「うちの子だけなのかな」「男の子と女の子では、不登校のきっかけは違うのかな」と疑問を感じたことはないでしょうか。文部科学省の調査データを読み解くと、不登校には性別ごとの傾向の違いがあり、その背景を理解することが、お子さんへのより適切なサポートにつながることが見えてきます。この記事では、不登校の男女比を校種別に整理しつつ、性差によって異なる可能性のある背景と、保護者として知っておきたいポイントをお伝えします。
まず押さえたい:不登校の全体像
注意してほしいこと
- 性別による傾向は「参考情報」であり、お子さん個人の状況を最優先に見ること
- 「男子だから」「女子だから」という先入観で、本当の困りごとを見落とさないこと
- 男女比の数字だけで安心したり深刻に受け止めすぎたりせず、文脈と合わせて理解すること
この記事のまとめ
- 不登校は小中高全体で男子がやや多いが、年齢が上がるにつれ男女差は縮小する
- きっかけは男女ともに「無気力・不安」が最多で、性差は傾向であり個人差が大きい
- 学びの場は学校だけではなく、お子さんに合った支援の選択肢がある
文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度、発表2024年)によると、小学校・中学校・高等学校を合わせた不登校児童生徒数は約34万6,000人にのぼり、過去最多を更新しています。このうち、小学校で約13万5,000人、中学校で約21万6,000人が不登校の状態にあるとされています。
注目したいのは、この数字が男女ともに増加傾向にあるという点です。同調査によると、小学校・中学校全体の不登校を男女別に見ると、男子のほうがやや多く、おおむね「男子6割弱・女子4割強」という分布が報告されています(出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」2023年度)。
ただし、この数字は「割合の差」であって、「女子には不登校が少ない」という意味ではありません。女子の不登校も毎年増加しており、比率だけを見て安心したり、逆に深刻に受け止めすぎたりしないよう、文脈と合わせて理解することが大切です。
校種別に見ると、男女比の傾向が変わる
不登校の男女比は、小学校・中学校・高校という校種によって傾向が異なります。
文部科学省の同調査のデータを整理すると、以下のような傾向が確認できます。
・小学校段階:男子がやや多く、男女比はおおむね「55対45」前後の傾向が見られます。この時期は身体的・発達的な特性の影響も指摘されており、発達障害の診断を受けた男子の割合が多いことと連動しているという見方もあります。
・中学校段階:男女差はある程度存在しますが、女子の割合が小学校より相対的に高まる傾向があります。中学生は思春期に入り、人間関係・友人トラブル・SNSの影響など、対人関係を主因とする不登校が増える時期です。この年代では女子においても対人関係が不登校のきっかけになりやすいという指摘がされています。
・高校段階:文部科学省の同調査では、高等学校の不登校生徒数も増加傾向にあります。高校段階では、男女の差がさらに縮まり、場合によっては学校や地域によって逆転するケースも見られることが報告されています。
つまり、「不登校は男子が多い」という印象は小学校段階のデータから生じやすいものの、年齢が上がるにつれてその差は縮小していきます。
背景にある「性差による傾向の違い」をどう理解するか
不登校のきっかけや経過には、性別による一定の傾向の違いがあるとする研究や調査報告があります。ただし、これはあくまでも「傾向」であり、個々のお子さんに当てはめられるものではないことを最初に確認しておきます。
男子に多い傾向があるとされる要因・発達障害(ASD・ADHDなど)の影響による集団適応のしづらさ
・登校しぶりが「朝起きられない」「学校に行く気になれない」という形で表れやすい
・感情を言語化することへの苦手さから、本人もきっかけを言語化しにくいケース
女子に多い傾向があるとされる要因・友人関係・グループからの疎外感・SNSトラブルをきっかけとするケース
・感情を内向きに抱え込み、身体症状(頭痛・腹痛・睡眠障害)として表れやすい
・「がんばっているように見えるのに突然動けなくなる」というケースが比較的多い
文部科学省の調査では、不登校のきっかけとして「無気力・不安」が小学校・中学校ともに最多となっており、次いで「いじめを除く友人関係をめぐる問題」「生活リズムの乱れ」が続きます(出典:同調査2023年度)。これらのきっかけは男女ともに共通して報告されているものです。
「男の子だから弱音を吐かない」「女の子だから友達関係が原因だろう」という先入観で接すると、お子さん本人の実際の困りごとを見落とすリスクがあります。性差の傾向は「参考情報」として持ちながら、お子さん個人の状況に目を向けることが大切です。
「なぜうちの子が?」と感じた保護者の方へ
不登校の人数が増えているというデータを見ると、「うちの子だけではなかった」と少し気持ちが楽になる保護者の方もいます。一方で、「それでも、どうしてうちの子が」という疑問は消えないかもしれません。
こども家庭庁は、不登校への支援として「誰一人取り残されない学びの保障」を掲げており、学校に通うこと以外の多様な学びの場の整備を進めています(出典:こども家庭庁公式サイト、2026年8月時点)。フリースクール、教育支援センター(適応指導教室)、通信制高校など、学びの場は一つではありません。
男女比のデータは「傾向を知る」ための材料であり、「どのような支援が合っているか」はお子さんの状態を丁寧に観察し、必要であればスクールカウンセラーや不登校専門の相談窓口を活用しながら判断することをおすすめします。
「不登校から再登校へ向かうきっかけと家庭でできる関わり方」もあわせて参考にしてください。
まとめ
文部科学省の調査データによると、不登校の男女比はおおむね「男子6割弱・女子4割強」ですが、校種が上がるにつれてその差は縮まる傾向があります。背景にある要因には一定の性差の傾向が見られるものの、それはあくまでも傾向であり、お子さん個人に当てはめることには注意が必要です。
大切なのは、データを「うちの子を理解するための参考」として使い、性別の先入観にとらわれずにお子さんの声に耳を傾けることです。不登校の支援制度は年々整備されており、一人で抱え込まず、相談窓口や支援機関を頼ることが大切な一歩になります。まず保護者の方自身が「一人ではない」と感じられる環境を作ることが、お子さんの回復への道にもつながっていきます。
・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度):https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・こども家庭庁 公式サイト:https://www.cfa.go.jp/
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