「学校には行けないけれど、勉強は続けさせてあげたい」——そう願う保護者の方は多いのではないでしょうか。文部科学省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、不登校の小中学生は約34万6,000人に上り、過去最多を更新し続けています。学校以外での学びの場をどう確保するかは、多くのご家庭にとって切実な課題です。自宅学習をどう進めるか、どんな教材・支援が活用できるかを、この記事で整理してお伝えします。
まず知っておきたい「自宅学習」の位置づけ
不登校の子どもが自宅で学習を進めることは、文部科学省の方針においても「学びの継続」として認められています。文部科学省の生徒指導に関する公式ページ(https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/)では、不登校への対応として「教育相談」や「関係機関との連携」とともに、学びの機会を確保することが重要な施策として位置づけられています。
つまり、「学校に行けない=学びをあきらめる」ではありません。学ぶ場所や方法は複数あり、自宅学習はその重要な選択肢のひとつです。ただし、自宅学習を長続きさせるには、子どものペースと状態に合った教材・環境選びが欠かせません。
保護者の方がまず意識してほしいのは、「今の子どもの状態」を起点にすることです。学校を休み始めた直後と、ある程度気持ちが落ち着いた時期では、取り組める学習量も内容も大きく異なります。焦って詰め込もうとすると、学ぶこと自体への抵抗感が強まる場合もあります。子どもが「少しやってみようかな」と思えるタイミングを大切にしてください。
自宅学習教材の主な種類と特徴
自宅学習で活用できる教材には、大きく分けて次の4つがあります。
1.市販のワーク・問題集
書店やネットで購入できる学年別・教科別の問題集です。費用が低く、子どものペースに合わせて好きなところから取り組める点がメリットです。ただし、解説が難しい場合や、一人で進めにくい場合もあるため、保護者の方が一緒に取り組む時間をつくれるかどうかが継続のカギになります。
2.タブレット・オンライン学習教材
近年急速に普及しているのが、スマートフォンやタブレットを使ったデジタル教材です。映像授業や自動採点機能を備えているものが多く、自分のペースで進められます。「すらら」「スタディサプリ」などのサービスは、不登校の子どもの出席扱いの要件を満たすケースもあるため、在籍する学校と相談してみる価値があります。
3.通信教育(郵送型・デジタル型)
ベネッセのチャレンジやZ会など、月ごとに教材が届くタイプの通信教育は、ある程度スケジュール感を持って学べるメリットがあります。ただし、ためすぎると「やらなければいけない」というプレッシャーになることもあるため、料金プランや休止制度を確認してから申し込むと安心です。
4.フリースクール・サポート校の学習支援
自宅にこもらず、外の場所で学べる環境を求める場合は、フリースクールやサポート校も選択肢に入ります。高卒認定ワークブックが運営する支援機関(https://www.kousotsu.jp)によると、フリースクールでは「安心して過ごせる居場所」を第一目的に、学習支援も提供しているとされています。在籍する学校の校長判断によっては、フリースクールへの通所が出席として認められるケースもあります。
学年・状態別に考える教材の選び方
「どの教材が一番いい?」という問いに一律の正解はありません。重要なのは、お子さんの今の状態に合わせて選ぶことです。以下を参考にしてください。
不登校の初期・疲弊している時期にあるお子さんへは、勉強よりも心の回復を最優先にすることをおすすめします。教材を用意しても「やらなければ」という焦りになることがあります。読み聞かせや動画鑑賞など、「学び」と意識しなくてすむ知的な刺激を与えることから始める方法もあります。
気持ちが落ち着いてきた時期には、本人が「少しやりたい」と感じ始めたタイミングで、タブレット教材や10〜15分でできる短いドリルを試してみましょう。「できた」という達成感が次への意欲をつなぎます。無理に学年相当の内容にこだわらず、できるところから始めることが大切です。
再び意欲が出てきた時期には、受験や高校進学を視野に入れ始めたら、教科書準拠の問題集や映像授業を活用して、体系的に学力を戻す段階に入ります。この時期に通信制高校やサポート校への相談も検討できます。
通信制高校・サポート校の自宅学習支援を活用する
中学卒業後の進路として通信制高校を選んだ場合も、自宅学習は中心的な学び方になります。通信制高校では「レポート提出・スクーリング・単位認定試験」で単位を取得するため、自学自習の習慣がとても重要です。
高卒認定ワークブックが運営する支援機関の情報(https://www.kousotsu.jp)によると、通信制高校は「レポート」「スクーリング」「単位認定試験」において挫折しやすい構造があるとされており、サポート校が補助的な役割を担っています。
自宅学習だけで不安がある場合は、予備校型のサポートや個別指導といった外部サポートを組み合わせることも一つの方法です。進路に合わせてどのようなサポートが必要かを整理し、学校や支援機関に相談しながら選んでいくことをおすすめします。
まとめ
自宅学習教材の選び方に唯一の正解はありません。大切なのは、お子さんの今の状態を出発点にして、「今できることから始める」姿勢を保つことです。文部科学省も、学校以外の多様な学びの場を認める方向で施策を進めており(文部科学省生徒指導ページ、https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/)、保護者の方が選択肢を広く知っておくことがお子さんの助けになります。市販教材・デジタル教材・通信教育・フリースクールなど、複数の選択肢を組み合わせながら、焦らずお子さんのペースに寄り添ってみてください。
・文部科学省「生徒指導上の現状・施策について(生徒指導関連ページ)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・高卒認定ワークブック「フリースクールと通信制高校サポート校の比較」https://www.kousotsu.jp
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