「通信制高校に進んだら、大学進学はむずかしくなるのでは?」と感じている保護者の方は、決して少なくないでしょう。しかし実際には、通信制高校から難関大学や国公立大学に進学している生徒は確実に存在しており、ルートとしての可能性は十分にあります。通信制高校の大学進学率をめぐる現状と、進学を実現するために保護者の方が知っておきたい具体的な手順を、以下で順を追って整理していきます。
通信制高校の大学進学率はどのくらいか
まず現実のデータを確認しておきましょう。文部科学省「学校基本調査」によると、全日制・定時制・通信制を合わせた高校卒業者全体の大学等への進学率は近年60%前後で推移していますが、通信制高校に限った進学率はこれよりも低い水準にある傾向が見られます。文部科学省「学校基本調査」(2024年度版)のデータでは、通信制高校卒業者のうち大学・短大への進学者の割合は約20%台にとどまっており、全日制と比較すると差があることは事実です。
ただし、この数値をそのまま「通信制高校では大学に行けない」と解釈するのは適切ではありません。通信制高校には、就労・家事・芸能活動・スポーツ活動などを優先しながら高卒資格を取得することを目的として入学している生徒が多く含まれています。つまり、はじめから大学進学を目標としていない生徒も統計に含まれているという背景があります。
実際に大学進学を目標として入学・転入した生徒に焦点を当てると、状況は異なってきます。たとえばN高等学校・S高等学校(KADOKAWA・ドワンゴ運営)の公式サイトによると、2026年度の大学合格実績を現在公開中であり、毎年多数の生徒が大学進学を実現しています(N高等学校公式HP、2026年4月取得)。クラーク記念国際高等学校の公式サイトでも2025年度の大学進路実績を公開しており、国公立大学や有名私立大学への合格者が含まれています(クラーク記念国際高等学校公式HP、2026年4月取得)。
大切なのは「通信制高校全体の平均値」ではなく、「お子さんが大学進学に向けてどのような環境を選ぶか」という点です。学校・コース・本人の取り組み方によって、結果は大きく変わってくるといえます。
大学進学を目指せる通信制高校の選び方
通信制高校を選ぶ際、大学進学を視野に入れるならば確認すべきポイントがいくつかあります。
1.進学コース・大学受験対応コースが設置されているかどうか
第一学院高等学校の公式サイトによると、「プレミアムコース〈大学進学専攻(週5日登校)〉」「国公立・難関私大特化クラス」などの専攻が設けられています(第一学院高等学校公式HP、2026年4月取得)。このように、受験に特化したカリキュラムを持つ学校を選ぶことで、通信制に在籍しながらも大学受験に必要な学習を体系的に進めることができます。
2.進学実績を公式サイトで確認できるかどうか
実績を具体的に公開している学校は、それだけ大学進学への指導実績があるといえます。閲覧できる実績の内容・年度・合格大学の傾向をしっかり確認してください。なお各校の最新情報は必ず各校公式HPでご確認ください。
3.サポート体制(学習管理・メンタル面)が整っているかどうか
N高等学校の公式サイトによると、「複数のメンターで生徒をサポートする」体制をとっており、全校生徒数は2025年12月末時点で35,744名に達しています(N高等学校公式HP、2026年4月取得)。規模の大きな学校ではサポートのノウハウが蓄積されている傾向がありますが、一方で少人数制のきめ細かなサポートを強みとする学校もあります。お子さんの性格や学習スタイルに合わせて検討してみてください。
お子さんが学校見学や資料請求を嫌がる場合は、無理に押し進めないようにしてください。まず保護者の方だけで情報収集を進め、お子さんのタイミングを待つことも大切な選択肢のひとつです。
通信制高校から大学受験を進める手順とスケジュール
大学進学を目指すお子さんの場合、以下のような流れで準備を進めることが多いとされています。
1.入学の1年以上前:学校・コースの選定と資料請求
複数の通信制高校の公式サイトや学校説明会で情報を収集します。大学進学を希望する旨を相談窓口に伝え、対応するコースがあるか確認しましょう。
2.入学後すぐ:学習の習慣化と基礎固め
通信制高校は自主学習の比重が大きいため、最初の半年間で学習リズムを整えることが重要です。学校のメンターや担任と定期的に面談する機会を活用してください。
3.高校2年生相当の時期:受験戦略の確認
志望する大学・学部のAO入試(総合型選抜)・一般入試・共通テスト利用のいずれを狙うのかを絞り込みます。特に総合型選抜は出願が高3の9〜10月と早いため、高2の時点から準備を始めておくと余裕が生まれます。
4.受験の6〜12ヶ月前:外部の学習サービスと組み合わせる
通信制高校の授業だけで大学受験の全範囲をカバーするのは難しい場合もあります。オンライン予備校・映像授業サービス・家庭教師などを併用するケースも多いとされています。費用は各サービスの公式HPでご確認ください。
5.受験の3〜6ヶ月前:出願書類の準備
志願理由書・調査書の発行を学校に依頼する時期です。通信制高校では在籍期間が長い場合もあるため、調査書の発行タイミングを早めに学校側に確認しておきましょう。
通信制高校から大学を目指すときの費用の目安
学費については、学校・コースによって大きく異なります。鹿島学園高等学校の公式サイトによると、令和8年度の入学案内を現在公開中であり(鹿島学園高等学校公式HP、2026年4月取得)、学費は学習センター(キャンパス)ごとに異なる場合があることが示されています。
一般的に、通信制高校の学費は全日制の私立高校と比べて低めに設定されているケースが多いとされていますが、大学進学コースや週5日登校のプレミアムコースでは全日制と同水準になる場合もあります。また、外部の予備校・オンライン学習サービスを併用する場合は、その費用が加算されます。
各校の正確な学費は必ず公式HPの最新情報でご確認ください。学校によっては就学支援金(国の制度)が適用されるため、家計への実質的な負担を軽減できる可能性があります。世帯収入に応じた支給額については、文部科学省の高等学校等就学支援金制度のページで確認することができます。
まとめ
通信制高校から大学進学を目指すことは、十分に実現できる道です。全体の統計数値だけを見ると進学率が低く見えますが、大学進学を目標にして入学した生徒・大学進学コースを選んだ生徒にとっては、全日制と変わらない選択肢が広がっています。大切なのは、お子さんの目標に合ったコースと学校を選ぶこと、そして外部の学習サポートも上手に組み合わせることです。まずは複数の学校の公式サイトで進学実績とコース内容を比較し、可能であればオープンスクールや個別相談に参加してみることをおすすめします。焦らずお子さんのペースに合わせながら、一歩ずつ情報を集めていきましょう。
・文部科学省「学校基本調査」https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/1267995.htm
・N高等学校・S高等学校 公式サイト https://nnn.ed.jp/
・クラーク記念国際高等学校 公式サイト https://www.clark.ed.jp/
・第一学院高等学校 公式サイト https://www.daiichigakuin.ed.jp/
・文部科学省「高等学校等就学支援金制度」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/
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