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不登校の支援員派遣制度とは何か・どう活用するか

不登校の支援員派遣制度とは何か・どう活用するか

「学校に来てほしい」でも「無理に行かせたくない」でも、そのどちらでもない形で我が子を支えたい。そう思っている保護者の方は多いのではないでしょうか。不登校の支援には学校・行政・民間と多くの選択肢がありますが、「支援員の派遣」という制度については「名前は聞いたことがあるけれど、具体的にどんな仕組みなのかわからない」という声も少なくありません。この記事では、不登校支援員の派遣制度の仕組みと、自治体・学校・民間を含めた活用の流れを整理してお伝えします。

目次

なぜ「支援員派遣」という制度が生まれたのか

文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2024年公表)によると、全国の小・中学校における不登校の子どもの数は約34万6千人に達しており、在籍者に占める割合は過去最多水準を更新し続けています。フリースクール全国ネットワーク(2026年)の集計でも同様に不登校の子どもは約36万人規模とされており、1つのクラスに1人以上の不登校の子どもがいる計算になります。

この現状を受けて、2017年には「教育機会確保法」が施行されました(成立は2016年)。この法律は、学校に通えない子どもたちに対しても教育の機会を保障し、フリースクールなどの多様な学びの場を法的に位置付けたものです。言い換えると、「学校だけが学びの場ではない」という考え方を国が正式に認めた転換点でした。

こうした流れの中で、文部科学省は「スクールソーシャルワーカー(SSW)」や「スクールカウンセラー(SC)」の学校への派遣を推進してきました(出典:文部科学省 生徒指導関連施策)。さらに自治体によっては、家庭訪問を専門とする「アウトリーチ型支援員」や「学習支援員」を学校・家庭に派遣する取り組みを独自に実施しています。

不登校が急増したことで、担任1人では支えきれない状況が生まれ、外部の専門家・支援員を「派遣する」という形が全国に広がってきたのです。

支援員の種類と役割の違いを整理する

「支援員の派遣」と一口に言っても、その役割や所属は多様です。混乱しやすい部分ですので、代表的な種類を整理します。

1.スクールカウンセラー(SC)
主に学校に配置される心理の専門家です。子ども本人だけでなく保護者との面談にも対応し、心理的なサポートを担います。文部科学省が都道府県を通じて学校への配置を進めています。

2.スクールソーシャルワーカー(SSW)
福祉の視点から家庭環境や生活課題にアプローチする専門家です。SCが「心の支援」を担うのに対し、SSWは「生活・福祉の支援」が専門です。貧困・虐待・ヤングケアラーなど複合的な問題を抱えるケースでは特に重要な役割を果たします。

3.アウトリーチ型支援員・家庭訪問支援員
自宅から出られない子どもへの対応として、学校や行政が「外から関わる人」を家庭に派遣する取り組みです。名称は自治体によって異なりますが、「学習支援員」「訪問相談員」「ふれあい相談員」などと呼ばれることがあります。

4.教育支援センター(適応指導教室)スタッフ
学校とは別の場所で学習・生活リズムの回復を支援する公的施設のスタッフです。施設への「通所型」が主ですが、一部の自治体では訪問型のサービスも提供しています。

これらの支援は互いに独立したものではなく、状況によって組み合わせて使うことができます。どれか1つに絞る必要はありませんので、まずは学校の担任や教育相談窓口に現状を相談してみてください。

誰に相談すれば支援員の派遣につながるか

支援員の派遣を受けるには、「どこに連絡するか」が最初の壁になりがちです。流れを大まかに説明します。

ルート1:学校経由最もアクセスしやすいのが担任や学校側への相談です。SCやSSWは学校に配置・巡回しているケースが多く、担任を通じて繋いでもらえます。「子どもが家から出られない」「何から始めればいいかわからない」という段階でも相談を受け付けてもらえます。

ルート2:教育委員会・教育相談センター市区町村の教育委員会には教育相談窓口が設けられており、ここから教育支援センターへの案内や訪問型支援につないでもらえる場合があります。学校との関係がうまくいっていない場合でも、ここは学校と独立した窓口として活用できます。

ルート3:こども家庭庁・子育て支援窓口こども家庭庁は「こどもがまんなかの社会」を実現するため、こどもと家庭の福祉・健康の向上を支援する国の機関です。自治体の子育て支援センターや子ども相談窓口につないでもらえます。

ルート4:厚生労働省のひきこもり支援窓口厚生労働省が運営するひきこもり支援ポータルサイト「ひきこもりVOICE STATION」では、全国の相談窓口を検索することができます。特に長期間引きこもりが続いているケースでは、福祉的サポートが必要になることもあるため、こちらも選択肢の1つです。

相談先が複数あって迷う場合は、「まず1つ連絡してみる」だけで構いません。一つの窓口が別の窓口につないでくれることも多くあります。

支援員が家庭を訪問するとき・何が起きるか

派遣された支援員が家庭を訪問する場合、保護者の方が「何をされるのか」「子どもに何か言われるのか」と不安を感じることも自然なことです。実際の訪問支援では、最初から「登校を促す」ことを目的とするものではなく、まず「顔を見せ、話を聞く」ところから始まります。

支援の内容は、子どもの状態や支援員の役割によって異なりますが、一般的には以下のような流れが想定されます。

1.初回訪問では自己紹介と雑談が中心です。子どもが扉を開けなくてもかまいません。「来てくれる人がいる」という安心感を積み重ねることが最初の目標です。

2.関係ができてきたら、一緒に学習をしたり、外出の練習(近所の散歩など)に付き合ったりすることもあります。

3.保護者との面談も行われます。子どもへの関わり方について家族全体でサポートを受ける機会にもなります。

支援員はあくまで「子どもと保護者の伴走者」という立場です。「学校に戻すための人」として向き合う必要はありません。

ただし、訪問を重ねても変化が見られない場合や、複合的な支援が必要な場合は、医療機関(発達障害・起立性調節障害など)や福祉機関との連携が有効なこともあります。その際は支援員や相談窓口が紹介してくれます。専門的な判断が必要な場面では、かかりつけ医や専門機関にご相談ください。

まとめ

不登校の支援員派遣は、学校・教育委員会・こども家庭庁・厚生労働省のひきこもり支援など、複数のルートから利用できる仕組みです。文部科学省「令和5年度 問題行動・不登校調査」(2024年公表)が示すように、不登校の子どもは全国で約34万6千人に達しており、社会全体で支える体制が整えられています。制度や名称が複雑に見えても、まず「学校の担任か教育相談窓口に連絡する」という1ステップから動き始められます。支援員は「戻す人」ではなく「一緒に歩く人」です。焦らず、お子さんのペースに合わせながら、使える制度を一つひとつ確認していきましょう。

・文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2024年公表)https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・フリースクール全国ネットワーク「JDEC・不登校と多様な学びの場について」https://freeschoolnetwork.jp
・こども家庭庁 公式サイト https://www.cfa.go.jp/
・厚生労働省「ひきこもり支援ポータルサイト ひきこもりVOICE STATION」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/hikikomori/

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