「うちだけじゃないとわかって、初めて泣けた」という声を、不登校の子どもを持つ保護者が集まる場でよく耳にします。悩んでいることを口に出せる場があるだけで、心の重さがすこし変わることがあります。そのような場として、近年「オンライン座談会」という形が静かに広がっています。学校でも支援機関でもない、保護者どうしがつながれる場所の意味について、今回は考えてみたいと思います。
不登校の保護者が「孤立しやすい」理由
文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(令和5年度)によると、小中学校における不登校児童生徒数は約34万6千人にのぼります(出典:文部科学省、2024年公表)。これは過去最多の数値であり、クラスに数人は不登校の子どもがいる計算になります。
それほど多くの家庭が同じ経験をしているにもかかわらず、保護者どうしが自然につながる機会はまだ限られているのが現状です。学校行事に参加できない場合はPTAとのつながりも薄れ、周囲の保護者に「実はうちも」と打ち明けることへのためらいも生まれやすくなります。
支援機関のフリースペースや相談窓口は地域ごとに存在しますが、「子どもが行かない日に自分だけ外出するのが申し訳ない」「移動の時間が取れない」という理由で、足が向かない方も少なくありません。こども家庭庁も、保護者への支援の必要性を施策の柱のひとつとして掲げていますが、実際に支援にたどり着くまでにはいくつかのハードルがあります。
こうした状況が重なることで、不登校の子どもを持つ保護者は「誰にも言えない」まま日々を過ごしてしまいがちです。情報を探したくても、どこから手をつければいいかわからないという声も多く聞かれます。支援にたどり着く前に、まず「同じ立場の人とつながりたい」と感じることは、ごく自然なことです。
オンライン座談会が「続けやすい」理由
そのような背景から、自宅から参加できるオンライン形式の保護者座談会が選ばれるようになってきました。NPOや不登校支援団体、通信制高校のサポート校などが主催するオンラインイベントは、近年その数が増えている傾向が見られます。
参加しやすい理由として、よく挙げられるのは以下のような点です。
・移動の必要がなく、子どもの様子を見ながら参加できること
・顔出しなしで参加できる形式も多く、気軽さがあること
・全国の保護者とつながれるため、地方在住でも参加しやすいこと
・1〜2時間程度の短い時間から体験できること
たとえば、N高等学校は2025年12月末時点で全国35,744名の生徒を擁し(出典:N高等学校公式サイト)、保護者向けの情報提供においてもオンラインを積極的に活用する姿勢を示しています。通信制高校がオンラインで保護者と接点をもつ取り組みは、座談会型の情報共有にもつながっているといえます。
地方に住んでいると、近くに不登校支援の場が見つからないこともあります。オンラインであれば、北海道の保護者と沖縄の保護者が同じ場で話すことも可能です。住んでいる地域にかかわらず、似た状況の人と出会えるのは、オンライン形式ならではの強みといえます。
また、継続して参加できることも大切な点です。一度きりの相談ではなく、月に一度のペースで同じグループに参加することで、顔なじみができていくこともあります。そうした継続的なつながりが、孤立感の解消に役立つことがあります。
座談会で「話すこと」が持つ力
座談会への参加は、情報収集だけが目的ではありません。話すこと自体に意味があります。
心理学の領域では、自分の経験を言語化して他者と共有することで、感情の整理が促されるという考え方が広く知られています。専門的な相談とは異なり、同じ立場の保護者どうしで「あるある」を共有できる場は、アドバイスをもらう場というよりも「一緒に呼吸できる場所」に近いものです。
オンライン座談会では、グループ形式で数名が話す場合と、テーマに沿ってゲスト(支援者や経験者)の話を聞いた後に質疑応答をする場合があります。自分から話せなくても「聞くだけ」で参加できる形式も多く、はじめの一歩としてのハードルが低いのが特徴です。
注意点として、主催者によって内容の質や目的が異なります。支援機関・NPO・通信制高校・塾など、それぞれの立場から開催されているため、参加前に主催団体の情報を確認しておくと安心です。参加費が無料の場合も多いですが、特定の商品・学校への誘導が目的となっているケースもゼロではありません。公式ページや運営団体の情報を確認する習慣をもっておきましょう。
また、一度参加してみて「合わなかった」と感じた場合は、別の主催団体の座談会を試してみることも選択肢のひとつです。場の雰囲気や進行スタイルは主催者によって異なるため、複数の場を比べてみることで、自分に合ったつながり方が見つかりやすくなります。
まとめ
不登校の子どもを支える保護者の方が、自分自身もつながれる場所を持つことは、決して「子どもをほったらかしにすること」ではありません。保護者の心の余裕が、子どもへの関わり方をやわらかくしてくれることがあります。オンライン座談会は、時間や場所の制約を超えて「同じ景色を見ている人」と出会えるひとつの手段です。完璧に準備してから参加する必要はなく、まず「聞いてみるだけ」から始めてみてください。あなたが感じていることを話せる場所は、確かに存在しています。
・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(令和5年度)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/
・N高等学校 公式サイト https://nnn.ed.jp/
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