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不登校と発達障害の診断が増えている背景と保護者の向き合い方

不登校と発達障害の診断が増えている背景と保護者の向き合い方

「最近、発達障害と診断される子どもが増えているという話をよく耳にします。うちの子にも何か特性があるのかもしれないと感じながらも、どこに相談すればいいのかわからない」と感じている保護者の方は少なくありません。文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、小・中学校における不登校の児童生徒数は約34万6,000人と過去最多を更新しており、その背景には発達障害をはじめとするさまざまな特性が関わっているケースが少なくないことが指摘されています。不登校と発達障害の関係、診断が増えている背景、そして保護者の方が我が子とどう向き合えばよいかについて、公的機関の情報に基づいて整理していきます。

目次

なぜ今、発達障害の診断を受ける子どもが増えているのか

発達障害という言葉が、ここ10年ほどで社会に広く知られるようになりました。「診断を受ける子どもが増えている」というニュースを耳にすると、「本当に発達障害の子が増えているの?それとも診断のしすぎ?」と戸惑う保護者の方も多いでしょう。

この増加には、複数の要因が重なっていると考えられています。一つ目は「診断の精度・認知度の向上」です。かつては「少し変わった子」「やる気がない子」と見られていた特性が、医学・心理学の進歩によって発達障害という概念で理解されるようになりました。専門家への相談のハードルが下がったことで、これまで見過ごされてきた特性が適切に評価されるようになってきたといえます。

二つ目は「学校・社会環境の変化」です。学習内容の高度化や一斉授業の形式、対人関係の複雑化など、学校という空間が特定の特性を持つお子さんにとって負荷がかかりやすい構造になっているという指摘もあります。

三つ目は「支援制度の整備」です。2005年に「発達障害者支援法」が施行されて以降、専門機関の整備が進み、診断を受けることが支援につながるという認識が広がりました。このため、「診断を受けよう」という保護者が増えたという面もあります。

厚生労働省の資料によると、現在日本各地に「発達障害者支援センター」が都道府県・政令指定都市ごとに設置されており(出典:厚生労働省「発達障害者支援センター一覧」)、診断前から相談できる窓口として機能しています。診断の増加を「異常なこと」と受け取るよりも、「社会の理解と支援の体制が整いつつある証」として捉えることも一つの視点です。

不登校と発達障害の関係をどう理解するか

「うちの子が不登校になったのは、発達障害が原因?」という問いを持つ保護者の方は多くいらっしゃいます。ただ、不登校と発達障害の関係は、「原因と結果」という単純な図式では語れません。

文部科学省の生徒指導に関する調査が示すように、不登校の要因は「学校に係る状況」「家庭に係る状況」「本人に係る状況」など複数の要素が絡み合っています。発達障害の特性があるお子さんの場合、集団の授業形式や暗黙のルールが多い対人関係、感覚過敏によって疲弊しやすい環境などが重なることで、学校に行きづらさを感じやすい状況が生まれることがあります。ただし、「発達障害だから不登校になる」という一方向の関係ではなく、環境との相互作用の中でお子さんが限界に達した結果として不登校という形で現れていると理解することが重要です。

また、発達障害の特性として代表的なものに、注意欠如・多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)、学習障害(LD)などがあります。これらは「障害」という名前がついていますが、医学的には「脳の情報処理の仕方の違い」として理解されており、その特性が環境と合わない状況で困り感として現れるものです。特性そのものが問題なのではなく、特性と環境のミスマッチが問題だという視点を持っていただけると、お子さんへの関わり方が変わってくることがあります。

発達障害かどうかの判断は保護者の方や学校の先生が行うものではなく、専門の医師・心理士によるアセスメント(評価)が必要です。「もしかして」という気持ちがあれば、まずはかかりつけ医や地域の発達障害者支援センターへの相談から始めることをお勧めします。

「診断を受けるべきか」という保護者の悩みに寄り添う

「診断を受けさせた方がいいのか、それとも待った方がいいのか」という問いは、多くの保護者の方が抱えるものです。診断を受けることへの不安の背景には、「レッテルを貼られてしまうのではないか」「将来に影響するのではないか」という心配があるのではないでしょうか。

こども家庭庁は、こどもの権利を守る観点から、一人ひとりの特性に合った支援の重要性を発信しています(出典:こども家庭庁 公式サイト)。診断は「お子さんを分類するためのもの」ではなく、「適切な支援につなげるための情報」として活用されるものです。診断があることで、学校での合理的配慮(環境調整や試験時間の延長など)を申請できるようになったり、放課後等デイサービスなど福祉的サービスを利用しやすくなったりするという具体的なメリットもあります。

一方で、「診断名がつかなかったとしても困り感は本物」という視点も大切です。診断の有無にかかわらず、お子さんが学校で困っているという事実を受け止め、その困り感に対してどう環境を整えるかを考えることが出発点になります。「グレーゾーン」という言葉が使われることもありますが、診断基準には達しないものの特性があるお子さんも、適切なサポートで生きやすさが変わることがあります。

「診断を受けるかどうか」の判断は、あくまでご家族の意思に基づくものです。焦る必要はありませんが、「相談すること」は今すぐ始められます。地域の教育センターや発達障害者支援センターへの相談は、診断の前から利用できる窓口です。

不登校のお子さんへの日常的な関わり方

発達障害の特性があるかどうかにかかわらず、不登校のお子さんの保護者の方に共通して大切なことがあります。それは「お子さんの安心できる場所を家庭に作る」ということです。

学校という場で消耗しているお子さんにとって、家庭が安全基地であることが回復の出発点になります。「なぜ学校に行けないの」「みんなは行っているのに」という言葉は、たとえ心配から出たものであっても、お子さんの自己肯定感をさらに傷つける可能性があります。代わりに「今日はどんな気持ちだった?」「何か好きなことをしようか」と、現在のお子さんの状態に寄り添う言葉がけを意識していただけると、家庭の安心感が高まります。

発達障害の特性があるお子さんの場合、「予測できないことへの不安」「感覚の過敏さ」「切り替えの難しさ」などがストレスの背景にあることがあります。日常生活では、スケジュールをあらかじめ伝える、静かな環境を確保する、好きなことに集中できる時間を作るなどの工夫が、お子さんの安定につながることがあります。

ただし、こうした関わり方はあくまで一般的な傾向であり、お子さん一人ひとりによって合う方法は異なります。「これが正解」という方法はありませんので、お子さんの反応を見ながら少しずつ試してみてください。保護者の方自身が追い詰められないことも同じくらい大切です。保護者の方も、支援を求めてよい存在です。

まとめ

不登校と発達障害の診断が増えている背景には、医学・心理学の進歩、社会の認知度向上、支援制度の整備など複数の要因があります。文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)が示すように、不登校の子どもの数は過去最多水準にあり、その背景にある特性を正しく理解することが保護者の方の大きな力になります。

診断を受けることは「レッテル」ではなく「支援につながるための情報」です。「もしかして」という直感は大切にしながらも、自己判断で決めつけず、まずは専門家への相談を一歩として考えてみてください。お子さんのペースを尊重しながら、保護者の方自身も無理をしない形で、一つひとつ前に進んでいただければと思います。

気になる症状や困り感があれば、かかりつけ医や地域の発達障害者支援センター、児童精神科など専門家にぜひご相談ください。

参考情報
・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/
・厚生労働省「発達障害者支援センター一覧」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/hattatsu/index.html

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・通信制高校が発達障害のある生徒に選ばれる理由:https://futoukou.co.jp/correspondence-school/

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