通信制高校に通いながら大学進学を目指すお子さんを持つ保護者の方から、「AO入試(総合型選抜)って、通信制の子でも受けられるの?」という声をよくいただきます。学校行事も少なく、部活動の実績もない、そんな不安を抱えているご家庭は少なくないでしょう。ただ、正直に申し上げると、通信制高校生だからこそAO・総合型選抜に向いている理由があります。その理由と、今から経験を積む具体的な方法をお伝えします。
通信制高校生がAO入試で評価されやすい理由
AO入試、現在の正式名称「総合型選抜」は、学力一本で合否を決める入試ではありません。文部科学省の定義では、総合型選抜は「大学が求める人物像(アドミッション・ポリシー)に合致する学生を、書類・面接・小論文などを通じて多面的に評価する選抜方法」とされています。
つまり、評価の中心になるのは「何を学んできたか」「なぜその大学・学部に進みたいのか」「入学後に何をしたいのか」という志望理由と、それを裏付ける具体的な経験や活動です。
ここで通信制高校生の強みが生きてきます。全日制高校の生徒は授業・部活・学校行事に時間の多くを費やしますが、通信制高校では自分で時間を設計できます。この自由な時間を使って資格を取得したり、ボランティア活動に参加したり、趣味を深めて作品を制作したりすることが、総合型選抜では「独自の経験」として評価される材料になります。
実際、通信制高校大手のN高等学校・S高等学校・R高等学校(KADOKAWAドワンゴ運営)の公式サイトによると、在籍生徒数は2025年12月末時点で35,744名に達しており(N高等学校公式サイト、取得2026年5月)、同校は「将来へつながる多くの経験ができる」ことを学校の特長として明示しています。在校生の多様な活動経験は、総合型選抜への対応という観点からも学校として意識的に位置づけられていると考えてよいでしょう。
総合型選抜に向けた「経験」の具体的な積み方
では、どのような経験が総合型選抜の出願書類や面接で使えるのでしょうか。大きく4つに分けて整理します。
「1.資格・検定の取得」は最も取り組みやすい経験の一つです。英語検定(英検)・TOEFL・TOEIC・漢字検定・数学検定・ITパスポートなど、客観的なスコアや級は書類審査で証明力を持ちます。特に英語系は文系・理系問わず多くの大学で評価されやすい傾向があります。
「2.ボランティア・地域活動」は志望学部によっては非常に有効です。福祉系・教育系・医療系の学部を目指す場合、実際に現場を経験したという事実はほかの受験生との差別化につながります。市区町村の社会福祉協議会や地域のNPO法人が主催するボランティア募集は、高校生でも参加できるものが多数あります。
「3.自主制作・起業・研究活動」は、特に芸術・デザイン・情報・ビジネス系の学部で評価される傾向があります。プログラミングでアプリを作る、写真やイラストをSNSで発信する、地域の課題をテーマに調査レポートをまとめるといった活動は、通信制高校の時間的な自由度を活かしやすいものです。
「4.コンテスト・大会への挑戦」も有力な材料になります。英語スピーチコンテスト・作文コンクール・数学オリンピック・プログラミング甲子園・ビジネスプランコンテストなど、全国規模のものから地域主催のものまで多様にあります。入賞できなくても「挑戦した理由・学んだこと」は面接の素材になります。
通信制高校でAO・総合型選抜対策ができる学校の例
近年、通信制高校の中には総合型選抜を明示的にサポートするコースを設けている学校も出てきています。
第一学院高等学校(公式サイト取得2026年5月)では、「プレミアムコース・社会探究×総合型選抜専攻(週5日登校)」というコースを設けており、総合型選抜に特化した指導を在学中から受けられる体制を整えています。同校は全国67キャンパスを展開しており(公式サイトによる)、地方在住の方でも通いやすい環境があります。
クラーク記念国際高等学校(公式サイト取得2026年5月)は1992年に開校した通信制高校で、「全日型」「スマートスタディ(通学日数を選ぶ)」「単位修得(週1〜2回程度)」の3スタイルを持ち、2025年度の大学進路実績も公開しています。探究学習を学校の特長として掲げており、総合型選抜に必要な「自分の言葉で語れる経験」を学校生活の中で積みやすい仕組みになっています。
これらの学校を選択肢として検討されている場合は、必ず各校のオープンスクールや個別相談会に参加し、進学サポートの具体的な内容を直接確認してください。公式サイトの情報だけでは分からないサポート体制の詳細は、担当者に直接聞くのが最も確実です。
お子さんが学校選びを嫌がるようであれば、無理に見学を急かさず、まずはオンライン説明会や資料請求から始めてみることをおすすめします。
出願書類と面接の準備:2027年度入試に向けたスケジュール
現在(2026年5月)から2027年度入試の総合型選抜を目指す場合、逆算するとおおむね以下の流れになります。
「今から2026年夏(入試の約12〜14ヶ月前)」は、経験を積む時期です。先ほど紹介した資格・ボランティア・制作活動・コンテストなど、出願書類に書ける活動をできるだけ多く始めてください。1つの活動を深く続けることが重要で、「とにかく数を増やす」よりも「なぜそれをしたのか語れる活動」を選ぶことが大切です。
「2026年秋〜冬(入試の約9〜12ヶ月前)」は、志望校・志望学部の研究と出願書類の下書きを始める時期です。大学のアドミッション・ポリシーを読み込み、自分の経験とどう結びつくかを言語化する練習を始めてください。
「2027年春〜夏(入試の約3〜6ヶ月前)」は、出願書類の最終仕上げと面接練習の本番期です。通っているサポート校や予備校があれば、模擬面接の機会を依頼しましょう。
なお、2026年8月には高卒認定試験の第1回(2026年度)が実施予定です(文部科学省、出願は5月頃)。高卒認定と大学受験を組み合わせるルートをお考えの方は、今がちょうど出願を確認するタイミングです。
まとめ
通信制高校に在学していることは、総合型選抜において不利な要素にはなりません。むしろ、自由な時間を活かして自分だけの経験を積み上げることができるという点で、独自の強みになりえます。重要なのは、「なぜその活動をしたのか」「そこから何を学んだのか」を自分の言葉で語れるよう、経験を積みながら言語化する習慣をつけることです。今(2026年5月)から動き出せば、2027年度の総合型選抜まで十分な準備期間があります。お子さんのペースを大切にしながら、まずは「興味のあることを一つ深める」ところから始めてみてください。
・N高等学校・S高等学校・R高等学校 公式サイト https://nnn.ed.jp/
・第一学院高等学校 公式サイト https://www.daiichigakuin.ed.jp/
・クラーク記念国際高等学校 公式サイト https://www.clark.ed.jp/
・みんなの通信制高校ナビ https://www.stepup-school.net/
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