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不登校と内申点の関係:高校受験への影響と対策

不登校と内申点の関係:高校受験への影響と対策

「内申点がつかなかったら、もう高校に行けないのでしょうか」――お子さんが不登校になったとき、多くの保護者の方がこのような不安を抱えます。欠席が続くと成績評価に影響が出るのではないかと心配するのは、ごく自然なことです。ただ、内申点の仕組みと実際の高校受験への影響を正確に理解することで、見えてくる選択肢は思っているよりずっと広いといえます。内申点の仕組み・不登校との関係・保護者の方が知っておきたい具体的な対策を、一緒に順序立てて確認していきましょう。

目次

そもそも内申点とはどういう仕組みなのか

内申点とは、中学校での学習成績や授業態度・提出物などをもとに各教科に5段階で評価をつけた「調査書点」のことです。一般的に9教科(国語・数学・英語・理科・社会・音楽・美術・保健体育・技術家庭)の各5段階評定を合計した45点満点が基本の形として使われています。

この評定は主に3つの要素で構成されています。

1.「知識・技能」:テストの点数や実技の習熟度
2.「思考・判断・表現」:授業での発言や記述問題への取り組み方
3.「主体的に学習に取り組む態度」:提出物の提出状況・授業参加の姿勢

不登校のお子さんにとって問題になりやすいのは、主にこの3つ目の「主体的に学習に取り組む態度」の評価です。学校に登校できていない状況では、授業への参加や提出物の提出が困難になります。その結果、出席日数が少なくなり、十分な評定がつかないケースが生じやすくなります。

ただし、ここで重要なのは「評定がつかない」と「受験の道が閉ざされる」は同じではないという点です。後の見出しで詳しく説明しますが、内申点を重視しない入試ルートや、不登校の事情を考慮した選抜制度が各都道府県で整備されてきています。まずは内申点の仕組みを正確に知ることが、次の一歩につながります。

不登校による欠席が内申点に与える具体的な影響

欠席日数が増えると内申点にどのような影響が出るかを、もう少し具体的に整理します。

文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、2023年度の中学生の不登校児童生徒数は21万6,616人にのぼり、中学生全体の約7%に相当します。7人に1人が不登校を経験している計算になり、これはもはや特別な状況ではなく、社会全体で対応が求められている課題です。

欠席日数と内申点の関係については、主に以下の2つの側面から影響が生じます。

1.定期テストへの未受験:欠席が続くと定期テストを受けられないことがあります。この場合、「知識・技能」の評価に空白が生まれやすく、評定が低くなったり「未評価」となったりすることがあります。

2.提出物の未提出:授業内で課される課題やノート提出などが行えない状況が続くと、「主体的に学習に取り組む態度」の評価が下がる傾向があります。

ただし、評定の運用は学校や都道府県によって異なります。たとえば、別室登校やフリースクールへの出席を「出席扱い」とする制度が文部科学省の通知(平成21年、令和元年)に基づいて各学校に広がっており、こうした制度を活用することで出席日数を補える場合があります。担任の先生や学校のスクールカウンセラーに相談しながら、活用できる制度を確認することが大切です。

都道府県によって異なる「内申点の扱い方」の現状

高校受験における内申点の扱いは、都道府県や学校によって大きく異なります。一律に「内申点がなければ不利」と考えるのではなく、進学を検討している地域の制度を正確に把握することが重要です。

大きく分けると、以下の3つのパターンがあります。

1.内申点と学力検査の両方を重視するタイプ:多くの都道府県公立高校がこの形を採っています。内申点と入試当日の学力検査の得点を一定の比率で合算して合否を判断します。比率は学校によって異なり、「内申3:学力7」のように当日の試験を重視する学校も少なくありません。

2.学力検査のみで選考するタイプ・当日の試験を重視するタイプ:東京都立高校では、全日制の一般入試において調査書(内申点)の比率が定められていますが、学力検査の比率のほうが高く設定されているケースもあります。

3.不登校を考慮した特別な選抜枠を設けるタイプ:東京都や大阪府など複数の都道府県では、不登校経験者を対象とした「特別入学者選抜」や「自己申告書制度」を設けており、内申点だけで合否が決まらないよう配慮した仕組みが整備されてきています。

お子さんが受験を考えている都道府県の教育委員会の公式サイトや、中学校の進路担当の先生に具体的な比率・制度を確認することをおすすめします。「内申点が低いから無理」と判断する前に、実際のルールを調べることが最初の一歩です。

内申点を気にせず進める4つの進学ルート

内申点が課題になっていても、高校進学や高校卒業資格の取得には複数のルートがあります。お子さんの状況と希望に合わせて選択肢を検討してみてください。

1.通信制高校への進学:通信制高校は、多くの場合、内申点よりも入学後の学習への意欲や面接・作文を重視した選考を行っています。文部科学省の学校基本調査(2023年度)によると、通信制高校の在籍生徒数は26万7,147人にのぼり、その規模は年々拡大しています。不登校経験者も多く在籍しており、自分のペースで学べる環境が整っています。

2.定時制高校への進学:定時制高校も内申点の比重が低い傾向があります。学力検査や面接を中心に選考するケースが多く、不登校経験者でも受験しやすい選択肢のひとつです。

3.高卒認定試験の活用:高校に通わずに「高校卒業と同等の学力があると認定される」試験制度です。文部科学省によると、高卒認定試験の合格者はそのまま大学・専門学校の受験資格を得ることができます。内申点は一切関係なく、試験の点数のみで判定されます。

4.私立高校への進学:私立高校の中には、内申点よりも当日の試験や面接を重視する学校も多くあります。また、不登校経験者への理解が深い学校もあるため、学校の特色をよく調べたうえで選択肢に加えることをおすすめします。

まとめ

不登校になると内申点に影響が出る可能性があるのは事実ですが、それによってすべての進学の道が閉ざされるわけではありません。文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)が示すように、不登校はいま7人に1人の中学生が経験している状況であり、それに対応した制度整備も着実に進んでいます。

今できることは、「お住まいの都道府県の入試制度を確認すること」「出席扱いになる制度を学校に相談すること」「通信制高校・定時制・高卒認定など複数のルートを知ること」の3つです。焦らず、お子さんのペースを大切にしながら、ひとつひとつ情報を整理していきましょう。

・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(令和5年度)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・文部科学省「学校基本調査(令和5年度)」https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm
・文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/futoukou/

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・不登校から通信制高校を選ぶポイントと手続きの流れ:https://futoukou.co.jp/correspondence-school/
・高卒認定試験の仕組みと受験資格・合格後の進路:https://futoukou.co.jp/high-school-equivalency/
・不登校の子どもの進路選択:保護者が知っておくべき選択肢:https://futoukou.co.jp/career-path/

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