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学習障害(LD)と不登校の関係を、保護者の方へ

学習障害(LD)と不登校の関係を、保護者の方へ

「うちの子、勉強が苦手なのはわかっていたけれど、まさか学校に行けなくなるとは思っていなかった」——そんな気持ちを抱えている保護者の方は、決して少なくないのではないでしょうか。文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2024年度)によると、小・中学校の不登校児童生徒数は約34万6千人に達しており、その背景にはさまざまな要因が複合的に絡み合っています。学習障害(LD)の特性を持つお子さんの場合、学校の授業で感じる困難が積み重なり、やがて学校そのものへの抵抗感につながるケースがあると、支援の現場では広く知られています。学習障害とはどのような特性なのか、なぜ不登校と結びつきやすいのか、保護者の方がまず知っておきたいことを、順を追って整理していきます。

目次

学習障害(LD)とはどのような特性なのか

学習障害(LD:Learning Disabilities)とは、全体的な知的発達に大きな問題はないにもかかわらず、「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった特定の学習能力に、著しい困難を示す状態のことです。文部科学省は、学習障害について「基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算するまたは推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指す」と定義しています(出典:文部科学省「学習障害児に対する指導について(報告)」)。

たとえば、文字を読むことに著しい困難がある「ディスレクシア(読字障害)」、文字を正確に書くことが難しい「ディスグラフィア(書字障害)」、数の概念や計算に困難を抱える「ディスカルキュリア(算数障害)」などが、学習障害の代表的な特性として知られています。ただし、これらは医師による診断が必要なものであり、「うちの子はこの障害に違いない」と保護者の方が決めつけることは、お子さんの理解を深めることにはつながりません。あくまでも「こういった特性を持つお子さんがいる」という視点で捉えていただけると、より柔軟な理解が生まれます。

重要なのは、学習障害の特性は「努力不足」や「怠け」とは根本的に異なるという点です。お子さんがいくら頑張っても、特定の学習課題に対して他の子どもと同じようにはできないとしたら、それはお子さんの意欲や性格の問題ではなく、脳の情報処理の特性によるものである可能性があります。保護者の方がこの点を理解しているかどうかで、お子さんへの声かけや関わり方が大きく変わってきます。

なぜ学習障害の特性が不登校につながりやすいのか

学習障害の特性を持つお子さんが学校で直面する困難は、日々の授業という場に連続して現れます。黒板に書かれた文字を写すのに時間がかかる、音読を指名されると言葉が出てこない、漢字テストでいくら練習しても点数が取れない——こうした経験が毎日繰り返されると、お子さんの自己評価(自分をどう評価するかという感覚)は徐々に低下していきます。

「自分はできない」「また間違えた」「クラスのみんなより遅い」という感覚が積み重なると、学校という場そのものが「失敗を繰り返す場所」として記憶されていきます。やがて、朝になると強い不安感や体の不調を感じるようになり、登校そのものへの抵抗感が生まれるケースは、教育・支援の現場で多く報告されています。

また、学習上の困難に加えて、クラスメートとのコミュニケーションでつまずくお子さんもいます。特性によっては、指示を正確に理解しにくかったり、冗談と本気の区別がつきにくかったりすることで、友人関係でのトラブルに発展することもあります。さらに、学習障害の特性は「見えにくい」という側面があり、外見上は「普通に見える」ために、周囲から「やればできるはず」と誤解されたり、叱責を受けたりすることで、深く傷ついてしまうお子さんも少なくありません。

文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、不登校の要因として「学業の不振」が複数の校種で一定数を占めており、学習に関連した困難が不登校のきっかけになりうることが示されています(出典:文部科学省、2024年度)。

保護者としてどう受け止め、どう動けばよいか

お子さんが「勉強が苦手」「学校に行きたくない」というサインを示したとき、保護者の方が最初に感じるのは「どうすればよいのかわからない」という戸惑いかもしれません。ここではまず、「原因を断定しようとしない」ことが大切です。不登校の背景には、学習障害の特性だけでなく、ADHD(注意欠如・多動症)や不安障害、起立性調節障害など、複数の要因が重なっていることも多くあります。

まず取り組みたいのは、学校の担任や特別支援コーディネーター(学校に配置された支援の専門担当者)への相談です。学校側が把握していない学習上の困難を伝えることで、席の配置変更・板書の工夫・テストの時間延長など、合理的配慮(障害特性に応じた学習環境の調整)を受けられる可能性が広がります。

同時に、医療機関への相談も視野に入れてください。かかりつけの小児科医に相談したうえで、必要であれば児童精神科や発達外来など、専門の医療機関につないでもらうことができます。専門家による評価(心理検査など)を受けることで、お子さんの特性が具体的に把握でき、学校・家庭・医療が連携した支援につながっていきます。

こども家庭庁では、こどもの福祉・権利を守るための施策を推進しており、各自治体の相談窓口情報なども公式サイト(https://www.cfa.go.jp/)で案内しています。「どこに相談すればよいかわからない」と感じたときは、まずはこうした公的な窓口に連絡してみることも、一つの選択肢です。

学習障害の特性を持つお子さんの進路について

不登校になったとしても、学習障害の特性を持つお子さんには、さまざまな学びの場と進路が開かれています。通信制高校は、自分のペースで学べる環境・少人数制のサポート体制・ICTを活用した授業など、特性に応じた学習スタイルを取り入れているところが増えています。全日制の一斉授業よりも、自分の理解度に合わせて学習を進められる環境が、お子さんの自信の回復につながるケースも報告されています。

また、高校卒業資格の取得が難しい場合でも、「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定試験)」という選択肢があります。高卒認定試験は、科目ごとに受験・合格できる仕組みになっており、すべてを一度に突破する必要がありません。大学受験資格も得られるため、進学を希望するお子さんにとっては重要な選択肢の一つといえます。

大切なのは、「学校に戻ること」を目標にするのではなく、「お子さんが自分の特性と折り合いをつけながら、自分らしく学び・生きていける環境を見つけること」ではないでしょうか。学習障害の特性を持つお子さんが、特性に合った環境で学んだとき、驚くほどの能力を発揮することは、教育の現場で広く知られています。今の困難は、お子さんの可能性の限界ではありません。

まとめ

学習障害(LD)の特性を持つお子さんが不登校になる背景には、授業での困難・失敗体験の積み重ね・自己評価の低下など、複合的な要因があります。保護者の方にまず知っていただきたいのは、「努力が足りないわけではない」という理解と、「一人で抱え込まなくていい」という安心感です。学校の特別支援コーディネーター、かかりつけ医、そして地域の支援窓口——相談できる場所は、確実にあります。お子さんのペースを大切にしながら、できるところから一歩ずつ、専門家と連携していただければと思います。気になる特性や症状がある場合は、かかりつけ医や児童精神科など専門家にご相談ください。

・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(2024年度)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・文部科学省「学習障害児に対する指導について(報告)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/002.htm
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/

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・不登校の背景にある発達障害の特性と保護者の関わり方:https://futoukou.co.jp/futoukou-basics/
・不登校のお子さんへの声かけと家庭での接し方:https://futoukou.co.jp/parents-support/
・通信制高校の特徴と発達障害・不登校のお子さんへのサポート体制:https://futoukou.co.jp/correspondence-school/

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