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フィンランドに学ぶ不登校への向き合い方

フィンランドに学ぶ不登校への向き合い方

「うちの子だけがこんなに学校に行けないのだろうか」と、ふと夜中に考えてしまう保護者の方はいないでしょうか。実は世界に目を向けてみると、子どもと学校の関係について、日本とはまったく異なる考え方を実践している国があります。その代表的な存在が、北欧フィンランドです。

目次

フィンランドの教育が注目される理由

フィンランドは、OECD(経済協力開発機構)が実施する国際学習到達度調査「PISA」において、長年にわたって読解力・数学・科学の各分野で高い水準を維持してきた国です。OECDのPISA調査(2022年)によると、フィンランドの15歳生徒の読解力は国際平均を大きく上回っており、その教育モデルは世界中から研究対象とされています。

注目すべきは、フィンランドがその成果を「競争」ではなく「子どもの個性と安心感」を基盤に積み上げてきたという点です。宿題の量は少なく、小学校低学年では遊びを通じた学びが重視され、授業時間数は日本より少ない傾向にあるとされています。それでも子どもたちの学習意欲や自己肯定感は高く維持されています。フィンランド教育文化省の公式資料でも、「子どもの福祉と学習は切り離せない」という考え方が制度の根底に据えられていることが示されています。

「休んでいる間に学習が遅れてしまうのでは」と不安になる保護者の方にとって、この視点は少し心を軽くしてくれるかもしれません。

「学校に行かないこと」への眼差しの違い

日本では、文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度発表、令和4年度データ)において、小・中学校における不登校の児童生徒数が約29万9千人に上るという結果が報告されています。これは10年連続での増加を示しており、社会全体で真剣に受け止める必要がある数字です。

一方、フィンランドでは「学校への出席そのもの」よりも「子どもがどのような状態で学んでいるか」を重視する文化があるとされています。学校心理士(スクールサイコロジスト)やソーシャルワーカーが各学校に配置され、子どもが学校に来られない理由をチームで丁寧に探る仕組みが整えられています。「行けない」ことを叱責するのではなく、「なぜ行けないのか」を一緒に考えることが支援の出発点になっているのです。

日本でも2023年に施行された「こども基本法」のもと、こども家庭庁が「こどものまんなか」政策を掲げ、子ども一人ひとりの声を聴く支援の在り方を模索しています。制度は少しずつ変わろうとしています。

フィンランドの「柔軟な学び場」という発想

フィンランドでもホームスクーリングは法律上認められており、家庭学習を選択する子どもが一定数存在します。ただしフィンランドの教育の特徴としてより重要なのは、学校の中に「複数の学び方」が用意されているという点です。個別学習計画(IEP)に基づき、障害の有無にかかわらず一人ひとりに合った授業ペースが設定されることが標準とされており、「みんなと同じ速度で進めなければならない」というプレッシャーが構造的に少ない設計になっています。

国立教育政策研究所では「データで見る日本の教育」として教育統計の整備が継続的に進められており(同研究所ウェブサイト、2026年4月確認)、子ども一人ひとりの状況を把握する方向への動きが見られます。制度設計の発想において、フィンランドの「個別最適な学び」というアプローチは、日本の教育現場にとっても参考になる視点だといえるでしょう。

日本でも通信制高校やフリースクールが「もう一つの学び場」として広がりを見せており、一つの学校・一つのスタイルだけが学びの場ではないという認識は、少しずつ社会に浸透してきています。

まとめ

フィンランドの教育が教えてくれることは、「子どもが安心していられる環境が、学びの土台になる」というシンプルな事実です。不登校の数が増え続けている日本においても、子ども一人ひとりの状態に目を向け、「なぜ行けないのか」を一緒に考える姿勢が大切にされるようになってきています。お子さんが今、学校に行けない日々を過ごしていても、それはお子さんの弱さではありませんし、保護者の方の失敗でもありません。世界には違うやり方があり、日本もゆっくりと変わりつつあります。あなたとお子さんは、決してひとりではありません。

・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(令和4年度)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・OECD「PISA 2022 Results」https://www.oecd.org/pisa/
・フィンランド教育文化省(Ministry of Education and Culture, Finland)公式サイト https://okm.fi/en/frontpage
・国立教育政策研究所「データで見る日本の教育」https://www.nier.go.jp
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/

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