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不登校をリフレーミングする5つの視点と考え方

不登校をリフレーミングする5つの視点と考え方

「うちの子はこのままでいいのか」と、夜中に検索を繰り返している保護者の方も多いのではないでしょうか。文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、小・中学校における不登校児童生徒数は約34万6,000人と過去最多を更新しており、もはや特別なことではなく、どの学校・どの家庭にも起こりうる状況になっています。それでも、わが子のこととなると「なぜうちだけ」と感じてしまうのは自然なことです。そのつらさを少し楽にする「リフレーミング」という考え方を、具体的な視点とともに整理してお伝えします。

目次

リフレーミングとは何か:制度でも薬でもない「見方の転換」

リフレーミング(Reframing)とは、ある出来事や状況を「別の枠組みで捉え直す」心理的なアプローチです。「見方を変える」と言うと単純に聞こえるかもしれませんが、認知行動療法や家族療法など、専門的な心理支援の現場でも用いられている考え方です。

たとえば「学校に行けない」という状況を「何かから逃げている」と捉えるのか、「何かを守るために立ち止まっている」と捉えるのかで、保護者の方が子どもにかける言葉や接し方はまったく変わってきます。

大切なのは、リフレーミングが「つらさをごまかす」ためのものではない、という点です。現実から目を背けることをすすめているわけではありません。同じ事実に対して、より柔軟な視点を持つことで、保護者の方自身が追い詰められずに子どもを支えられるようになることを目的としています。

文部科学省が2022年に改訂した「生徒指導提要」(出典:文部科学省 生徒指導提要、2022年12月)では、不登校の捉え方について「問題行動として受け取られることのないよう配慮しつつ、社会的自立を目指した支援を行う」という方針が明確に示されています。つまり、国の指針としても、不登校を「悪いこと」「直すべきこと」とは位置づけていないのです。

この視点を保護者の方が持てるかどうかが、子どもへの関わり方に大きな影響を与えます。

視点1〜2:「休んでいる」から「回復している」へ

保護者の方がリフレーミングしやすいのが「何もしていない」という見方です。お子さんが一日中家にいると、つい「このままで大丈夫なのか」と焦ってしまいます。しかし視点を変えると、別の側面が見えてきます。

視点1:「休息」は「回復」のプロセスです

不登校になる前後、多くのお子さんは強いストレスや疲労感を経験しています。学校という環境で蓄積されたエネルギーの消耗を、自宅での「何もしない時間」によって少しずつ回復しているという見方ができます。大人が過労で倒れたとき、まず必要なのが休養であるのと同様に、子どもにも回復の時間が必要なことがあります。

視点2:「好きなことをしている時間」は「力を蓄えている時間」です

ゲームをしている、アニメを見ている、絵を描いているといった行動を「意味がない」と感じてしまう保護者の方も多いでしょう。しかし、好きな活動に没頭できているということは、お子さんが自分を保てている証拠でもあります。こども家庭庁の基本理念でも「こどもの意見を聴き、こどもにとっていちばんの利益を考える」という視点が示されており(出典:こども家庭庁 公式サイト、2023年設置以降)、子ども自身が何に安心感を持てるかを尊重することが支援の出発点とされています。

この2つの視点は、保護者の方が日常の中で意識するだけで、子どもへの言葉が少し変わります。「何しているの」から「今日は何が楽しかった」に変わるだけで、会話の質が変わることがあります。

視点3〜4:「遅れている」ではなく「別の道を歩んでいる」

「みんなが学校で勉強しているのに」という気持ちは、保護者として当然生まれるものです。ただし、この「みんな」との比較がお子さん自身のつらさを深めてしまうこともあります。

視点3:通信制高校・高卒認定は「別ルート」であり「劣ったルート」ではありません

文部科学省「令和5年度学校基本調査」(2023年)によると、通信制高校の在籍者数は約26万6,000人に達しており、過去10年で大きく増加しています。通信制高校から大学進学を果たす生徒も年々増えており、進路の多様化は着実に進んでいます。「学校に行けなかった」という事実は変わりませんが、「だから大学に行けない」「だから将来がない」という結論は、現在の制度的事実とは一致しません。

視点4:「立ち止まった経験」が将来の強みになることがあります

不登校を経験したお子さんが、自分自身のつらさと向き合う中で、他者への共感力や自己理解の深さを育てていることがあります。これは一般化できるものではありませんが、「つらい経験を乗り越えた」という事実そのものが、本人にとって大きな経験値となることも確かです。リフレーミングとは、こうした側面に保護者の方自身が気づき、言語化できるようになることでもあります。

視点5:保護者自身の「焦り」をリフレーミングする

リフレーミングの対象はお子さんだけではありません。保護者の方自身の感情についても、見方を変えることが大切です。

「こんなに焦っているのはダメな親だから」という自己批判をしてしまう保護者の方も多くいらっしゃいます。しかし、焦りを感じているのは「子どもの将来をそれだけ真剣に考えているから」でもあります。焦りそのものを否定するのではなく、「この焦りは子どもへの愛情の裏返しだ」と捉え直すことで、自分自身を少し楽にすることができます。

同時に、保護者の方が精神的に安定していることが、お子さんの安心感にもつながります。文部科学省が示す不登校支援の基本方針でも、家庭環境の安定が子どもの回復を後押しする要素として位置づけられています(出典:文部科学省 生徒指導提要、2022年12月)。

一人でリフレーミングするのが難しいと感じたときは、スクールカウンセラーや教育相談センター、民間の不登校支援団体など、専門家に話を聞いてもらうことが助けになります。思考の枠組みを変えるには、時に外からの視点が必要です。

まとめ

リフレーミングは、現実を変えるのではなく「現実の見方」を変えるアプローチです。不登校の数は過去最多水準が続いており(出典:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」2023年度)、一方で通信制高校や高卒認定など進路の選択肢も着実に広がっています。「学校に行けない」という事実はひとつですが、そこからどの方向に歩けるかは、保護者の方の視点の持ち方によっても変わってきます。まずは今日、お子さんへの声かけをひとつ変えてみることから、始めてみてはいかがでしょうか。

・文部科学省「生徒指導提要(改訂版)」2022年12月 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・文部科学省「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/futoukou/
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/

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・不登校の子どもへの声かけと接し方:https://futoukou.co.jp/parents-support/
・通信制高校から大学へ進む方法と進学率:https://futoukou.co.jp/correspondence-school/
・不登校の回復段階ごとの関わり方:https://futoukou.co.jp/recovery/

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