子どもが学校に行けなくなったとき、「通信制高校という選択肢もあるよ」と聞いたことがある保護者の方は多いのではないでしょうか。実際に通信制高校を選ぶ生徒は年々増加傾向にあるとされており、もはや「特別な事情がある人のための学校」ではなくなってきています。2026年の今、なぜこれほど多くの生徒が通信制高校を選ぶのか、その背景と実態を、公式データをもとに整理してみます。
通信制高校の生徒数はどのくらい増えているのか
文部科学省「学校基本調査」によると、通信制高校(全日制・定時制以外の課程)に在籍する生徒数は、ここ10年ほどで大きく増加しているとされています。文部科学省の公式データでは、2023年度時点で通信制高校の生徒数はおよそ26万人前後に達しているとの報告があります(出典:文部科学省「学校基本調査」2023年度)。少子化で高校生全体の人数が減少しているにもかかわらず、通信制高校を選ぶ生徒の割合は上昇し続けているというのは、注目すべき動向です。
個別の学校を見てみると、その規模の大きさが伝わってきます。KADOKAWA・ドワンゴが運営するN高等学校グループの公式サイトによると、N高・S高・R高を合わせた全校生徒数は35,744名(2025年12月末時点)にのぼり、「高校としては日本一の生徒数」と公表しています(出典:N高等学校グループ公式サイト、取得日:2026年5月13日)。一つの学校グループがこれだけの規模になっているという事実は、通信制高校全体の広がりを象徴しているといえるでしょう。
こうした数字の背景には、不登校経験者や発達に課題を抱えた生徒だけでなく、スポーツや芸能活動との両立を目指す生徒、主体的な学習スタイルを求める生徒など、多様な層が通信制高校を積極的に選ぶようになった変化があります。
なぜ今、通信制高校が選ばれるのか
通信制高校が増加傾向にある理由は、一つではありません。大きく分けると、「学校環境の変化」と「制度・サービスの進化」の二つの面から説明できます。
まず、不登校生徒の増加という社会的背景があります。文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、小中学校における不登校の児童生徒数は約34万6,000人と過去最多を更新し続けています(出典:文部科学省「問題行動・不登校調査」2023年度)。中学校で不登校だった生徒が高校進学を考えるとき、毎日登校しなくてよい通信制高校は現実的な選択肢として機能しています。
次に、通信制高校そのものが大きく進化したことも理由として挙げられます。かつての通信制高校は、テキスト学習とスクーリング(面接授業)が中心でしたが、現在はオンライン授業・バーチャルキャンパス・メンターによる個別サポートなど、質・量ともに全日制高校に引けをとらない教育環境を整えている学校が増えています。N高等学校グループのようにICTを活用した授業を展開する学校、クラーク記念国際高等学校のように全日型・週数日登校型・在宅中心型から学習スタイルを選べる学校、第一学院高等学校のように国公立・難関私大特化クラスを設ける学校など、選択肢の幅は10年前とは比べものにならないほど広がっています。
また、鹿島学園高等学校のように全国47都道府県から入学可能な学習センター体制を整えている学校もあり、地方在住でも選べる環境が整っていることも普及を後押ししています。
保護者が知っておきたい「通信制高校の多様化」という現実
通信制高校と一口に言っても、その実態は学校によって大きく異なります。保護者の方がまず理解しておいていただきたいのは、「通信制高校はどこも同じではない」という点です。
学費を例にとってみると、公立の通信制高校は年間数万円程度で通える一方、私立の通信制高校は年間50万円〜100万円前後になることもあります(各校公式サイトより。最新の学費情報は必ず各校の公式HPでご確認ください)。さらに、サポート校と組み合わせて利用する場合は、別途費用がかかるケースもあります。
学習スタイルも多岐にわたります。週5日通学するコースから、月に1〜2回のスクーリングと自宅学習を組み合わせるコース、完全オンラインで学ぶコースまで、お子さんの体調や生活リズムに合わせた選択が可能です。不登校が長かったお子さんにとっては、最初から登校日数が少ないコースを選び、慣れてきたら通学頻度を増やすという段階的なアプローチができる学校もあります。
進路についても、「通信制高校からは大学に行けないのでは」と心配される保護者の方もいらっしゃいますが、それは誤解です。クラーク記念国際高等学校や第一学院高等学校をはじめ、大学進学に特化したコース・クラスを設けている学校は多くあります。お子さんが大学進学を希望している場合は、進学実績と具体的なサポート体制を学校に直接確認することをおすすめします。
2026年、通信制高校への入学・転入を検討するときの手順
お子さんが今、全日制高校への進学や在籍継続に不安を感じているなら、通信制高校という選択肢を具体的に調べてみてください。以下の手順で進めると、情報が整理しやすくなります。
1.まず「なぜ通信制高校を検討しているか」を整理します。不登校・学習のペース・やりたいこととの両立など、目的によって向いている学校が変わります。
2.複数校の資料請求・オープンキャンパスを申し込みます。2026年5月〜7月にかけて、各校で学校説明会・合同相談会が全国各地で開催されます(みんなの通信制高校ナビ「通信制高校合同相談会」の開催情報:https://www.stepup-school.net/ 参照)。実際にスタッフや在校生の声を聞くことで、雰囲気がつかみやすくなります。
3.気になる学校に個別相談を申し込みます。学費・カリキュラム・スクーリングの場所・卒業後の進路サポートについて具体的に確認しましょう。
4.転入・編入のタイミングを確認します。通信制高校は学期途中でも転入できる学校が多いですが、学校によって入学時期が異なります。在籍校の単位の引き継ぎについても事前に確認しておくと安心です。
お子さんが「まだ考えたくない」という状態であれば、無理に進めることは避けてください。保護者の方が先に情報を整理しておき、「こんな学校もあるよ」と話せる状態を作っておくだけで十分です。
まとめ
通信制高校の生徒数が増加している背景には、不登校の増加という社会的な変化と、通信制高校自体の教育環境の進化という二つの大きな流れがあります。N高等学校グループの35,744名という生徒数(2025年12月末時点)が示すように、通信制高校はすでに全日制高校と並ぶ主要な進学先の一つになっています。
「通信制高校はうちの子には関係ない」と思っていた保護者の方も、まずは一校だけでも資料請求してみることをおすすめします。学校の多様さを知るだけで、お子さんへの声かけの幅が広がるはずです。焦らず、お子さんのペースに合わせながら、一緒に選択肢を探していきましょう。
・文部科学省「学校基本調査」2023年度 https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm
・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」2023年度 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302902.htm
・N高等学校グループ公式サイト https://nnn.ed.jp/
・みんなの通信制高校ナビ https://www.stepup-school.net/
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