校生徒を同時に担当しているケースが増えており、画一的な対応ではなくご家庭ごとの事情に合わせた連絡方法が求められるようになっています。
文部科学省が2022年に改訂した「生徒指導提要」では、不登校対応において「児童生徒の状況や家庭の状況を丁寧に把握しながら、本人・保護者との信頼関係を基盤に支援を進めること」が基本的な考え方として示されています(出典:文部科学省「生徒指導提要」2022年改訂版)。
ここで重要なのは、「学校側が一方的に連絡する」のではなく、「家庭と学校が双方向で状況を共有する」という姿勢が公式の指針でも前提にされている点です。保護者の方が「連絡をどうしよう」と悩まれるのは、それだけ真剣にお子さんの状況と向き合っている証でもあります。
担任からの連絡、どう受け取ればいいか
不登校になった直後、多くのご家庭では担任から毎朝電話がかかってくる、という状況になりがちです。学校側には「欠席確認」という業務上の理由もありますが、保護者にとっては毎日の電話自体がプレッシャーになることがあります。
まず知っておいていただきたいのは、毎日の電話連絡は「義務」ではなく「慣習」であるという点です。学校と家庭が合意すれば、連絡の頻度や方法は変えられます。実際、文部科学省の生徒指導に関する指針でも、不登校対応は「画一的な対応を避け、個々の状況に応じた支援を行う」ことが繰り返し求められています(出典:文部科学省 生徒指導関連ページ https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/)。
具体的には、次のように担任と取り決めておくと双方が動きやすくなります。
1.連絡の頻度:毎日ではなく週1回などに変更することを申し出る
2.連絡の方法:電話が負担なら連絡帳・メール・学校専用アプリなど代替手段を相談する
3.連絡の内容:「出席・欠席の確認」ではなく「近況の共有」に切り替えてもらうよう伝える
担任の先生に「毎日の電話が負担です」と伝えることを遠慮しなくて構いません。それはモンスターペアレントではなく、家庭の状況を正直に伝える大切なコミュニケーションです。
保護者から担任に伝えるべき内容と避けたい内容
「連絡をするとき、何を話せばいいかわからない」という声もよく聞かれます。担任との連絡で伝えると効果的な内容と、反対に避けたほうがよい内容を以下に整理します。
伝えると効果的な内容は次のとおりです。
1.お子さんの体調や生活リズムの変化(「最近は午後から起きられるようになりました」など)
2.本人の気持ちの変化(「学校の話題には反応するようになってきました」など)
3.保護者自身が今どういう支援方針で動いているか(「スクールカウンセラーと面談を始めました」など)
4.学校への要望があれば明確に(「プリントだけ送ってもらえると助かります」など)
一方、避けたほうがよい表現があります。それは「いつ行けるか」という問いへの無理な回答です。担任側も善意で「そろそろ来られそうですか?」と聞いてくることがありますが、お子さんの状態が安定していないうちに登校の見通しを約束しようとすると、それ自体が親子双方のプレッシャーになります。
「今は回復に集中しています。動けるようになったらまた相談させてください」というように、見通しではなく現在の方針を伝えるほうが、長期的に良い関係を保ちやすいといえるでしょう。
連絡が「負担」になっているとき、どう対処するか
担任との連絡が精神的に辛くなっている場合は、第三者を介すという選択肢があります。
こども家庭庁(https://www.cfa.go.jp/)では、こどもの福祉と家庭支援に関する相談窓口の案内を行っており、学校との連絡方法を含めた相談も対応しています。また、学校内にいるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーに「担任との連絡の仲立ちをしてほしい」と依頼することも、制度上可能な対応の一つです。
学校外では、各都道府県・市区町村の「教育支援センター(適応指導教室)」や「不登校相談窓口」を利用することで、専門家を通じて学校との関係を整理する助けを得ることもできます。
さらに、不登校の状態が長期化している場合や、担任との関係に困難を感じている場合は、校長・副校長・教頭など管理職への相談に切り替えることも一つの選択肢です。担任個人とのやり取りに限定する必要はなく、学校という組織との関係として捉え直すことが、保護者の方の心理的な負担を減らすことにつながる場合があります。
まとめ
不登校中の担任との連絡で大切なのは、「学校のペースに合わせること」ではなく、「お子さんと家庭の状況を正直に共有しながら、無理のない連絡のかたちを作ること」です。文部科学省「生徒指導提要」(2022年改訂版)でも、本人・保護者との信頼関係を基盤にした支援が基本とされており、学校との連絡方法は家庭の意向を伝えることで変えられます。頻度・方法・内容のすべてを担任と話し合って決めてよいのです。もし担任との連絡が負担に感じられているなら、スクールカウンセラーやこども家庭庁の相談窓口など、第三者のサポートを積極的に活用してみてください。一人で抱え込まなくて大丈夫です。
参考情報
- 文部科学省「生徒指導提要」(2022年改訂版): https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
- 文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度): https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
- こども家庭庁 公式サイト: https://www.cfa.go.jp/
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