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不登校を経験したアーティストたちが伝えること

不登校を経験したアーティストたちが伝えること

「学校に行けなかった時期があっても、夢を追いかけていい」——この言葉を、もし我が子が誰かの口から聞けたとしたら、どれほど気持ちが楽になるでしょうか。今も学校に行けない日々が続いているお子さんを見守るなかで、将来への不安が頭から離れない保護者の方に、すこし視野を広げた視点をお届けします。不登校の時期を経て、表現することを自分の核に据え、アーティストとして活動している人たちが確かに存在しています。その事実が、今この瞬間を乗り越えるための小さな手がかりになれば幸いです。

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不登校の子どもは今、29万人を超えています

文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(2024年度公表・2023年度実績)によると、小・中学校における不登校児童生徒数は約29万9,048人にのぼり、過去最多を更新し続けています。高等学校まで含めれば、さらに多くの子どもたちが何らかの事情で学校から距離を置いている状況です。

この数字を見て、「うちの子だけじゃないんだ」と少しほっとした保護者の方もいらっしゃるかもしれません。一方で、「これだけ多いのに、なぜ社会はまだこんなに対応が追いつかないのだろう」と感じる方もいるでしょう。どちらの気持ちも、ごく自然なことだと思います。

この記事でお伝えしたいのは統計の話だけではありません。不登校の時期を経て、音楽・絵・文章・映像といった「表現すること」を自分の核に据え、アーティストとして活動している人たちが確かにいるという事実です。その存在は、「学校に行けなかったあの時間は無駄だった」という感覚を、少しずつほぐしてくれる力を持っています。

表現の場が、息をする場所になることがある

学校に行けない日々というのは、子どもにとっては時間だけが余っているように見えて、実はとてつもないエネルギーを消耗している時期でもあります。人目を避け、布団の中で過ごしながら、スマートフォンで音楽を聴いたり、ノートに絵を描いたり、ひたすら動画を見続けたりする——そういった行動は、「怠けている」のではなく、感覚を保つための方法である場合も少なくありません。

こうした時期に「好き」と感じるものに出会った子どもが、後にその「好き」を仕事や表現の場に育てていくケースがあります。音楽プロデューサーや画家、詩人、映像クリエイター、漫画家……肩書きはさまざまですが、「不登校だったあの時間が、自分を深くした」と語る人たちの声は、インタビュー記事や出版された書籍のなかに少なからず見られます。

ここで大切なのは、不登校がアーティストへの「近道」だというような話ではないということです。そうではなく、「どんな経緯をたどった時間であっても、そこで感じたことは無駄にならない」という視点を持っておくことが、保護者の方にとっても子ども自身にとっても力になるのではないでしょうか。

また、子どもが部屋で過ごしている時間を頭ごなしに「無駄な時間」と捉えてしまうと、親子の間に距離ができやすくなります。「何を聴いているの?」「その絵、見せてもらえる?」といった、ほんの一言の関心が、子どもにとって「自分の好きなものを認められた」という経験になることがあります。表現の芽は、誰かに見てもらえることで、少しずつ育っていくものです。

「好き」を育てる環境は、今も選べます

現在、不登校の子どもたちの進路の受け皿として、通信制高校やサポート校が広く機能しています。なかには、音楽・デザイン・映像・イラストといったコースを設け、創作活動を通じて自己表現を深めながら高校卒業資格を取得できる学校も多くあります。全日制の学校に戻ることだけが選択肢ではなく、自分のペースで「好き」を深めながら学べる環境が、今の日本には確かに用意されています。

通信制高校の卒業後は、専門学校や大学の芸術系学部を目指す道も開かれています。高校を中退した場合や不登校が続いた場合でも、高校卒業程度認定試験(高卒認定)を取得することで、大学・短大・専門学校への受験資格を得ることができます。高卒認定は文部科学省が実施する国家試験であり、年2回(例年8月・11月)の受験機会があります。芸術系の大学や専門学校への進学においても、高卒認定はしっかりと評価される資格です。

大切なのは、「学校に行けなかった時間があったから、もうこの道は無理だ」と早々に諦めないことです。通信制高校・高卒認定・大学進学と、道は複数あります。どの道が合っているかは、お子さんの状況やペースによって異なりますが、選択肢が複数あること自体が、子どもにとっての希望になります。

まとめ

不登校の時期は、外から見ると「止まっている」ように映るかもしれません。でも、お子さんの内側では感じること・考えること・好きになることが、静かに積み重なっていることがあります。その積み重ねが、将来どんな形で花開くかは、誰にも断言できません。でも、「この時間がその子の糧になる可能性がある」と信じることは、保護者の方にとって大きな支えになるのではないでしょうか。

不登校を経験したアーティストたちが「あの時間があったから今の自分がある」と語るとき、それはただの慰めではなく、実際にその時間をくぐり抜けてきた人間の言葉です。その言葉の重みを、保護者の方にも、そしていつかお子さん自身にも受け取ってほしいと思います。あなたのお子さんは、一人でこの時間を過ごしているわけではありません。多くの大人たちが、見守り、サポートの場を広げ続けています。

・文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査(2023年度)」https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・文部科学省 生徒指導ページ https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/
・文部科学省 高等学校卒業程度認定試験 https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shiken/

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・不登校の子どもへの声かけと接し方:https://futoukou.co.jp/parents-support/
・通信制高校の選び方と転入のタイミング:https://futoukou.co.jp/correspondence-school/
・不登校から大学進学を目指す方法:https://futoukou.co.jp/university-exam/

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