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発達障害と不登校の関係を保護者が知るべきこと

発達障害と不登校の関係を保護者が知るべきこと

「朝になると動けない」「クラスの中にいると苦しくなる」——お子さんがこうした状態を繰り返しているとき、その背景に発達障害の特性が関わっている場合があることをご存じでしょうか。発達障害と不登校は、切り離して考えるよりも、互いに深く関わり合って理解したほうが、お子さんへの適切なサポートが見えてきます。

目次

不登校の子どもたちが増えている現状

文部科学省が実施している「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2023年度調査・2024年公表)によると、小中学校における不登校の児童生徒数は約34万6,000人にのぼり、過去最多を更新しています。10年以上にわたって増加傾向が続いており、今や不登校はごく限られた子どもだけの話ではなくなっています(出典:文部科学省『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』2023年度)。

こうした状況を受け、文部科学省の生徒指導ページでは、不登校を「問題行動」とは捉えず、その背景にある多様な要因を丁寧に把握することの重要性が示されています。発達障害の特性も、その「背景にある要因」のひとつとして、近年特に注目されるようになっています。

不登校の理由は一人ひとり異なります。友人関係、学業のつまずき、家庭環境、身体的な不調など、さまざまな要因が複合的に絡み合っている場合がほとんどです。ただ、発達障害の特性を持つお子さんは、学校という環境のなかで特有の困難さを経験しやすいという傾向があることは、支援現場の専門家の間でも広く認識されています。「怠けている」「やる気がない」と見えてしまう行動の裏側に、神経発達上の特性が関わっていることがあるのです。

発達障害の特性が学校生活に影響する仕組み

発達障害とは、脳の神経発達に関する特性であり、ADHD(注意欠如・多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)、LD(学習障害)などが含まれます。これらは「病気」というよりも「特性」として理解するほうが実態に近く、一人ひとりの表れ方も大きく異なります。

たとえば、ASDの特性があるお子さんは、暗黙のルールや場の空気を読むことに難しさを感じやすいという傾向があります。クラスのなかで「なんとなく浮いてしまう」「友達の行動が予測しにくく怖い」という感覚を抱えながら毎日登校し続けることは、想像以上に心身のエネルギーを消耗させます。

ADHDの特性があるお子さんの場合は、注意の持続や衝動のコントロールに難しさが出やすいとされています。忘れ物が多い、じっとしていられない、課題に取りかかれないといった行動が、教師や周囲から繰り返し注意を受けることで、学校への拒否感や自己否定感につながっていくことがあります。

また、LDの特性として、読み書きや計算の特定の分野に困難さがあるお子さんは、本人が努力していても「できない」経験が蓄積しやすい環境に置かれがちです。「頑張ってもわからない」という焦りや羞恥心が、学校という場所そのものを「つらい場所」として認識させてしまうことがあります。

ここで大切なのは、これらの困難さはお子さんの意思や性格の問題ではなく、特性と環境のミスマッチによって生まれているという視点です。

保護者が感じやすい「気づきにくさ」

発達障害の特性は、家庭と学校で表れ方が大きく異なることがあります。家ではとても穏やかなのに学校では問題になる、あるいは学校では目立たないのに家に帰ると激しく荒れる、という話は決して珍しいことではありません。

こうした状況は、「家庭に問題がある」「親の育て方が原因だ」と誤解されてしまうことがありますが、それは正確ではありません。発達障害の特性を持つお子さんが学校という集団生活の場でエネルギーを使い果たし、安心できる家庭に帰ってから「崩れる」という現象は、専門家の間では「安心できる場で発散している」という観点から理解されています。

また、知的な遅れを伴わない発達障害の特性は、幼少期には見落とされやすい傾向があります。「少し変わった子」「個性的な子」として周囲が受け流してきた結果、小学校高学年や中学校という、より複雑な対人関係や学習内容が求められる時期になって、初めて困難が顕在化するケースも多く見られます。

こども家庭庁は、こどもの権利を守り、こどもの視点に立った支援を推進することを基本理念に掲げています(出典:こども家庭庁公式サイト)。発達障害の特性があるお子さんの不登校も、「問題」として処理するのではなく、そのお子さんにとって何が困難なのかを丁寧に理解することが、支援の出発点になります。

保護者として「いま」できること

お子さんの状態を理解するうえで、まず大切なのは「なぜ学校に行けないのか」を問い詰めることよりも、「何が苦しいのか」を一緒に探っていく姿勢を持つことです。

学校を休んでいる期間は、お子さんにとって「回復のための時間」である場合があります。無理に登校を促すよりも、まず安心できる環境を整えることが優先されることも多いとされています。

発達障害の可能性が気になる場合は、かかりつけの小児科、地域の発達支援センター、または児童精神科・小児精神科に相談することが一つの選択肢です。正式な診断の有無にかかわらず、特性に応じた関わり方についてアドバイスをもらうことができます。学校においても、特別支援コーディネーターという、支援の調整役を担う教員が配置されている場合があります。一人で抱え込まず、専門家の知見を借りることをおすすめします。

また、通信制高校やフリースクールなど、学びの場の選択肢が広がっているいまの時代、学習の環境を変えることで気持ちが安定し、お子さんの本来の力が発揮できるようになった例も、支援現場では多く報告されています。「学校に行けないこと」はゴールではなく、その子に合った環境を探す出発点として捉えることができます。

まとめ

発達障害の特性と不登校は、切り離して考えるのではなく、深く関わり合っているものとして理解することが大切です。「なぜ行けないのか」という問いの答えは、お子さんの内側と、学校という環境の両方を見て初めて見えてくることがあります。

まずはお子さんが「今どんなことを苦しいと感じているか」に耳を傾け、必要であれば専門家につながってみてください。気になる特性やサインがあれば、かかりつけ医、発達支援センター、または児童精神科など、専門家にご相談ください。保護者の方が一人で抱え込まなくていい環境は、確実に広がっています。

・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(令和5年度)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/

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・不登校の子どもへの接し方と保護者のサポート:https://futoukou.co.jp/parents-support/
・不登校から回復するプロセスと家庭でできること:https://futoukou.co.jp/recovery/
・通信制高校という選択肢と不登校の子どもへの向き合い方:https://futoukou.co.jp/correspondence-school/

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