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不登校の子どもが朝起きられない理由と保護者の関わり方

不登校の子どもが朝起きられない理由と保護者の関わり方

「起こしても起こしても起きてくれない」「昼夜逆転が続いていてどう声をかければいいかわからない」——そんな毎朝のやり取りに、疲れ果てている保護者の方も多いのではないでしょうか。朝起きられないお子さんの姿は、怠けているように見えることもあるかもしれませんが、その背景には医学的・心理的な要因が絡んでいるケースが少なくありません。この記事では、不登校と朝の起床困難の関係を専門的な視点からひもとき、保護者の方がどのように関わればよいかについてお伝えします。

目次

朝起きられないのは「意志の問題」ではないことがあります

「もっとがんばれば起きられるはず」と思いたくなる気持ちは、保護者の方として当然のことだと思います。しかし、不登校のお子さんが朝起きられない背景には、本人の意志だけでは解決しにくい身体的・心理的な仕組みが働いていることがあります。

文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度)によると、小・中学校における不登校児童生徒数は約34万6,000人に上り、過去最多を更新しました。不登校のきっかけはさまざまですが、長期化するにつれて生活リズムの乱れが二次的に生じるケースも多く見られます。朝起きられないという状態は、不登校の「原因」である場合もあれば、不登校が続く中で「結果として起きた変化」である場合もあります。どちらが先かは、個々のお子さんによって異なりますので、表面的な行動だけで判断しないことが大切です。

夜遅くまで眠れず、朝に極端に眠い状態が続く場合、睡眠・覚醒リズムが後ろにずれてしまう「概日リズム睡眠・覚醒障害(睡眠相後退型)」という状態が関係していることがあります。これは、学校への不安やストレスが続く中で自律神経のバランスが崩れたり、光や活動量の変化によって体内時計がずれたりすることで生じやすいとされています。「遅くまでスマートフォンを見ているから」と一概に決めつけるのではなく、なぜ夜眠れないのかという視点から考えることが重要です。

起立性調節障害という医学的背景を知っておいてほしいこと

朝になると頭痛・立ちくらみ・倦怠感を訴え、午前中は特に動けないというお子さんの場合、「起立性調節障害(OD)」という状態が関係していることがあります。起立性調節障害とは、立ち上がったときに血圧や心拍数の調節がうまくいかない自律神経の機能不全で、日本小児心身医学会のガイドラインでは思春期に多く見られる疾患として位置づけられています。

症状の特徴として知られているのは、「午前中に症状が強く、午後から夕方にかけて回復しやすい」という点です。そのため、朝は本当につらくて動けないのに、夜になると元気に見えるという状態が生まれます。これを「怠けている」「昼夜逆転させているだけ」と見てしまうと、お子さんとの関係に亀裂が入ってしまうことがあります。

起立性調節障害は、本人が「起きたくない」のではなく、「起きようとしても身体がついてこない」という状態です。日本小児心身医学会が公表しているガイドラインでは、適切な治療と生活管理によって多くのケースで改善が見込まれるとされていますが、回復には時間がかかる場合もあり、学校の欠席が続く原因になりやすいとも説明されています。朝の起床困難が毎日のように続いている場合は、かかりつけの小児科や内科に相談することをおすすめします。

心理的なメカニズムも見逃さないでください

身体的な要因とともに、心理的なメカニズムも朝の起床困難に大きく影響することがあります。学校に行くことへの強い不安や恐怖を抱えているお子さんは、朝になると無意識のうちに身体が緊張し、起き上がることができなくなることがあります。これは意識的に「学校を休もう」としているわけではなく、身体が危険を回避しようとする反応として起きていると考えられています。

こうした状態は、不安障害や適応障害(環境の変化などに対してストレス反応が強く出る状態)として、専門家による支援が有効な場合があります。また、発達障害の特性を持つお子さんの場合、感覚過敏や見通しが立てにくいという状態から、毎日のルーティン変化にひどく疲弊しやすく、それが朝の起床困難につながることもあります。

また、HSC(Highly Sensitive Child)と呼ばれる気質を持つお子さんも、外部からの刺激を受け取りやすいため、前日の疲労が翌朝まで残りやすい傾向があるとされています。ここで大切なのは、HSCは医学的な診断名ではなく、心理学者エレイン・アーロン氏が提唱した気質の概念であるという点です。「うちの子はHSCだから」と決めつけるのではなく、お子さんが何に疲れやすいのかを観察し、必要であれば専門家に相談する姿勢が大切です。

保護者として今できること、避けたいこと

朝起きられないお子さんに対して、保護者の方が毎日声をかけ続けることは、とても体力のいることです。そして、どんなに努力しても変わらない現実に無力感を感じることもあるでしょう。ここでは、保護者の方が今できることと、逆効果になりやすい関わりについてお伝えします。

まず、「責めない・比べない・急かさない」を基本姿勢として意識してみてください。「なんで起きられないの」「他の子はちゃんと行っているのに」という言葉は、お子さんの自己肯定感をさらに傷つける可能性があります。お子さん自身も、「起きなければ」と思いながら起きられない自分を責めていることが多いのです。

起床を促す場合は、声かけの回数を減らし、一度だけ穏やかに伝えて後は本人に任せるという形が、長期的に関係を保つうえで有効なことがあります。また、朝食の準備をしておく、カーテンを少し開けて自然光を入れるといった環境づくりは、急かさずに体内時計をサポートする方法として取り入れやすいものです。

一方で、「このまま放置してはいけない」という焦りから、毎朝激しく起こし続けることは、お子さんの緊張や不安をさらに高め、朝への恐怖感を強める可能性があります。焦りは当然の感情ですが、保護者の方自身も一人で抱え込まず、スクールカウンセラーや相談支援センター、かかりつけ医に相談する機会を積極的に設けることをおすすめします。こども家庭庁の公式サイト(https://www.cfa.go.jp/)でも、相談窓口の案内が掲載されていますので、参考にしていただけるでしょう。

まとめ

不登校のお子さんが朝起きられない状態には、起立性調節障害・睡眠リズムの乱れ・不安からくる身体反応など、さまざまな要因が複雑に絡み合っていることがあります。「意志が弱い」「怠けている」と見るのではなく、何がその状態を引き起こしているのかを理解しようとすることが、支援の第一歩になります。保護者の方が一人で抱え込まず、専門家とともに少しずつ糸口を見つけていくことが大切です。焦らず、お子さんのペースに寄り添いながら、今できることを一つずつ積み重ねていきましょう。

気になる症状が続いている場合は、かかりつけ医や児童精神科、小児科など専門家にご相談ください。

・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(令和5年度)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・日本小児心身医学会「起立性調節障害(OD)ガイドライン」https://www.jisinsin.jp/
・こども家庭庁 公式サイト「相談窓口のご案内」https://www.cfa.go.jp/

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