「うちの子、面接で不登校のことを聞かれたらどう答えるんだろう」と、進路を考えるたびに頭をよぎる保護者の方は少なくないのではないでしょうか。通信制高校への転入・編入の面接、高卒認定後の大学入試の面接、そして就職活動の面接と、お子さんの人生にはさまざまな「面接の場面」が待っています。不登校の経験があることを「どう説明すればいいのか」「マイナスに見られないか」と不安に感じるのは、保護者の方にとっても本人にとっても自然なことです。この記事では、不登校経験のある方が面接でどのように準備し、何を伝えればよいかを、制度的な背景も含めて整理してお伝えします。
不登校の現状と「面接が必要になる場面」を整理する
まず、現在の不登校を取り巻く状況を確認しておきましょう。文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2024年度公表・2023年度調査)によると、小・中学校における不登校児童生徒数は約34万人に達しており、過去最多を更新し続けています。これは決して珍しいことではなく、同世代の多くの子どもたちが同じ経験をしているということを、まずお子さんと保護者の方に知っておいていただきたいと思います。
不登校経験のある方が「面接」に向き合う場面は、大きく以下の3つに分けられます。
1.通信制高校・サポート校への転入・編入の面接
2.高卒認定試験合格後の大学・専門学校入試の面接
3.就職・アルバイト採用の面接
それぞれ目的や評価軸が異なりますが、共通するのは「不登校という経験を正直に伝えつつ、自分自身の言葉で語れるかどうか」が問われるという点です。面接官が知りたいのは「なぜ学校に行かなかったか」という理由の詳細ではなく、「今のあなたはどんな人で、これからどうしたいのか」という前向きな姿勢です。
通信制高校・サポート校の面接で準備すること
通信制高校への転入・編入を検討する場合、多くの学校で面接が実施されます。ただし、通信制高校・サポート校の面接は、一般の高校入試とは性格が異なります。選抜試験というよりも「この学校での学び方がお子さんに合っているかどうかを確認する場」として設けられていることが多く、正直に話すことが大切です。
多くの通信制高校やサポート校では、生徒一人ひとりのペースや個性を尊重することを理念として掲げており、不登校経験があることを過度に隠す必要はありません。面接は選抜よりも「マッチング」の場と捉えると、緊張が和らぎやすくなります。
面接前に準備しておくとよいことは、以下の通りです。
1.不登校になった経緯を、自分なりの言葉で整理しておくこと(詳細を話す必要はなく、「体調が優れなかった時期があった」「学校の環境が自分に合わなかった」など、簡潔で正直な言葉で十分です)
2.その時期に何をして過ごしていたかを振り返っておくこと(読書・ゲーム・趣味・家庭学習など、なんでも構いません)
3.この学校を選んだ理由を具体的に話せるようにしておくこと
4.卒業後にどんなことをしたいか、ぼんやりとしたイメージでも言葉にしておくこと
「正解」を答える必要はありません。自分の言葉で話せることが、何より大切です。
大学・専門学校入試の面接で不登校経験をどう語るか
高卒認定試験に合格した後、大学や専門学校を受験する際にも面接が課されることがあります。特に総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜では、面接の比重が大きく、「なぜこの大学・学部を選んだか」「高校時代をどう過ごしたか」という質問が避けられません。
ここで重要なのは、「高校に在籍していなかった期間」を「空白」として扱わないことです。学校に行かなかった時期にも、何らかの経験・学び・気づきがあったはずです。
たとえば、こんな言い方が参考になります。
「高校時代は体調面で学校に通うことが難しい時期がありましたが、その期間に〇〇(読書・資格取得・ボランティア・家事・趣味など)に取り組み、〇〇という関心が生まれました。高卒認定試験を通じて基礎学力を身につけ、この大学で〇〇を学びたいと思っています。」
具体的なエピソードが一つあるだけで、面接官の印象は大きく変わります。お子さんが不登校の期間に関心を持ったこと・自分なりに頑張ったことを、保護者の方が一緒に「言語化」するお手伝いをしてあげられると、準備がぐっと進みやすくなります。
面接練習の進め方と保護者にできるサポート
いざ面接の準備をしようとしても、ブランクが長い場合や対人緊張が強いお子さんにとっては、「練習」自体がハードルになることがあります。無理に「模擬面接」を繰り返すよりも、まずは「会話として話す練習」から始めることをおすすめします。
こども家庭庁では、子どもの支援にあたっては「こどもの視点に立って意見を聴き、こどもにとっていちばんの利益を考える」ことを基本方針として掲げています(こども家庭庁公式サイト、2026年5月参照)。面接の準備においても、お子さんのペースを最優先にすることが大切です。
保護者の方ができる具体的なサポートは、以下の通りです。
1.「なぜ不登校になったのか」を問い詰めるのではなく、「あのとき、どんなことを考えていたの?」と過去を一緒に振り返る問いかけをすること
2.お子さんが話した言葉をそのまま書き留め、後で一緒に整理すること
3.フリースクールや通信制高校のスタッフ・カウンセラーに相談し、面接練習の場を借りること
4.本番前日は「完璧に答えなくていい」「正直に話せばいい」と伝えること
文部科学省「生徒指導等について」のページでも、不登校に関して関係機関との連携・教育相談の重要性が示されており(文部科学省「生徒指導等について」、2026年5月参照)、学校やスクールカウンセラーへの相談を一つの選択肢として検討することも有効です。
まとめ
不登校の経験があることは、面接で「隠すべき過去」ではありません。むしろ、その期間に感じたこと・考えたこと・取り組んだことを自分の言葉で語れることが、面接で評価されるポイントになります。大切なのは「完璧な答え」ではなく、「自分の経験を自分の言葉で話せること」です。文部科学省の調査では不登校の子どもが約34万人いることも示すように、不登校はお子さんだけの特別な事情ではありません。準備は、焦らず、一歩ずつ進めていきましょう。通信制高校やサポート校、フリースクールのスタッフなど、一緒に準備を手伝ってくれる大人を積極的に頼ることも、立派な「面接対策」の一つです。
・文部科学省「生徒指導等について」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(令和5年度)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/futoukou/
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/
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