「高卒認定って、最近受ける人が増えているって本当ですか?」保護者の方からこうした質問をいただくことが増えています。数十年前には「最後の手段」というイメージが強かった高卒認定試験ですが、近年はその位置づけが大きく変わりつつあります。なぜ今、受験者が増えているのでしょうか。制度の仕組みから背景にある社会的な変化まで、公式データをもとに整理してお伝えします。
そもそも高卒認定試験とは何か
まず制度の基本を確認しておきます。高等学校卒業程度認定試験(高卒認定試験)とは、文部科学省が実施する国家試験で、「高校を卒業した者と同等以上の学力を有するか」を認定するものです。合格することで、大学・短大・専門学校の受験資格が得られます。
「高校卒業資格」そのものとは異なる点に注意が必要です。高卒認定試験に合格しても「高校を卒業した」わけではなく、「高卒と同等の学力があると認められた」という位置づけになります。ただし、大学入学後に大学を卒業すれば、最終学歴は「大卒」になります。
試験は年2回実施されています。文部科学省の公式ページによると、令和8年度(2026年度)の日程は以下のとおりです(出典:文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」公式ページ、2026年5月取得)。
・第1回:試験日は令和8年8月6日(木曜日)・7日(金曜日)、結果通知は9月1日(火曜日)発送予定
・第2回:試験日は令和8年11月7日(土曜日)・8日(日曜日)、結果通知は12月8日(火曜日)発送予定
なお、令和8年度からは新科目「情報」が試験科目に追加されるなど、制度自体も時代に合わせて更新されています(出典:文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」公式ページ、2026年5月取得)。
不登校生徒の増加が受験者数を押し上げている
高卒認定試験の受験者増加を語るうえで切り離せないのが、不登校生徒数の増加です。
文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2024年度公表・令和5年度データ)によると、小学校・中学校・高等学校を合わせた不登校の児童生徒数は約34万6,000人に上り、過去最多を更新しています。このうち高校生の不登校生徒数も増加傾向にあり、高校を中途退学したり在籍のまま欠席が続いたりする生徒が、高卒認定試験を選ぶケースが増えていると考えられます。
つまり、「全日制高校に通い続けることが難しい」という生徒が増えた結果として、高卒認定試験という選択肢が現実的な進路として選ばれやすくなっているわけです。
ここが重要な点です。不登校の増加そのものは決して喜ばしい状況ではありませんが、そうした状況にある子どもたちが「高卒認定試験」というルートを知り、活用できるようになったこと自体は、選択肢の多様化という観点からは前向きな変化と捉えることもできます。
サポート体制の充実が「受けやすい試験」に変えた
受験者増加のもう一つの背景として、高卒認定試験対策を専門的にサポートする環境が整ってきたことが挙げられます。
以前は「独学で対策するしかない」という印象が強かった試験ですが、現在はさまざまな機関が対策プログラムを提供しています。高校中退・不登校・通信制高校出身者を対象に、基礎から大学受験レベルまでをカバーするコースを持ち、高卒認定試験の取得と大学受験準備を並行してサポートする予備校も存在しています。
また、通信制高校のサポート校と連携したフリースクールも、「高校卒業資格」と「高卒認定試験」の2つの選択肢を提示しながら、子どもの状況に合わせた進路相談を行っているところが増えています。
保護者の方が知っておくべきことは、「高卒認定試験を受けること=一人で頑張ること」ではなくなっているという点です。サポートの選択肢が広がっており、子どもの状況に合った支援を探しやすくなっています。
「大学進学ルート」として見直されている高卒認定
受験者増加の背景には、高卒認定試験の「使い方」の認識が変わってきた点もあります。
かつては「高校に行けなかった場合の代替手段」という受け止め方が主流でしたが、近年は「大学進学のための選択肢の一つ」として積極的に選ぶ若者も増えている傾向があります。全日制高校の3年間よりも短い期間で認定を取得し、予備校や自宅学習で大学受験に集中するという選択をする受験生も一定数います。
教育分野における近年の報道や研究では、通信制高校に対する社会的関心の高まりとともに、多様な学びの形への理解が求められているという指摘が増えています。こうした流れは高卒認定試験にも同様に生じており、制度の正しい理解が広まることで「選択肢の一つ」として機能しやすくなっていると考えられます。
具体的には、高卒認定試験の合格者が大学に合格するケースや、国立大学・難関私立大学に進学する事例も公表されており、「高卒認定から大学進学」という道筋が少しずつ社会に浸透してきていると言えます。
まとめ
高卒認定試験の受験者が増加している背景には、大きく3つの流れがあります。
まず、不登校・高校中退の生徒数が増加し、高卒認定試験を選ぶ層が広がっていることが挙げられます。次に、対策サポートの環境が整い、試験への心理的・実際的なハードルが下がっていることも大きな要因です。そして、大学進学のルートとして戦略的に活用する認識が広まっていることも、受験者増加を後押ししています。
保護者の方に大切にしていただきたいのは、高卒認定試験はあくまでも「選択肢の一つ」であり、お子さんの状況や希望に合った使い方ができる制度だという点です。「通信制高校で高校卒業資格を取る道」と「高卒認定試験で資格を取り大学を目指す道」は、どちらが正しいということではなく、お子さんのペースや将来の目標に合わせて選べるものです。
なお、2026年度の第1回試験(8月実施)の出願期間はすでに締め切られています。第2回試験(11月実施)の出願受付は7月21日から始まる予定です。焦らず、まずはお子さんと一緒に制度の仕組みを確認することから始めてみてください。
・文部科学省「高等学校卒業程度認定試験」公式ページ https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/
・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(令和5年度)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/futoukou/
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・不登校の子どもの進路選択で保護者が知っておくこと:https://futoukou.co.jp/career-path/

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