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不登校の子どもの意思を尊重するための向き合い方

不登校の子どもの意思を尊重するための向き合い方

「学校に行きたくない」というお子さんの言葉を、どう受け止めたらいいのかわからない——そう感じている保護者の方は、決して少なくないのではないでしょうか。背中を押すべきか、ゆっくり休ませるべきか、本人の気持ちを優先すべきか、それとも将来のことを考えて促すべきか。頭の中でぐるぐると考え続けている日々は、本当につらいものです。文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、全国の不登校児童生徒数は約34万6,000人にのぼっており、多くの家庭が同じ悩みを抱えていることがわかっています。あなただけが孤独に悩んでいるわけではありません。

目次

「意思を尊重する」とはどういうことか

「本人の意思を尊重する」という言葉は、支援の現場や専門家の発信の中でよく耳にするようになりました。ただ、この言葉を初めて目にしたとき、「意思を尊重するって、つまり何もしなくていいということ?」と戸惑う保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

まず、意思を尊重することは「放置すること」とは違います。お子さんが「学校に行きたくない」と言ったとき、その言葉の裏には、言葉にできない疲れや恐れ、戸惑いが詰まっていることがほとんどです。その気持ちをまず受け取ること——「そうか、つらかったんだね」とそのままの感情を受け止めること——が、意思を尊重する第一歩になります。

こども家庭庁は、「こどもの視点に立って意見を聴き、こどもにとっていちばんの利益を考える」という姿勢を基本方針として掲げています(出典:こども家庭庁公式サイト、2025年取得)。これは支援機関だけに向けた言葉ではなく、家庭でも同じように意識できるスタンスです。まず「この子は今、何を感じているのか」に意識を向けることが、尊重の出発点になります。

「聴く」という行為には、言葉通りに受け入れるだけでなく、「あなたの気持ちはここにある」と存在を確かめてあげる意味があります。お子さんが言葉を出せないときも、隣にいること自体がメッセージになります。何かを解決しようとしなくても、ただそばにいてあげることが、お子さんの安心感につながっていくことがあります。

「育て方が悪かったのでは」と感じてしまうとき

お子さんが不登校になったとき、「自分の育て方に問題があったのではないか」と感じてしまう保護者の方はとても多いのではないでしょうか。その気持ちは、お子さんのことを真剣に考えているからこそ湧いてくるものです。罪悪感を感じるのは、それだけ愛情深く向き合ってきた証でもあります。

ただ、不登校の背景はひとつではありません。学校環境の変化、友人関係、発達特性や体調面の課題、あるいは「なぜかわからないけれど動けない」という状態など、要因はお子さんによって異なります。文部科学省の生徒指導提要でも、不登校は「怠けや問題行動ではない」という考え方が明示されており、背景には多様な要因があると示されています(出典:文部科学省「生徒指導提要」2022年改訂版)。

「私のせいかもしれない」と感じながら毎日を過ごすのは、保護者の方にとっても心身に大きな負担がかかります。自分を責めるエネルギーを、少しでも「今のお子さんに何が必要か」を考えることに使えるように、まずご自身の気持ちを誰かに話してみることも大切な選択肢のひとつです。

あなたのお子さんへの愛情は、確かに伝わっています。毎日心配して、どうすれば良いかを真剣に考えているその気持ちは、きっとお子さんにも届いているはずです。

「急かすこと」と「背中を押すこと」の違い

意思を尊重しながら、それでも「このままでいいのか」という焦りが出てくるのは自然なことです。特に進路や受験が絡む時期になると、「早く動かなければ」という気持ちが強くなり、つい言葉が強くなってしまうこともあるかもしれません。不安になりますよね。その気持ちは、ごく当たり前の感情です。

「急かすこと」と「背中を押すこと」は、似ているようでお子さんの受け取り方に大きな差があります。「急かす」は保護者側のペースで動くことを求める言葉かけであり、お子さんの中に「できていない自分」「遅れている自分」という感覚を生みやすい傾向があります。一方「背中を押す」は、お子さんが今の状況に少しずつ目を向けられるようになったタイミングに、選択肢をそっと差し出すイメージです。

たとえば「通信制高校という選択肢もあるよ」「気が向いたとき一緒に調べてみようか」というように、主語をお子さん側に置いた声かけは、意思を尊重しながら次への一歩を一緒に考えるきっかけになります。「〇月までに決めなければ」という締め切りを突きつけるのではなく、「今のあなたのペースで考えていい」というメッセージを伝えることで、お子さんが自分の意思で考えはじめる余地が生まれてきます。

支援を使いながら、一人で抱えこまないために

「子どもの意思を尊重したい、でもどうしていいかわからない」という状況は、保護者の方が一人で抱えこむには重すぎることがほとんどです。スクールカウンセラー、教育相談センター、地域の子ども・若者支援窓口など、保護者の方自身が話せる場所を探してみることも、とても大切な行動のひとつです。

こども家庭庁は相談窓口の案内を公式サイトで提供しており、「困ったことがあったらこちらへ」という呼びかけも子どもだけでなく保護者に向けても行われています(出典:こども家庭庁公式サイト、2025年取得)。行政の窓口が遠く感じる場合は、通信制高校やサポート校に相談してみることも選択肢のひとつです。入学前でも個別相談に応じている学校は多く、保護者の方の悩みを一緒に整理してくれる場所になることがあります。

大切なのは、「正解を見つけること」よりも「今のお子さんに寄り添えていること」です。一つひとつの答えが出なくても、そばにいようとしているあなたの存在は、お子さんの支えになっています。

まとめ

不登校のお子さんの意思を尊重することは、決して「何もしない」ことではありません。まず気持ちを受け止め、お子さんのペースに合わせて選択肢をそっと示しながら、一緒に考えていくことが大切です。文部科学省の調査では全国で約34万6,000人の不登校児童生徒がいることが示されており、同じ悩みを抱えている保護者の方はたくさんいらっしゃいます。あなたは一人ではありません。「どうすれば良いかわからない」と感じたときは、まず支援窓口や学校の相談窓口に声をかけてみてください。焦らなくて大丈夫です。お子さんへのあなたの愛情は、きっと伝わっています。

・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・文部科学省「生徒指導提要(2022年改訂版)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/

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・不登校の子どもへの声かけと接し方:https://futoukou.co.jp/parents-support/
・不登校から回復するプロセスと保護者の関わり方:https://futoukou.co.jp/recovery/
・通信制高校の選び方と不登校の子どもに合う学校探し:https://futoukou.co.jp/correspondence-school/

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