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不登校の子どもが通院するときの交通費と支援制度

不登校の子どもが通院するときの交通費と支援制度

お子さんが心療内科や児童精神科に通い始めたとき、「診察代だけでなく、毎回の交通費もけっこうな負担になる」と感じている保護者の方は少なくないのではないでしょうか。不登校の背景にある医療的なケアは、一度の受診では終わらず、数か月から数年にわたって継続することも珍しくありません。「通院を続けたいけれど、費用の不安がある」というご家庭のために、現在利用できる支援制度や考え方を整理してお伝えします。

目次

不登校の子どもが通院する頻度と費用の現実

文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2024年度公表)によると、小中学生の不登校児童生徒数は約34万6,000人に上っており、過去最多を更新し続けています。不登校の要因は多岐にわたりますが、発達障害の特性、起立性調節障害(立ち上がったときに血圧調節がうまくいかず、朝の体調不良などが続く身体疾患)、不安障害など、医療機関でのサポートが必要なお子さんが増えていることも事実です。

心療内科や児童精神科への通院は、一般的に2〜4週に1回程度の間隔で行われることが多く、場合によってはカウンセリング(心理療法)が別途加わることもあります。1回あたりの診察料に加え、往復の交通費が積み重なると、月々の家計への負担は小さくありません。特に、専門医が地域に少ない場合は、電車やバスで片道1時間以上かかるケースもあり、交通費が医療費を上回ることすらあります。

また、不登校の状態にあるお子さんは、外出そのものに強い不安を抱えている場合もあります。タクシーや保護者の車での送迎が必要になるケースも多く、「なるべく負担を減らしながら通院を続けるにはどうすればいいか」という視点で制度を知っておくことが大切です。

自立支援医療制度(精神通院医療)の活用

通院にかかる医療費の自己負担を大幅に軽減できる制度として、「自立支援医療制度(精神通院医療)」があります。これは、精神疾患(発達障害を含む)の治療のために継続的に通院が必要な方を対象に、医療費の自己負担が原則1割になる制度です。通常の健康保険では3割の自己負担となっているところを、最大で9割まで公費が補助されます(出典:厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)」)。

対象となる医療機関と薬局をあらかじめ指定する必要がありますが、精神科・心療内科を受診しているお子さんであれば、主治医に相談した上で申請を検討する価値があります。申請先はお住まいの市区町村の福祉担当窓口です。所得に応じて月あたりの自己負担に上限が設けられており、医療費全体を抑えることで、交通費への余裕も生まれます。

ただし、この制度はあくまでも医療費を対象とするものであり、交通費そのものは補助されません。「医療費が下がった分、交通費に充てやすくなる」という間接的な効果を期待する活用方法です。主治医や医療ソーシャルワーカー(病院内で福祉的な相談を担う専門職)に制度の適用可否を確認してみてください。

交通費に関連する支援の探し方

通院にかかる交通費を直接補助する全国統一の公的制度は、現時点では限定的です。ただし、自治体ごとの独自支援策や、障害福祉サービスの一部として交通費補助が設けられているケースがあります。

こども家庭庁は、子どもと家庭の福祉・健康の向上を支援する機関として、各地域の相談窓口を案内しています(こども家庭庁公式サイト:https://www.cfa.go.jp/)。まずはお住まいの市区町村の「子ども家庭相談窓口」や「障害福祉課」に問い合わせてみることをおすすめします。

また、障害者手帳(療育手帳・精神障害者保健福祉手帳)を取得している場合は、公共交通機関の運賃割引が適用されることがあります。バスや電車の割引は路線・事業者によって内容が異なりますが、半額程度になるケースもあり、月々の通院費を継続的に下げる効果が期待できます。手帳の取得には主治医の診断書が必要になりますので、受診時に「手帳の申請を検討したい」と相談してみてください。

さらに、「医療費控除」の仕組みも見逃せません。通院のために支払った交通費(公共交通機関を利用した場合)は、医療費控除の対象に含まれます。確定申告の際に医療費と合わせて申告することで、税負担の軽減につながります。領収書やICカードの利用記録を保管しておくと申告時に役立ちます。

通院の負担を少しでも減らす工夫

制度の活用と並行して、日常的な工夫でも通院の負担を和らげることができます。

近年は、精神科・心療内科でもオンライン診療(ビデオ通話などを使った遠隔での診療)を導入しているクリニックが増えています。すべての内容がオンラインで対応できるわけではありませんが、安定期の定期受診や処方の確認などはオンラインで行える場合もあります。外出が難しい状態のお子さんや、遠方の医療機関にかかっている場合は、主治医に「オンライン診療の可能性」を尋ねてみることも一つの選択肢です。

また、スクールカウンセラーや教育支援センター(適応指導教室)に配置されている相談員は、医療機関ではありませんが、学校と連携しながら心理的なサポートを提供しています。医療機関への通院と並行して利用することで、通院の頻度を調整できる場合もあります。学校の担任や養護教諭に相談してみてください。

まとめ

不登校のお子さんの通院にかかる交通費は、継続的な医療ケアを続ける上で保護者の方が直面する現実的な課題の一つです。自立支援医療制度による医療費の軽減、障害者手帳の運賃割引、医療費控除の活用など、複数の制度を組み合わせることで、経済的な負担を少しずつ和らげることができます。

大切なのは、「一人で抱え込まずに相談する」ことです。市区町村の相談窓口、医療ソーシャルワーカー、学校のスクールカウンセラーなど、一緒に考えてくれる人は必ずいます。お子さんのペースを守りながら通院を続けるために、使える制度はぜひ積極的に探してみてください。

気になる症状や医療的なサポートについては、かかりつけ医や児童精神科など専門家にご相談ください。

・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2024年度公表) https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/
・厚生労働省「自立支援医療(精神通院医療)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/jiritsu/index.html

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・起立性調節障害と不登校の関係を保護者が知っておくべきこと:https://futoukou.co.jp/futoukou-basics/
・不登校の家庭が使える支援制度と相談窓口の一覧:https://futoukou.co.jp/support-system/

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