「学校に行きなさい」という言葉が、もう出てこなくなってきた。そんな保護者の方は、すでに正しい方向に向かっています。高校生の不登校は、小学生・中学生と異なる難しさがありますが、対応次第で状況が大きく変わる可能性があります。この記事では、現在地を整理しながら、今日から動ける具体的なステップをお伝えします。
高校生の不登校の実態をまず知っておく
文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、高等学校における不登校生徒数は68,770人にのぼり、前年度から増加傾向が続いています。在籍生徒に占める割合は約2.1%ですが、この数字は「年間30日以上欠席した生徒」のみを対象としており、不登校一歩手前の状態にある生徒はさらに多いとみられています。
ここで重要なのは、高校生の不登校には小中学生と異なる特有の事情があるという点です。高校は義務教育ではないため、欠席日数が一定を超えると「留年」「退学」という選択を迫られる場合があります。また、高校生という年齢はアイデンティティが揺れる時期でもあり、「学校に行けない自分」への自己否定が深くなりやすい傾向があります。
保護者の方がまず理解しておきたいのは、「高校生が不登校になること」はめずらしいことではないという事実です。原因も、対人関係・学習の遅れ・起立性調節障害・発達障害・家庭環境など多岐にわたり、「怠け」や「甘え」では説明できないケースがほとんどだということを、まず前提として共有しておきましょう。
保護者が今すぐできる3つの対応
お子さんが不登校になったとき、保護者の方が「何かしなければ」と焦る気持ちはとても自然なことです。ただし、最初の対応を間違えると、回復に時間がかかることもあります。以下の3つを、まず実践してみてください。
1.「なんで行けないの」ではなく「つらかったね」から始めてください。
原因を問い詰める言葉は、お子さんを追い詰めてしまいます。最初の一言は、共感の言葉から入ることがとても大切です。「最近しんどそうだったね」「何か話せることがあれば聞くよ」という声かけが、安心感につながります。
2.学校・担任との連絡窓口を保護者が担うようにしてください。
学校との連絡は保護者が代わって行い、お子さんを「学校の問題を解決しなければならない当事者」にしないよう配慮することが重要です。担任の先生には「本人が安定するまで直接の連絡は控えていただけますか」とお願いすることも、多くの場合は受け入れてもらえます。
3.スクールカウンセラーまたは相談機関に、まず保護者だけで相談してください。
お子さんをすぐ専門家のところへ連れて行こうとすると、抵抗感を示すことがよくあります。最初は保護者の方だけで学校のスクールカウンセラー、または地域の教育相談センターに相談に行き、どう接すればよいかのアドバイスをもらうほうが現実的です。
高校の出席日数と進級・転学の手続きを確認する
高校生の不登校で保護者の方が最も気にするのが「留年」「退学」の問題でしょう。こちらは学校・学科・学年によって基準が異なるため、必ず在籍校に確認が必要ですが、一般的な目安を整理します。
多くの高校では、各教科の授業時数のうち3分の1以上を欠席すると、その教科の単位が取得できなくなります。必要単位が取得できない場合は留年、または自主退学を選ぶケースが出てきます。ここで知っておきたいのが「転学」と「転編入」という選択肢です。
現在在籍している全日制高校から通信制高校へ転学した場合、すでに取得済みの単位を引き継げる可能性があります。手続きの流れはおおむね以下のとおりです。
1.在籍校の担任または教務部に「転学相談」の意向を伝える。
2.転学先の通信制高校の入学相談会に参加し、単位認定の可否を確認する。
3.在籍校から「単位修得証明書」「成績証明書」を取り寄せる。
4.転学先への入学手続きを行い、在籍校に退学届または転学届を提出する。
この流れは学校によって細部が異なりますので、転学を検討する場合は在籍校と転学先の両方に早めに問い合わせることをおすすめします。
通信制高校という選択肢を具体的に知る
通信制高校は「仕方ない選択」ではなく、多様な学び方ができる高校の一形態です。実際にN高等学校・S高等学校・R高等学校(運営:KADOKAWAドワンゴ、出典:公式HP https://nnn.ed.jp/)では、公式HPに掲載されている最新データ(2025年時点)によると全校生徒数は35,744名にのぼり、国内の通信制高校のなかでも最多規模の生徒数となっています。これだけ多くの生徒が通信制高校を選んでいるという事実は、保護者の方にとって心強い情報ではないでしょうか。
通信制高校の特徴は、登校日数が少なく自分のペースで学習を進められる点にあります。N高のネットコースのように「好きな時間・好きな場所」で学べるスタイルも増えており、生活リズムが崩れている時期でも学習を続けやすい環境が整っています。
また、第一学院高等学校(出典:公式HP https://www.daiichigakuin.ed.jp/)のように全国に多数のキャンパスを展開し、週2日から週5日まで複数の登校コースを選べる学校も増えています。お子さんの体調や状況に合わせてコースを選べる柔軟性があるのが、通信制高校の大きなメリットのひとつです。
学費については、通信制高校によって大きく異なります。各校の公式HPに掲載されている情報を必ず確認してください。また、世帯年収によっては「高等学校等就学支援金」が適用され、授業料の一部が支援される制度もあります(出典:文部科学省「高等学校等就学支援金制度」公式ページ https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/)。
まとめ
高校生の不登校は、早期に適切な対応を取ることで、進路の選択肢を大きく広げることができます。まず保護者の方が孤立しないよう、スクールカウンセラーや教育相談機関に相談し、情報を集めることが第一歩です。出席日数・単位の状況を早めに確認し、必要であれば通信制高校への転学も視野に入れながら、お子さんのペースを最優先に考えてください。「どの道を選ぶか」よりも「どう関わるか」が、お子さんの回復を支える最も大切な要素です。焦らなくて大丈夫です。一歩ずつ、一緒に考えていきましょう。
・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(令和5年度)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・文部科学省「高等学校等就学支援金制度」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/
・N高等学校・S高等学校・R高等学校 公式HP https://nnn.ed.jp/
・第一学院高等学校 公式HP https://www.daiichigakuin.ed.jp/
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