高校1年生の夏、子どもが学校に行けなくなったとき、保護者の方が最初に感じるのは「このままでは単位が足りなくて留年してしまうのではないか」という焦りではないでしょうか。全日制高校の出席日数や単位の仕組みを考えると、不登校が長引くほど「転入」という選択肢が現実的に見えてくると思います。
この記事では、高1で不登校になったお子さんが通信制高校へ転入する際の手順・費用・スケジュールを、できるだけ具体的にお伝えします。焦る気持ちはよくわかりますが、まず「どんな制度があるか」を落ち着いて確認してみてください。
高1の不登校はどれくらいいるのか
文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2024年度公表・2023年度データ)によると、高等学校における不登校生徒数は全国で約6万8,770人に上っています(出典:文部科学省生徒指導関連ページ https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/)。高校生全体に占める割合として、決してまれなケースではなく、「うちの子だけ」と感じる必要はありません。
とくに高1は、中学校との環境の変化や人間関係の変化が重なりやすい時期です。通学が難しくなった理由は一人ひとり違いますが、「単位が取れなくなる前に動けるかどうか」が、進路の選択肢を広げる重要なポイントになります。全日制高校では学年末に一定の単位数を満たさないと「原級留置(留年)」になりますが、通信制高校へ転入することで、すでに取得した単位を引き継ぎながら学習を続けられる可能性があります。お子さんが嫌がったら無理に押しつけないでください。まずは保護者の方が情報を集め、選択肢として「こういう学校もあるよ」と伝えるところから始めてみましょう。
転入・編入の違いと高1での転入タイミング
通信制高校への移籍には「転入」と「編入」の2種類があり、どちらを選ぶかで単位の引き継ぎ方が変わります。
「転入」は在学中(高校籍がある状態)に別の学校へ移ることです。在籍高校で取得済みの単位をそのまま引き継げるため、卒業までの期間が短くなりやすいとされています。一方「編入」は一度高校を退学してから別の学校へ入り直す形で、単位の引き継ぎはできる場合とできない場合があります。
高1で不登校になった場合、できる限り「退学前に転入手続きを進める」ことが望ましいとされています。なぜなら、退学後は編入の扱いになり、1年次の単位がゼロからになる可能性があるためです。現在在籍している高校の担任や進路指導担当に「退学せずに転入できますか」と確認してみてください。
転入の受け入れ時期は学校によって異なりますが、多くの通信制高校では「随時受け入れ(年間を通じて入学可能)」としています。ただし、転入できる時期が学期ごと(4月・9月・1月など)に限られている学校もあるため、早めに各校の募集要項を確認することが大切です。
転入の手順:1から4のステップ
転入を具体的に進める流れは次のとおりです。
1.現在の在籍高校に「転入の意向」を相談する。単位取得状況と「在籍証明書」「成績証明書」「転学照会」などの書類が必要になるため、学校側への早めの連絡が必要です。
2.転入先の通信制高校を選び、学校説明会・個別相談に参加する。通信制高校にはスクーリング頻度・サポート体制・費用が大きく異なる学校が複数あります。説明会は予約制が多いので、各校の公式HPから申し込みます。
3.転入先の出願書類を提出する。必要書類は学校ごとに異なりますが、一般的には願書・在籍校発行の書類・健康診断書などが必要です。出願締め切りの2〜3週間前には書類取得の依頼をしておくと余裕が生まれます。
4.在籍校から転入先校への「転学照会」が行われ、手続きが完了する。在籍高校と転入先が書類のやりとりをして正式に転入となります。
お子さんのペースを確認しながら、「どの学校の説明会に一緒に行ってみたいか」を本人に選ばせると、主体的に動き始めるきっかけになることがあります。
費用とサポート校の活用
通信制高校の学費は、公立と私立で大きく異なります。公立の通信制高校では年間の授業料が約3〜4万円程度とされており、就学支援金制度の対象にもなっています。私立の通信制高校では、スクーリング頻度や個別サポートの手厚さに応じて、年間20〜80万円程度の幅があります(各校公式HPによる)。
また、通信制高校に「サポート校」を併用するケースも増えています。サポート校の中には、個別担当者が生徒一人ひとりに寄り添いながら学習・生活面をサポートする仕組みを設けているところもあります。サポート校の費用は年間30〜60万円程度が多く、通信制高校の学費と合算で年間50〜100万円前後になるケースがあります。最新の費用は必ず各校の公式HPでご確認ください。
就学支援金(国の高校無償化制度)は、通信制高校でも収入要件を満たせば利用できます(出典:文部科学省「高等学校就学支援金制度」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/)。文部科学省の案内ページや各校の入学相談窓口で詳細を確認しておくと安心です。
まとめ
高1で不登校になっても、在籍中に転入の手続きを進めることで、取得済みの単位を引き継いで通信制高校への移行が可能です。大切なのは「退学前に動く」という一点で、まず在籍高校への相談と通信制高校の説明会参加を並行して進めることをおすすめします。お子さんが疲弊しているときは、保護者の方が情報収集を先行させ、本人の状態が落ち着いてから一緒に確認する流れで十分です。「どの学校に話を聞きに行くか」を本人に選ばせることが、次の一歩を踏み出す力になります。2026年5月現在、多くの通信制高校が随時相談・随時転入を受け付けていますので、まずは気になる学校に問い合わせてみてください。
・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(2024年度公表)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・文部科学省「高等学校就学支援金制度」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/mushouka/
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