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不登校で友達に会いたくない気持ちの理由と保護者の対応

不登校で友達に会いたくない気持ちの理由と保護者の対応

「友達が来るなら外に出たくない」「連絡も無視している」——お子さんがそう言い出したとき、戸惑ってしまう保護者の方は少なくないでしょう。友達と会うことは回復への近道ではないかと思いたくなりますが、実はその気持ちを無理に押し込めることが、お子さんをさらに追い詰める場合もあります。なぜ不登校の子どもは友達を避けるのか、そして保護者としてどう寄り添えばよいのかを、順を追って整理していきます。

目次

「会いたくない」の裏にある子どもの心理

不登校の状態にある子どもが友達と会うことを避けるのは、けっして「わがまま」や「甘え」ではありません。その背景には、いくつかの心理的なメカニズムがあります。

一つ目は、「なぜ学校に来ないの?」と聞かれることへの恐怖です。自分でもうまく説明できない状態で詮索されることへの不安が、非常に大きくなっています。

二つ目は、比較されることへの苦痛です。友達が学校生活を送っているという現実と自分を比べてしまい、みじめさや劣等感を強く感じてしまう傾向があります。

三つ目は、エネルギーの極限までの低下です。文部科学省「生徒指導提要(改訂版)」(2022年)では、不登校の状態を「多様な要因・背景により、結果として不登校という状態が生じている」と説明しており、精神的・身体的に消耗しきっている段階では、たとえ仲の良かった友人であっても「会う」という行為そのものが大きな負荷になり得るとされています。

四つ目は、「楽しいふりをしなければ」というプレッシャーです。友達の前では暗い自分を見せてはいけないと感じ、演じることへの疲弊から会うことを拒否するケースもよく見られます。

つまり「会いたくない」という言葉は、友達のことが嫌いになったわけではなく、今の自分を守るための心のサインである場合が多いのです。この段階で「せっかく来てくれたのだから」と外に出ることを強いてしまうと、お子さんの安心できる場所(自宅)も脅かされたと感じ、回復が遅れることがあります。

不登校の背景にある「友人関係」の実態

文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、2023年度の小中学校における不登校児童生徒数は約34万6,000人に達しており、過去最多を更新しています。

同調査では、不登校のきっかけとして「友人関係をめぐる問題」が小学生の約11%、中学生の約13%に挙げられています。ただし、これは「きっかけ」として報告された数値であり、不登校が続く中で「友達と会いたくない」という気持ちが二次的に強まるケースも多いと考えられます。

つまり、友人関係が最初の原因でなかったとしても、不登校が長引く中で「友達と会うこと」へのハードルは高くなっていく傾向があるのです。この点を保護者の方に理解していただくことが、適切な対応への第一歩になります。

また、同調査では不登校の要因として「無気力・不安」を挙げる割合が最も高く(約50%以上)、学校外での対人関係においても、不安感が対応を難しくしている様子がうかがえます。

保護者としてできる具体的な関わり方

では、お子さんが「友達に会いたくない」と言ったとき、保護者の方はどのように関わればよいでしょうか。次の3つのステップで整理できます。

まず最も大切なのは、お子さんの気持ちを否定しないことです。「そうか、今は会いたくない気持ちなんだね」とそのまま受け取ることで、お子さんは「自分の気持ちを理解してもらえた」と感じ、安心につながります。「せっかくだから」「友達も心配してるから」という言葉は、善意であっても子どもに罪悪感を与えてしまいます。

次に、友達への対応を保護者の方が代わりに担うことを提案できます。「友達からの連絡は、お母さん・お父さんがうまく伝えておくね」という形にすることで、お子さんが直接対応する精神的な負担を軽減できます。ただし、内容については必ずお子さんの意思を確認してから動くことが重要です。

そして、「いつか会いたくなったとき」のために関係をつないでおくことも大切です。友達との関係を強制的に維持しようとする必要はありませんが、友達が「〇〇のことを気にかけている」ということだけは折を見てさりげなく伝えておくと、回復期に関係を再開しやすくなります。

「無理に会わせなくていい」根拠と回復のタイミング

「友達と会わせた方が回復が早いのでは」と思う保護者の方もいるでしょう。しかし、こども家庭庁が示す支援の基本姿勢でも、「子どもの意思と安心を最優先にする」という考え方が一貫して強調されています(出典:こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/)。

不登校支援において専門家の間で広く共有されているのは、「安心できる環境の確保」が回復の土台になるという考え方です。友達に会うことを強制することで外の世界とつながるきっかけになる場合もゼロではありませんが、準備が整っていない段階で無理に関係を維持しようとすることが、かえって回復を遅らせるリスクもあります。

回復のサインが見え始めるのは、次のような変化が現れてきたときです。

・自分から「〇〇はどうしてるかな」と口にするようになったとき
・友達からのメッセージを「読んだ」と教えてくれるようになったとき
・外出のハードルが下がり、近所の散歩程度ができるようになったとき

このような変化が見られたら、「返事しなくていいから、見るだけ見てみる?」などの小さな提案から始めることが、関係の再開への自然なステップになり得ます。

まとめ

お子さんが「友達に会いたくない」と言うとき、その言葉の背景には、比較されることへの恐怖、エネルギーの低下、演じることへの疲弊など、複雑な心理が重なっています。これは友達を嫌いになったのではなく、今の自分を守るための心のサインだと理解することが、保護者の方にとって大切な視点です。

文部科学省の調査データ(2023年度)が示すように、不登校の子どもの多くは「無気力・不安」を抱えており、友人関係においても同様の不安が働いています。今は会えなくても、安心できる家庭の環境が整っていれば、お子さんはいつか自分のペースで外とのつながりを取り戻していきます。焦らずに、まずは「今のあなたの気持ちでいい」と伝え続けることが、回復への最も確かな土台になります。

参考情報:
・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/

・文部科学省「生徒指導提要(改訂版)」(2022年)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/

・こども家庭庁 公式サイト
https://www.cfa.go.jp/

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・不登校の子どもへの声かけと接し方:https://futoukou.co.jp/parents-support/
・不登校の回復期に見られるサインと保護者の関わり方:https://futoukou.co.jp/recovery/
・不登校の基礎知識|原因・経過・支援の流れ:https://futoukou.co.jp/futoukou-basics/

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